話はそっちへいくのね(陰でこそこそ悪口大会シリーズ) | みんななかよく

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ヘイトコメントを哂え!
(http://haughtycomment.blogspot.com/)
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 「ヘイトコメントを哂え」に収録するのは失礼と思うけど、なんか「ネットウヨ言論ってそっちへ流れていくねえ」という感想をもったやり取り。

 前提として、わたしはこんなエントリを書くやつなんでござんすよ。

 「どっちも正しい」

 http://ameblo.jp/kandanoumare/entry-10015847519.html

 

 日本が戦争をせず、戦争の名の下に、一人も殺しも殺されもしなかったのは、「日米安保条約」のおかげか。「平和憲法」があったからか。世界の現実は厳しいから、非武装中立などありえない。日米同盟による武力がなければ、侵略されていた、と考える人もいれば、平和憲法があるから戦争に巻き込まれずにすんだのだ、という議論もある。


 こういうときに、「どっちともいえない。たまたまなんじゃない?」といったら、双方の論陣から、「なんも考えていないバカ」といわれそう。あるいは、「両方なんじゃない?」といったら、それも無意味な折衷案と軽蔑されるかもしれない。


  さてdr,stoneflyさんの以下のエントリのコメント欄で罵愚さんというかたとやりとり。

 「岩国市の苦悩は他人ごとか・・・」レイプを我慢する生活


 罵愚さんがこういうコメントをつけた。


 たしかに、米軍基地の負担は重い。できれば、駐留のない日米安保を実現できれば、それがベストなんだろうと、わたしは思う。
 ただし、安全保障政策そのものや、日米同盟そのものを否定するような議論には、違和感を感じます。戦後平和主義って、時代錯誤もいいとこだとは、気がつきませんか?


 そこにわたしが直接に上のコメントに対応すると言えなくもないけど、今の防衛論議の左右対立ってワンパターンだよね、という持論をふまえて、以下のようにコメント。
 
 アメリカと軍事同盟を結んでいる国でも、日米地位協定ほど国家主権を放棄した制度デザインにしている国はないそうです。
 明日から日米安保をなくせないでも、日本の防衛に関わらず、日本を基地としてどこにでも米軍が出動できる戦略はダメ、という交渉は、やってやれないことはないと思う。
 政治は、0と1の中間をたどるし、目標に達するには行程がいる。
 でもブロガーも「日米軍事同盟反対!」「戦後の空想的平和主義」なんて旧来の図式から離れて闊達に議論するってことないね。それで「マスゴミ」なんて言っている。右派にも左派にもみんなマスコミの受け売りの議論しているのにさ。


 そうしたら罵愚さんが、わたしをご指名でこう反応したのです。


 となりの韓国の地位協定は、どうなっているんでしょうかねえ?kuronekoさんの知識は、だれの受け売りですか?


 これには、ごんさんが 


 あはははは、面白いひとめっけ。

>戦後平和主義って、時代錯誤

「戦前平和主義」っていうのがあうかどうかわからないけど、日米安保体制ってのが「戦後」の「平和」を支えているんだって考えてる人は多いと思う。それが「時代錯誤」なのかな。それとも日米安保体制を無視した平和主義が「時代錯誤」だというのかな。それでお隣の韓国は時代錯誤であるのかないのかどっちなんざんしょ。てか

>日米地位協定ほど国家主権を放棄した制度デザインにしている国はない

これに対して

>となりの韓国の地位協定は、どうなっているんでしょうかねえ?

ってのはなんだい。自分で調べなさいよ。あたしもkuronekoさまの知識の源泉がどのようにその無尽蔵の水を湛えていったかってのは気になるところですが。


 とコメントしたの。
 わたしは、ごんさんが買いかぶるほど物知りではなくて、アメリカが基地を置く国の中で、日本が一番アメリカに対して不平等な扱いに甘んじているという話を人から聞いた程度ですし、琉球新報が外務省の機密文書をスクープして、地位協定の拡大解釈に腐心する日本政府の姿勢を明らかにしたことなどはチェックしていますけど、世界に展開する米軍と現地政府がどのような条約と関連文書を取り交わしているのか把握しているわけではありません。韓米防衛条約が日本語に訳されているのかも知らない。ただつてをたどって調べることはできます。
 ごんさんがちょこっと揶揄するように「戦後平和主義」って言葉が聞きなれない。「戦後民主主義」はタームとして確立しているでしょうけど。日本国憲法に則った非武装中立論を指すなら、それを首唱していたのは社会党だけだしね。共産党は「非武装」とは言っていなかったはず。自分の反対言論を恣意的な範囲で作り上げてそれに反論するのは、ネットばかりでなく言論機関でもやっていることとはいえ、粗雑な物言い。

 わたしは、「戦後の空想的な平和主義」という言い方で、保守言論の言いそうなことを祖述したわけですが、「戦後平和主義」って言われてもどういう範囲のどういう主張か不分明です。


 もう一つの論点。「日本の地位協定が一番ひどいんだってさ」と、そんなに詳しくないから伝聞形で書いたことに、「韓国はどうなんだ?」と反応するのが、時々あるヘイトコメントと同じような構造の議論。


 うん。わたしが寡聞にして、実は韓国の韓米防衛条約に関する地位協定が一番不平等だったとしましょう。どっちがより不平等かという順序が間違いなくつけられるほど明白だとするね。ある部分では韓米協定のほうが従属的で、こっちの面では日米協定のほうが日本の主権を制限している、というときも総合評価ができることにする。

 そうすると、わたしの「日米地位協定が一番不平等なんだってさ」という情報は、いい加減で不正確なことになります。そういう場合は、「そうでしたか。よく教えてくださいました。韓国も大変なんですね」ということになる。

 わたしは、自分のいい加減な物言いを訂正謝罪するのはいいんですけど、で、どうなるなるのかな。韓国よりちょっとまし、だいぶましだからと言って、日米地位協定で主権制限されて在日米軍が行動できるってことに変わりはないよね。


 ここで、「そうですか。韓米の地位協定のほうが不平等ですか。良くご存知ですね」 とお礼を述べてもいいけど、嫌味と誤解される恐れもあるので、もう少し他の人にも聞いてもらいたいことへ話を拡げました。


 在韓米軍の悪行は有名ですね。殺人事件容疑者も、本国へ帰って取調べもされないケースがあるみたい。日本ではそこまでひどくはないでしょう。
 で、罵愚さまは、そうした韓国での米軍の振る舞いに憤っておられるのですね。是非、韓国の反基地運動への支援をお願いします。
 やー、サヨクのお仲間を発見して嬉しいな。

 わたしの受け売りしている先は人の話とか本とかです。書籍も広くいえばマスコミかもね。

 ところで、罵愚さまは韓国がどれだけ「思いやり予算」をアメリカに出しているかご存知だったら教えください。


 わたしが知った殺人事件というのは、梅香里 というドキュメンタリー映画に出てきます。面白い映画ですので、上映会をしませんか?
 それはさておき、たしかに在韓米軍の振る舞いもひどいんだってね。という前提で、その話を持ち出した罵愚さんに応えました。

 だって、在留米軍の問題では日本より韓国の地位協定や実際の状況がひどいとして、「ひどい韓国の状況に言あげを」というのは自然だよね。「韓国はもっとひどいのだから日本は我慢しろ」という意味ではまさかないでしょう。

 受け売りが云々というところにも答えて、些末な言い合いに陥りそうなところは終わりにしました。こうすれば、わたしは、在韓米軍の問題まで話を広げられたから満足。dr.stoneflyさんが「梅香里」の上映会でもしてくださると実りが多い。

 そうしたら、だんだんネットウヨクみたいな感じが増すんですが、罵愚さんが話を続けるのです。


在韓米軍が有名なのは、曲がりなりにも韓国は民主主義国で、それが報道されているからでしょう。東欧に駐留していた旧ソ連軍や、チベットの人民解放軍となると、報道の量に比例して関心が薄れる。アフリカで、なにが起きているのか?となると、報道そのものがなくなってしまうから、からきし闇のなかだ。
 自由な民主主義って、いですよねぇ。これを守るためには、アメリカ軍の庇護が必要だと思う……あれっ!!どこかへんだなぁ??


 最後の部分の趣意がわからないけど、アメリカ軍の庇護がないといけないと罵愚さんは内心で感じていらっしゃるのでしょうか。アメリカ軍の庇護があった戦後すぐに、原爆のことなどあからさまに言えなかった言論の不自由があった、」なんててんから気にしない方なのかどうなのか、よくわからないけど、ソ連でも中国でも人権抑圧は監視、糾弾すべきですから、合意点を求める意味で次のコメントをつけました。


 ほんとに,亡命者の情報やインドから中国ウォッチしている人の意見などを引用してでもチベットのことをもっと報道すればいいと思うのですが、日本のマスコミはだらしがないですな。
せっかく悪の枢軸国家だったのをアメリカに解放してもらって、民主主義になったのにねえ。
日本人はダルフールとかソマリアとかケニアとかもっと関心を持つべきですね。


 ほんとにもっと中国の人権抑圧は世界的に監視されるべきだと思いますよ。大国だから見逃されるのでは、他の途上国の人権問題にとっても悪影響だもの。

 そしたら謎のコメント。罵愚さん自身が「騒げなくなっちまう」と躊躇しているのかな。自分の行動でなくて、他人様の行動を「騒げなくなっちまう」なんてぞんざいな言い方で言わないよね。


 kuronekoさま、
 そんなことをあからさまにしたら、岩国や沖縄で騒げなくなっちまいます。


なんで、岩国や沖縄で騒ぐ、これは米軍基地に反対することを直接には指すのでしょうが、中国の人権抑圧があからさまになると、基地反対運動ができなくなるんだろう?


これには沖縄のごんさんが


>岩国や沖縄で騒げなくなっちまいます。

ご心配には及びません。どんどんやってくださいな。みんなでこの薄汚い「戦前軍国主義」を根絶させましょうや。


とお返事していたのに付け加えることもないのかもしれないけど、「岩国の選択」というドキュメンタリーに出てくる地元民の反応を知っているわたしも一言。


>そんなことをあからさまにしたら、岩国や沖縄で騒げなくなっちまいます。

何故ですか?
岩国で米軍増強に反対している人は、町内会長さんとか保守のおじさんも多いんですよ。
まさか、沖縄や岩国で機知増強に反対しているのは「左翼」だなんて、街宣右翼みたいなことは言わないんでしょ?


微笑ましいネットウヨテイストコメントね、と思って反応したらミスタイプ。


 しかし、しみじみ罵愚さんという方は議論がお上手ではないですねえ。

 「在日米軍の地位協定がもっとも不平等」というのに反論をするのに、「韓国はどうなんだ」と持ち出しても、日米安保体制の容認を説得はできないんですよ。相手の議論が、韓国を視野から落としているよ、という指摘にはなっても。

 わたしとしては、自分の見解がそういうところで批判、留保、反論されても別に困らないし、在韓米軍の問題に話が広がるのは望むところ。別に議論に勝とうとか、自分の意見が絶対だとか思っているわけではないし。


 韓国の例を持ち出しても、「だから韓国の基地にも反対を」になるのね、といわれるか、、「韓国よりましだから我慢しましょう」というのですか? と問われるか、相手はいくらでも応酬できる。

 この、別の話にうつして、「日本はまだまし」というタイプの議論は多い。

 もう一つは、「中国の人権抑圧」を持ち出す、例のパターンです。でも、これって人権派をやっつけたことにはならない。アムネスティなども中国の人権状況をウォッチングしているし。

 これは、いまの野党、民主や共産や社民を批判するのにも使えません。いまの日本の外交は自民・公明政権が行っています。チベットの人権状況を憂慮するのなら、まず政府にアクションするのが必要でしょう。

 「いまの日本の外交政策の代替案をおだしになったら?」と、ノンポリのギャラリーに言われたらどう答えるんだろう。

 

 そもそも「一応サヨク」とはいえ、自衛隊はダルフールへ難民支援にいけたら人助けかもね、などというエントリーを書いているわたしに、そんなこと言っても嫌味には感じないで、「おお、人権派よ」と反応するんですよ。


 今回は、その先の議論が面白かった。


 中国の人権抑圧があからさまになった。という事実から、沖縄や岩国の基地反対運動ができなくなるという事態が導き出されるためにはどういう道筋が必要か。


 中国の人権抑圧を防止するために、米軍基地建設が必要だ、ということでしょうか。これは、ある条件では、次の命題を導出するんじゃない?

 米軍基地によって、中国の人権抑圧は抑止される。

 そうかなあ。これだと中国の現体制を武力転覆する意図があるように思えるよ。そんな危ない仮定を主張するのかな。


 中国は国内人権侵害をする国である。という命題から、そういう国は外国を攻めるから危ない。という議論を出してくることも想定できます。これはこれで考察に値するけど、長くなるから詳細は別エントリーにしよう。

 でも、国内で人権弾圧している国家は山のようにありますから中国が安全保障上の脅威だというのは、主としては別の理由を挙げないと、かなり多数の国は隙あらば他国を侵略したがっている、という世界観になることになります。国内弾圧をするような国は、外国とことを起して国内体制を危うくするよりは、国内の締め付けを優先するというほうがありそうな想定ではないか、という議論だけはしておきましょう。


 ともかく、話を韓国(在韓米軍)にうつし、次は、チベットの人権抑圧を持ち出し、という議論の仕方は、十分にネットウヨク的だと感じます。罵愚さんは自分のURLもつけているし、通りすがりのいい加減なHNでヘイトコメントを書き散らしている者とひとしく扱うのは失礼でしょうが、自分からネットウヨ風味のコメントをつけてくる。

 わたしが最初に、明日から日米安保をなくせないでも、という物言いをしているのに、次々と論点ずらしのコメントをつけてくると、最初にたしかに、米軍基地の負担は重い。できれば、駐留のない日米安保を実現できれば、それがベストなんだろうと、わたしは思う。といくら言っていても、「なーんだ、ネトウヨじゃん」と思われる可能性がある。

 わたしは、これを機会に在韓米軍の話などを提出すればいいや、と思って、相手を論駁することより、議論を利用することを主眼としていますが、罵愚さんは、相手に言い返さないとすまない感じにコメントをつける。そこもネットウヨクコメントじみて損なところ。もっと中国の軍備増強とか、外交交渉と軍事力の関係とか、落ち着いた議論をすればいいのにと思います。

 よそさまのコメント欄ですので大暴れはしないようにして、こちらで分析してみました。

参考


「検証・日米地位協定 日米不平等の源流」

http://www.koubunken.co.jp/0350/0334.html


ドキュメンタリー映画「梅香里」

http://www.motherbird.net/~mehyang/