みなさん、こんにちは。
おそらく、今、グラフィック・デザインをおこなっている人で、一番、多い仕事は、Webデザインだと思います。
主に、インターネット上でのサイトのデザインなどですね。
確かに、パソコンやデジタルのツールが普及したので、結果的に、印刷物などの制作にかかわる仕事も、数としては増えたかもしれません。
しかし、印刷物などのアナログというか、リアルなものの場合、どうしても製造という工程が入るため、ある程度、作り出すスピードというものは、限界があり、制限されます。
その一方、ネットのデザインは、制作したら、すぐに発表できます。
そして、更新や修正も、頻繁にできます。
それこそ、毎日、新しいものをアップしてもいいわけです。
こういう状況は、一方では、グラフィック・デザインをおこなう人間にとっては、大変かもしれません。
しかし、逆に考えると、それだけ、チャンスもある、ということです。
ただ、ある程度、歳を重ねた私から見ると、ちょっと忙しすぎるのではないか、という感じもします。
そんなに、創作作業、つまりアウトプットばかりしていると、そのうち、自分中の「貯金」を使い果たして、からっぽになってしまうのではないか、心配です。
この話や、その対処方法については、また改めて、ご紹介しようと思います。
しかし、受け入れるにせよ、否定するにせよ、そういった状況である、ということは事実です。
では、そういった現代にあって、グラフィック・デザイナーには、何が必要なのでしょうか?
おそらく、ガンガン仕事をして、ある程度、結果を出しているベテランの方だったら、それなりに、自分の答えや対処法というものを、見つけ出しているのかもしれません。
しかし、まだまだ、デザインの仕事をはじめたばかりの人や、とにかく、目の前の仕事に追われている人だと、なかなか、その答え、というものを見つけられないと思います。
とにかく、ムチャクチャ忙しいし、目の前の仕事を「処理」するだけで、精一杯。
デザインの仕事って、こういうものだったっけ……
そう感じている人は、いないでしょうか?
そういう人に対しては、やはり、基礎に戻って、考えることをお薦めします。
基礎といっても、Webデザインの基礎、というわけではありません。
もう一歩、深く進んで、グラフィック・デザインの基礎です。
Webデザインは、デザインの長い歴史から見ると、まだまだ短く、浅い歴史しかありません。
そのため、短いWebデザインの歴史から学ぶよりも、グラフィック・デザインの長く、豊かな歴史から学ぶ方が有益です。
以前もお話ししましたが、Webデザインは、雑誌などのエディトリアル・デザインや、広告などのデザインから、派生しています。
そのため、Webデザインの知識や技法を深めるのなら、そういったグラフィック・デザインの歴史ある知識や技法から学ぶべきです。
そうすることで、時代を超えても有効な本物のデザイン技術を身につけることができます。
目の前の作業に忙殺されることなく、広い視野で眺め、デザインの本当の技術というものを吸収して、ぜひ活用してください。