☆漢方が医療費削減の切り札になる実例


実例①

慶応義塾大学病院 では大腸がんの術後に積極的に漢方薬、大建中湯(だいけんちゅうとう) を処方してます。イレウス防止に効果があるのです。大建中湯(だいけんちゅうとう)を処方することで入院日数が短縮されると報告してます。
大建中湯
実例②
衣笠病院薬剤部 の赤瀬部長(2000年当時)が風邪症候群患者875人のカルテを調査したところ、漢方薬を処方した場合は西洋薬を処方した場合と比較して6割以上安く、漢方薬と西洋薬の併用の場合は2割安かった。風邪を全て漢方薬で治療すれば国の医療費は400億減ると発言されています。


実例③

高齢者の患者の多い、ある病院で漢方薬主体の処方を積極的に用いたところ、高額な抗生物質などの薬剤使用量が減り、薬剤費がほぼ半減したといった報告があります。


実例④

胃がん切除後のケアのための投薬を漢方薬にしたところ、術後の入院日数が短縮されたという報告があります。これを日本全体の胃がん患者にあてはめると数百億円の医療費削減になるということです。


漢方薬の費用対効果の高さは、高齢化社会を迎えて増加する医療費を削減しつつ、患者さんのQOLを高めるという切り札になる可能性を秘めているのです。

《 解説 》

漢方というと、「保険が使えないから高い」と考えている人がまだまだ多いようです。しかし、それは必ずしも正しくありません。



医師が処方する漢方薬の多くは健康保険で認められており、基本的に患者さんの負担は西洋薬と同じなのです。漢方治療だからと言って特別な支払いが要求されることはありません。ではなぜ、「漢方は高い」というイメージを持たれてしまうのでしょうか? それは実際の医療としての長い伝統とは裏腹に、公的な医療制度としての短い歴史のためだといえるでしょう。



漢方薬に保険が適用できるようになったのは1976年のことです。当初は、43種類の漢方処方が「医療用漢方製剤」(定められた規格・規則で工業的に生産された漢方製剤)として薬価基準に収載され、健康保険適用が認められました。その後、保険適用の範囲が広がり、現在では148種類の漢方製剤(147種類がエキス剤を中心とする内服薬、1種類が外用の軟膏)と煎じ薬用生薬159種類が薬価基準に収載されています。(その他、特殊なものとして、単品投与が保険調剤として認められない製剤がこれら以外に数種類あります)
「保険のきく漢方薬」の増加に連れて、漢方薬を診療の場で用いる医師の数も増えました。7割以上の医師が何らかの形で漢方薬を日常的に使っているという最近の調査結果があります。



このように、以前とは違って、漢方は決して高いものではなくなっていますが、保険が適用できるようになってからまだ25年しかたっていないために、かつてのイメージで高いと思ってしまう人が多いのではないでしょうか。また、すべての漢方薬に保険が適用できるわけではないという事実も無視できません。診療所によっては、生薬を調合し煎じ薬の服用を指導するという伝統的な方法で自由診療による漢方処方を行っているところもあります。また基本は保険診療ですが、必要に応じて適用外の自由な処方を用いる医院もあります。自由診療となれば、当然のことながら、料金は医療施設によって異なり、場合によっては患者さんにかなりの負担を強いることもあります。この自由診療の存在が、「漢方は高い」というイメージを作っている一因だといえるでしょう。

このように、実際以上に高く見られてしまっている感のある漢方ですが、むしろ漢方のほうが安いという実例もあります。