フツーに安倍さんを褒める | みんななかよく

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 1970年代、「文藝春秋デラックス」というMooKがあって、その「歌舞伎」という1冊に、「若手をほめる」という企画インタビューがありました。中村歌右衛門丈の「えっ? 松江を褒めるの? 」と言う第一声の聞き書きが載っていたような記憶があるけど、本を探してコンファームするの面倒だから、いい加減に聞いて置いてください。たんなるマクラだから。


 で、本題は、皆があんまり安倍首相辞任でご本人をぼろくそに言うもんだから、東京者のへそまがりとして、ここは一番ほめてみようという、義侠心というか物好きというか「人の行く裏にネタあり花の山」という相場の格言か、いずれにしろお暇なお噂で一席お付き合いのほどを願いまして・・・。 ズズー (お茶を飲む音)


 国会が始まろうという時分、オーストラリアでの安倍首相の「職責にしがみつかない」発言の頃には、さかんにテロ特措法の行く末が取りざたされていました。国会会期の審議日程。衆議院で再可決して成立させる。やれ新法を出す。中には機先を制して民主党がテロ関連の法案を先に参議院に出して可決してしまえば、同様の法案を審議しない規定があるから、衆議院からテロ対策法案が来ても審議されずに廃案になるはずというトリッキーな案までテレビで言っていたよ。そんな迎撃ミサイルみたいな法案の出し方があるなんて初めて知りました。


 斯様の議論を聞いて、「こりゃ、やばいな」と思った。参議院選挙の結果、衆参の議席構成がねじれた形で、与党ごり押しがきかなくなった。次は総選挙だし、これからは国会対策的な折衝で妥協をするより政策の中身の議論が前面に出るかな、とちょっとは思っていたのです。年金をめぐる法案とかね。民主党も政策立案能力をアピールしたいだろうから、政局の駆け引きだけでやっていかないだろうと思ったのです。


 そうしたら、前に述べたような国会法に通暁した玄人の技の出し合いになりそうな余寒。(季節はずれ)

 テレビでは面白がって、ゲームみたいにはやすかもしれないけど、これは、一般人民、ひくよ。そんなに暇人で政治大好きおやじ、議論大好きおばさんだけじゃないもん。

 2大政党志向がいいかどうかはともかく、強行採決ばかりのごり押し国会運営から、緊張感をもって政策論議が出来る状況になるのかと思ったのに、またまた政党の駆け引きごっこですよ。そして個々の政策内容より、」こうした国会運営と政局話のほうが、政治記者たちは得意技だからそっちえ流れそうです。

 くまった、くまった、と思っていたら、安倍首相の決断ですよ。


 まあ、当面は後継は誰だとか、小沢党首の次の1手は? とか政局の話が盛り上がるでしょうが、人事を含め「次の局面」へいくことは間違いない。

 その報道を、従来の政局報道から、もっと政党の政策を問い、現実の国民生活、また日本の外交上の位置づけと政治とのありようを、ありきたりのスローガンではなく、具体的に付き合わせる言論を、政治家もマスコミもやるかどうかが問題で、安倍氏のキャラを論っている場合ではないし、ご本人がやめたから責任はあげて、メディアも含めた総体の「政治業界」に突きつけられている。そしてその業界のステークホルダーは有権者よ。


 安倍氏本人の退陣理由の説明が「なんだ、こりゃ」なのは一般に斉しく感じるところだけど、政治家の進退に本当の理由なんてあからさまに語られることは最初からない。

 ブッシュ大統領は戦前の日本と国際テロ組織と一緒くたにして、テロとの戦いは民主主義を樹立するためと、軍国専制国家「大日本帝国」を打ち負かして日本を民主化したという歴史観、価値観を強調しました。

 戦前体制との連続性を大事にする、日本の保守派としては容認できない見解です。例えば、こうしたアメリカの価値観と、現実の日米同盟との矛盾に対し、「東京裁判史観」に連なるアメリカ・ブッシュ政権のこうした発言、かような歴史認識に、安倍首相が抗議して、あるいは嫌気が差して政権を降りようとしたとしても、そんなこと外交上言えないよね。

 http://ameblo.jp/kandanoumare/entry-10044640003.html


  「下司の智恵は夕暮れになって飛び立つ」だけど、参議院選挙で勝つチャンスは、松岡大臣の自殺の時に、任命責任だけでなく処理の不手際の責任をとって、辞任して後継、麻生で、新任ご祝儀ムードの続いているうちだったでしょう。それなら「人柄は誠実」というのだけはゲットできて、後継総理にぼろが出て、たとえ参院選で負けても本人責任はずいぶん軽減された。

 参院選挙後も、敗戦責任とともに、今後の国会運営で「テロ特措法」成立のためには早い決断が必要、と、このタイミングで「国際貢献」を理由にすれば主導権を小沢氏にとられなかった。

 そうできなかったのは、本人のキャラだけど、もう一つは、後任候補にぱっとした人がいないから。政治ってつねに、落としどころの人事が決まらないとごたすたするんだよね。

 そういうわけで、安倍首相はその政治家のキャリアとしても自民党を代表するようなところは皆無なんだけど、自民党全体の脆弱さが安倍政権にしわ寄せされている。

 そして、拉致問題というイシューを過大にあつかったマスコミ報道とそれにのせられた大衆世論の愚かさの反映が安倍政権の迷走ぶりで、本人のキャラに帰するのは問題の矮小化です。


 というわけで、安倍首相をぼろくそに言ってすむ話ではないのよ。最初から。

 ではまた。

 

 えっ? 安倍首相に責任をかぶせるのは間違いだとは言っていても、全然、安倍首相をほめてない?

 うーん。 「シンゾーを褒めるの?」