相模原の障碍者施設襲撃事件容疑者の思想 | みんななかよく

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 週刊金曜日 8月26日(1101)号の記事 「相模原殺傷事件と平成ネオ・ナショナリズム」(中島岳志)によると、U容疑者の手紙やツイートをみると右派的なのだそうです。

 より詳しくいうと、陰謀論・スピリチュアリティ・右派思想(見出しに取られている)が見られるのだそうです。

 障碍者を不用なものとする考え方がナチズムと共通することはマスメディアなどでも報道していましたが、陰謀論とか右翼とかへのテレビでの言及をわたしは見ていません。少ない資料から勝手な容疑者像をマスメディアに作られても困るので、報道が慎重であるのは当然だと思いますが、「陰謀論」などを新聞やテレビなどにメインストリームメディアではあまり扱ってこなかったので、戸惑っているのかなという感想を持ちました。

 

 「U容疑者はツイッター上で、繰り返し右派的な発言を行ない、右派論客の発言をリツイートしている」(原文は実名)と中島氏は記しています。ツイッターだから誰でも取得可能な情報なのでしょうけど、この辺の報道が少なかったとすれば、マスメディアの忖度があるのかもしれません。そのマスメディアに対し、陰謀論に傾斜しているから当然でしょうが、U容疑者は不信感を抱いているそうです。

 

 ところで「犯人像」をどう伝えるかは、マスメディアや警察の思惑によって変わるのかな、というのがわたしの抱いた疑問。

 凶悪な事件を起こして逮捕された人物は、家宅捜索は受けるんでしょうね。たとえ通り魔事件であっても、動機の解明に必要な証拠を探すために。

 その時、偶発的で行きずりの反抗と見られ、事件そのものには性的要素がなかったとしても逮捕者が膨大なポルノのコレクターなんかだったら、それを警察が発表したりマスメディが取材で突き止めたて報道するかな、と暇なことを考える。ポルノじゃなくてマルクス・エンゲルス全集だったらどうかとか。

 逮捕者がどういう人物かは、報道の受け手の興味を抱くところですから、痴漢容疑者が中核派の本を読んでいるのも百田尚樹の本を集めているのも、どちらも報じられてもおかしくないとします。その時に、警察によってバイアスがかかるかな、とか報道が遠慮の塊になるかバッシングの材料にするか、どちらにしても恣意性は免れないのではないか、というのがわたしの予想。

 

 「U容疑者の犯行に至るプロセスには、彼の人生に還元できない社会的要素が存在している。90年代以降、静かに形成されてきた「平成ネオ・ナショナリズム」が、醜悪な暴力を伴って顕在化しはじめていると見るべきだろう。今回の事件を現代ナショナリズムの問題として捉えなおす必要がある」と中島氏は結んでいますが、報道による「犯人像」の形成段階から検討することも大事かな、と思いました。