潤滑油。 カビ臭いほど病んでしまったこの身体には どんな潤滑油を差せば自由に そして身軽に動いてくれるのだろう 錆び付いた関節のすき間から 苔むした積年の想いが 微かに音を立てて漏れ始めている 自由が闊歩していた化石の日々に 両手を合わせ引き寄せたい衝動に 駆られるのである 弾ける若さを振り撒きながら 私の前を歩いて行く その女のなんと滑らかなことよ