ある晴れた日の午後である。「チャンネル櫻花」というCS放送局の会議室、数人の男女が子ども向けヒーロー番組の企画を話し合っていた。小さいうちから愛国心を涵養するため、SFアクションを放映し、子ども達に「愛国心はかっこいい」と教え込もうというのである。
「日本に襲い掛かる外敵と戦うヒーロー達、3人組でいいかな」
「部長、こういうのはやはり5人組でしょう。」
「アカレンジャー、キレンジャー、アオレンジャー、アオレンジャー、アカレンジャー、キレンジャー・・・・・・」
「早口言葉じゃない。まじめに考えろ」
「人数は予算との兼ね合いもあるから、まずタイトルを決めましょうよ。キーコンセプトとも関わりますから」
「やはり『愛国』は入れたいですね。『愛国挺身隊』か『愛国勤皇隊』、『皇国防衛隊』もかっこいい」
「ここはさわやかなイメージで『神風颯爽隊』はどうです?」
「『報告義烈隊』 『憂国維新隊』 『神州旭日隊』 」
「愛国の至情は名に表さねばならんが、あまりに難しいのは子どもにわからんぞ」
「中学・高校生まで対象でしょ。好感度の高い字をいれましょうよ。『国粋誠愛隊』とか」
「誠愛か。昔の漫画みたいだな。音もいささか軟弱だ」
「でも友情は少年漫画、永遠のテーマですよ。『皇国同志隊』はどうでしょう」
「『同志隊』は、いかにも仲間との友情を表していいですね。」
「『皇国』も捨てがたいけれど、国を興す『興国』の字がいいのではないでしょうか」
「よし。では、ヒーロー軍団の名前は「興国同志隊」に決定する。」
「次にメンバーのキャラクターを決めましょう。それから「興国同志隊」の後になにかつけるかどうか。」
「横文字はどうかな。視聴者から外来語の多用は日本文化を貶めるものと批判が来るからな」
「ちょっと、その前に広報宣伝部に、タイトル名だけ伝えておきます。・・・・・・、あっ、もしもし、広報?例の番組タイトルねー。「興国同志隊」で決まったから。字はね。国を興すの興国、それに志を同じゅうするの同志。それに『赤報隊』の『隊』ね」
電話の向こうの声。
「オーケー、わかった。それで、広告、どうしたい? 」
(続く、かどうかわからないな。こんなアホネタ)