横浜市における少子高齢化 | かながわパブリック法律事務所のブログ

横浜市における少子高齢化


 最近話題になった書籍に「地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減」 (増田寛也著 中公新書) というものがあります。

 私も先週、出張の移動の合間に読んでみました。


 若者が学校・雇用のない地方を出て首都圏に流失し続けた結果、地方では若者はおろか既に高齢者すら減少が始まっており、このままでは896の自治体が消滅しかねないとのことです。

 一方で首都圏では人が流入して一時的に人口が増えても、住居・子育て環境が整っていないため、こどもの数は増えず、やがて地方からの人口流入も止まり、そのうち首都圏においても人口が減少に転じ超高齢化が進むと予測しています。

 この本には賛否両論、様々な評価がなされているようですが、改めて人々に今後の人口減少社会の到来とその対応策を考えさせる意味で大変意義のある書籍と言えるのではないでしょうか。

 かなパブの社員弁護士が派遣されていた各地においては、まさに高齢化・過疎化が著しい勢いで進行しています。

 例えば私が赴任していた熊本県天草市においては、平成2年の国勢調査時には約11万2000人(天草市発足前ですが、現在天草市となっている旧市町村の合計です)いた人口が平成22年の国政調査時には約8万9000人となっており、人口減少が進んでいます。

 地元の高校を卒業すると、就職するにしても雇用先があまりなく、また進学するにも地元に大学はないため、いずれにしても地元を離れていきます。Uターンしようにも仕事がないため、一旦出て行った者はほとんど戻ってきません。


 天草にいる頃、遺産分割の協議などをしようとすると、相続人(亡くなった親のこども達など)はほとんど皆遠く離れた都会(関西か中京圏が多かった記憶があります)にいて話し合いが大変だったことを思い出します。


 しかし、少子高齢化・過疎化は何も首都圏を遠く離れた地方のみで進行しているわけではなく、実は横浜市においても進行しています。


 現在、横浜市全体の人口は微増を続けていますが、北部では増加、南部では減少とはっきり別れています。すなわち、昨今の都心回帰の指向を受けて、東京に通勤・通学のしやすい青葉区、都筑区、港北区、鶴見区などは増加しており、一方東京からやや遠い港南区、栄区、金沢区などの南部の区は減少し続けています。

 特に私の地元でもある金沢区は人口減少がもっとも進んでおり、毎年1000人前後減っています。


 そういえば、この間、横浜市金沢区の法律相談に行ったところ、相談の全てが相続、遺言、介護トラブル、成年後見、等々高齢者の関係する事案で、相談者もほとんど60歳以上の高齢者でした。

 金沢区は昭和40年代~50年代に開発が進められ、後残されているのは急な傾斜の山林なのでこれ以上の開発は難しいこと、東京に通うにはやや遠いこと、駅から遠く、かつ急な坂を登らなければならない山の上の住宅地も多いこと、などから東京に通勤する若い世帯の住居としては、選択肢から外されているのかも知れません。


 ただ、金沢区は自然が豊かで、海も山もあり、広い公園や史跡(金沢文庫、称名寺、朝比奈切り通しなど)、レジャー施設(八景島)もあります。決して住みにくい場所ではないはずです。今後、若者も住みやすい街にするにはどうしたらよいか、みんなで考えていく必要がありそうです。