
3月7日、福島・アルツ磐梯で行われたフリースタイルスキー・世界選手権。
女子モーグルで日本を代表するエース「上村愛子」選手が初優勝を飾り、早々とバンクーバー冬季五輪の内定を決めた。
不況の風が吹き荒れる中、多くの企業が内定取り消しをしているが、彼女の内定は100%取り消される事はないだろう。
世界屈指と言われる難コース、選手たちの前に立ちはだかる荒れた雪の中で、転倒者が続出。
雪に舞い上がる白い悪魔は、アスリートたちをことごとく寄せ付けず、大きな白い壁となって立ちはだかった。
その中を一人のアスリートが白い煙を立てながら滑走する。
加速するスピードは最早誰にも止められなかった。
トリノ五輪の無念さを胸の内に秘め、それは彼女のチャレンジ精神に火を付けた。
3年前のあの日、悔しい思いを涙ながらに語ったあの一言が脳裏をよぎる。
「一体どうすればオリンピックの表彰台に上がれるの・・・」
上村愛子は悩み、苦しんでいた。
しかし今の彼女にはその頃の面影は微塵もない。
自信に溢れた微笑を浮かべ、最高の滑りを見せたのだから。
彼女をここまでに成長させたのは、恩師「ヤンネ・ラハテラ・コーチ」である。
この人物との出会いがなければ、今の上村愛子は存在しなかったかも知れない。
全てのアスリートに通じるものは、練習と努力であるが、それだけで目標地点に到達することは難しい。
やはり、自分を育ててくれる優秀なコーチがいてこそ目標が達成出来るのである。
これはわたしたちにも言えることで、人生にはコーチが必要な場合もある。
自分では解決出来ない難題にぶつかった時、それを超えるヒントを与えてくれる人物と出会うこと。
どんな人物がコーチになり得るかわ分からないが、そのような人物は意外と近くに存在しているかも知れない。
だから、人との出会いは大切であり、自分の人生に置いて重要な要素なのである。
彼女がこれまで歩んで来た道は決して平坦なものではなかった。
先天性の心臓病を持って産まれ、そして学生時代にはいじめにも合うという、辛い子ども時代があった。
しかし、スキーと出会い諦めない心を培って彼女は大きく成長した。
アスリートにはつき物の怪我にも泣かされ不遇の時代もあったが、どんな時でも自分を信じて来たからこそ、現在の彼女が在るのだと思う。
わたしはスポーツが出来ない身体ではあるが、彼女やそして多くのアスリートたちから学ぶものは多い。
スポーツは出来なくとも、その心は一体となって共有する事は出来る。
即ち「諦めない心」を持つことである。