経済再生と成長を労働政策でも後押しを (日経) | 愛知県春日井市の社会保険労務士のカンちゃんのブログ

経済再生と成長を労働政策でも後押しを (日経)

日本経済の再生には労働政策の役割も重要になる。

需要が伸びる分野に人が移りやすくし、人材がより

高い技能や知識を身につけて付加価値をあげられる

ようにする。労働政策は成長戦略の柱のひとつといえる。


大切なのは民の力を最大限引き出す視点である。

どの企業で人材需要があるか見つけ、求職者との橋渡し

をする職業紹介は、製品・サービスの市場動向をよく知る

民間事業者をもっと活用した方が効率的になる。


職業訓練も民が主体になれば、教育内容の編成が柔

軟になる。グローバル化による競争激化と技術革新に

よって、働く人には専門性がますます求められている。

そうした環境変化に対応して訓練の効果をあげる必要がある。


官が中心に担っている職業紹介と職業訓練の民間開放を

積極的に進めることが、経済の再生と成長に欠かせない。

安倍政権が復活させた規制改革会議ではその点の議論も

尽くしてほしい。


規制改革会議は健康・医療やエネルギー・環境分野などと

並んで雇用関係の規制の見直しを重要テーマに挙げた。


論議する項目は労働時間規制や労働者派遣規制の見直し、

労使双方の納得のゆく解雇ルールのあり方など、多岐に

わたっている。働きやすい環境づくりや、別の企業や仕事に

弾力的に移れる労働市場づくりなどのためだ。

項目選びはおおむね妥当といえよう。


もの足りないのはハローワークの職業紹介事業や

公共職業訓練施設の運営を人材サービス会社などの

民間企業に思い切ってゆだねる改革が、主要項目として

挙がっていない点だ。


民間開放にあたっては、公務員であるハローワークの職員の

身分をどうするかなどの問題が出てくる。

だがハローワークの職業紹介も公共職業訓練も、

いまのままでは活発な競争がなく、人材紹介サービスや

訓練メニューの質が高まらない。

求職者や働く人自身のためにも、民間開放を推進して

競争原理をはたらかせるべきだ。


成長分野に人を移し、人材の能力を高めるには規制改革

以外の手立ても重要だ。生活費を支給しながら職業訓練を

施す求職者支援制度など、多彩な再就職支援制度があるが、

利用者が伸び悩んでいるものもある。

限られた予算で効果があがるよう、政府は制度の再設計にも

取り組んでもらいたい。


(日経新聞)