厚労省が疑義応答集案 /下請けへの安全確保指示 「問題なし」【派遣、請負の区分明確化】 | 愛知県春日井市の社会保険労務士のカンちゃんのブログ

厚労省が疑義応答集案 /下請けへの安全確保指示 「問題なし」【派遣、請負の区分明確化】

厚生労働省は8月3日までを期限とした「労働者派遣事業と請負

により行われる事業との区分に関する基準に係る疑義応答集案」で、

安全確保のために必要な下請作業員への元請けの直接指示は、

請負契約の中でも問題がないとの考えを示した。


疑義応答集は、昨年10月から施行された労働者派遣法改正を受け、

労働者派遣と請負の区分をより明確化することを目的としている。


建設現場ではこれまで、複数の専門工事業が元請けと請負契約を

結び、施工作業を行う中、元請けと実際の作業を行う下請作業員の

指示命令関係で請負の解釈が成り立つか否かが指摘されるケース

もあった。


労働者派遣は、派遣された労働者が派遣先からの指示命令に

基づいて作業を行うのに対し、請負は請負契約に基づく範囲の業務は

請け負った企業が責任を持つ。


そのため建設現場の場合、元請けから請け負った専門工事業は、

基本的に請け負った職種に携わる作業員の指示命令も担う。

また、建設労働者は労働者派遣法の適用外のため、現場作業に

関する契約はすべて請負契約となる。


今回、厚労省が一般意見募集として公表した「労働者派遣事業と

請負の区分基準」に関する疑義応答集案では、建設作業で複数の

請負事業社が同じ現場に入場している場合、元請けが労働安全

衛生法に基づき下請けの作業員の安全衛生のために必要な指示を

直接、作業員に行うことについて、「指導や指示は安全確保のために

必要であり、(元請けから下請作業員に)直接行われたとしても、

業務の遂行に関する指示に該当しない」と見解を示した。


また、災害時などの緊急時の指示についても、「請負労働者の健康や

安全確保に必要な直接指示が 直ちに労働者派遣事業と判断される

ことはない」とした。


ただ一方で、発注者(元請け)との打ち合わせ会議や、発注者の

事業所朝礼に、請負事業主(下請け)の管理責任者だけでなく

請負労働者が出席する場合、「作業の順序や従業員への割り振り

など詳細な指示や、作業方針の変更が日常的に指示されるなど、

請負事業主自らが業務遂行方法に関する指示を行っていると

認められない場合は、労働者派遣事業と判断される」との考えを

示した。


過去、事実上は労働者派遣ながら契約上は請負の形式を取る

「偽装請負」問題が、製造業現場で問題視されたことを契機に

進み始めた労働者派遣と請負の区分明確化の動きには、
建設業界も注視する必要がありそうだ。


【建設通信新聞】