司法書士の山口です。
「住宅ローンの返済を滞納している」
この場合に、今後も住宅ローンを返済していけるか?という基準を説明します。
滞納しても住宅ローンの返済を続けられるか?
これは「代位弁済が行われているか?いないか?」がポイントです。
その理由は、代位弁済が行われると一括返済しか認められなくなるためです。
つまり、事実上、住宅ローンを払っていくのは難しくなるのです。
早いケースで、住宅ローンを3ヵ月~半年ぐらい滞納すると保証会社が登場します。
そして、保証会社があなたの住宅ローンを一括返済した場合。
そうすると、住宅ローン債権は保証会社に移動します。
「もう住宅ローンを支払えないだろう」
こう認定されたら、保証会社があなたの住宅ローンを一括返済してしまうわけです。
(代位弁済とは?)
保証会社が代わりに住宅ローンを返済することが「代位弁済」。
なぜ、保証会社は代位弁済するのでしょう?
銀行は表だって不良債権の処理は行いません。
その役目は保証会社が行います。
(住宅ローンの契約時に、保証会社の取り決めは必ずあります)
保証会社が代位弁済を行うと貸主の地位は保証会社に移動。
つまり、住宅ローン先の銀行や信用金庫から、保証会社に貸主が代わるのです。
そのため、今後は保証会社に支払いをする必要があります。
代位弁済通知というものが、あなたの手元に届いた場合。
「あなたの代わりに全額返済を行った。これからはうち(保証会社)に払ってね」
という意味の通知なのです。
「借主の許可も得ないで代位弁済されるってあるんですか?」
という質問がたまにありますが、もちろんありです。
弁済につき「正当な利益」を有しない者が、債務者に代わり弁済した場合(任意代位)。
この場合は、債務者(あなた)の承諾が必要です(民法499条1項)。
しかし、保証会社のような弁済につき「正当な利益」を有する者が、債務者に代わって弁済した場合(法定代位)。
この場合は、債務者(あなた)の承諾なしで、当然に債権者に代位できます(民法500条)。
「代位」とは、債権者に代わってその地位にたつことです。
(代位弁済が行われたらどうなるか? )
保証会社から一括請求を受けても払えない場合、競売の申立てをされます。
例えば、三菱UFJ銀行が住宅ローンの融資先の場合。
その保証会社である三菱UFJ住宅ローン保証が代位弁済を行います。
代位弁済が行われると、住宅ローンの一括返済しか受け入れてもらえません。
つまり、遅れていた住宅ローンだけを支払ってもダメ。
元のように毎月払っていくというのはできないのです。
・親族などの力を借りて一括返済する
(例えば3000万円のローンで2000万円残っていたら2000万円全額)、
・この不動産を売却する(任意売却)
代位弁済後は、これしか方法はありません。
逆に、滞納していても、まだ代位弁済が行われていない場合。
この場合なら、今までどおり毎月の分割で支払いを行っていける可能性はあります。
そして、住宅ローンの支払いを圧迫しているのが、クレジットカードやカードローンの場合。
この場合には、カードの借金に任意整理や個人再生を行うことが有効です。
カード返済の金額を削減。
削減できた資金を、住宅ローンの返済に充てていくのです。
しかし、これも、住宅ローンの滞納を解消できればの話。
滞納月数があまりにも多いと、個人再生でも厳しいのです。
月10万円の住宅ローンも、5ヶ月滞納すれば50万円…
これを解消しながら、元々の毎月10万円を払うとなると月15万円は必要。
結構な金額なのです。
ありきたりな言葉ですが、早めに動けばなんとかなる。
しかし、遅ければ遅いほど、手遅れになるケースもあるということです。
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