最近ふと思うのは、結構夢叶っているなぁと思う。色々不幸だなぁと思う事もあるが、夢は叶ってるとは思う。
それは私の能力では勿論なくて、まわりの人の尋常ならざるサポートがあってだけど、間違いなく叶っている。
第一に、未熟ながら講談師をやっている。というか、やらせて頂いている。まだその段階。
第二に、講談研究室という、師匠と親子会をやらせて頂いている。
しかも連続物のリレーという、私のキャリアであり得ない事をやっている。この会は連続物の他にもう一席やるが、そのネタも「どうしてもこのネタが聞きたい」と頼んでやって頂いている。
そんな無茶を言う私も私だが、やる師匠も凄い。
私の芸歴は5年で、師匠は42年だ。逆の立場ならどうだろう。私が師匠の年齢の70歳の芸歴42年で、29歳の芸歴5年の弟子の言うことを聞くだろうか。
普通、やらない。
そんな無茶が通っている。これほどの幸福はない。実は私が一番、講談研究室という会を楽しみにしている。
元々、私はファン気質が強いから、このネタ聞きたいなぁ。あのネタ聞きたいなぁというのがある。某兄さんが学生時代、授業中に夢の寄席といって色々な派閥も時代も越えた落語家、色物の並びを妄想していたらしいが、それに近い。
現実にやって頂いているのは、奇跡だと思う。
しかも、いつも以上に全力でやって頂いている。
今回2月2日
真紅「秋色桜」
松之丞「ボロ忠」
松鯉「笹川の花会」ー天保水滸伝リレー
~仲入り~
松之丞「久八放逐」
松鯉「さみだれ話」ー村井長庵リレー
という並びだが、師匠は二席とも圧倒的な高座をやっていた。
あんな高座、他に出来る人がいたら、教えて欲しい。
こういう私の好きな講談を、お客様と共有できたらこれほどの喜びはない。
帰りに、師匠とサシで飲んだ。
色々、講談について話を聴く。そんな中で酒も入ってるからか、かなり踏み込んだ事を聞いた。
「師匠、必死に連続物を中心に、はったりじゃなく500席も覚えて、しかもすぐに出来るじゃないですか。しかも完成度が高いレベルで、十年以上も前にやったのを出来る。みんなはったりばかりの連中なのに、自分1人だけ特異なレベルでやってると思うんですけど、そういう執念に似たような事をしていて、孤独じゃなかったんですか❓」
「うーん。五人会という連続物の会も25年ほどやったし、そう思った事はない。」
と言っていた。ちょっと衝撃だった。
また、酒の勢いもあって踏み込んだ。
「師匠は、私がどんな講談師になればいいと思っていますか❓」
こんな事を聞く弟子はいないし、師弟関係ではあり得ない質問だが、どうしても聞きたくなったので聞いてみた。
師匠は物凄い言葉を選んで、「こうなって欲しい」といった。
その後「俺はそういう講談師でありたいと思う。お前には押し付けないよ。」と。
なんか夢の中でしか出来ない会話をした気がする。
あれだけ憧れていた松鯉とサシで飲むことも、自分が一応講談師であることも、不思議でいっぱいだ。
ベロベロで、眠りに。明日は新潟。