今日は2019年(平成三十一年)2月26日ですが・・・
今を去ること、83年前の1936年(昭和十一年)2月26日は二二六事件が起こった日で有ります。
昭和11年2月26日の東京は前日深夜から大雪が降っておりましたが
その中を東京を駐屯地とする陸軍歩兵第1連隊、歩兵第3連隊、近衛歩兵第3連隊等の
将兵約1,400名が決起。
当時の政府の重臣を襲撃・殺害し、政治の中心であった永田町を占拠制圧した事件。
帝都東京における日本陸軍の反乱事件と言えば・・・
1878年(明治十一年)の竹橋事件や、1945年(昭和二十年)の宮城事件も連想しますが、
その規模とその後の歴史における影響度から言えば、やっぱし二二六事件ですね。
事件から80年以上を経た現在でも様々な新資料が発掘され、
様々な評論による新たな解釈が成されています。
しかしながら様々な人物の思惑による、様々な背景から生じた複雑な事件であって、
単純に「真相はこれだ」とは、とてもじゃないけど言えないと思います。
でも、この事件の最大のキーパーソンは昭和天皇だったのは間違いない。
昭和天皇が少しでもこの事件に対して、同情的、融和的、妥協的、日和見的心情を表現してれば、
その後の展開は全く違っていた。
しかしながら明治の元老から英国的立憲君主制を徹底的に教育された昭和天皇にとって、
非合法的手段による「天皇親政」は決して認めることは出来なかったんだろうな。
統制派VS皇道派の軍部内派閥における「内ゲバ」は
この事件により皇道派は壊滅し統制派の一方的天下になります。
「内ゲバ」に費やしていたその労力は一挙に外部(政治)に向けられ、
挙国一致による統制国家へと(太平洋戦争へと)押し進むことになりますが・・・
これは歴史の皮肉であり、残酷さでもあると感じます。
どちらに転んでも悪手でしかない。
中途半端にナァナァで進むってのも時としては好手でありうるんだろうと私は思いますね。
「白黒ハッキリつけない」ってのも政治には時として必要だわな。
でもこれは結果論ってのも認めざるをえないけど。
二二六事件と言えば私的には1979年(昭和五十四年)に放送されたNHKドキュメンタリー
「交信ヲ傍受セヨ~二・二六事件秘録~」を思い出します。
二二六事件の戒厳令下に戒厳司令部によって盗聴録音されたレコード盤の
復元模様と関係者達のインタビュー。
NHKのドキュメンタリー番組の最高傑作の一つだと感じます。
安倍源基元特高警察部長、真奈木敬信元陸軍中将、鈴木貞一元国務大臣等々
昭和史における歴史上人物の生身のインタビューが凄い。
事件で刑死した西田税の奥さんや安藤大尉の奥さんのインタビューもね。
事件から僅か43年後だからこそこのような番組が作れたわけで。
今から83年前の電話で喋る人々ですが・・・聞いても違和感なく会話できそう。
文法的にも今とあまり違わないようです。
「左様でございます」「と、申しております」等、
現在では使われない古語での会話もまぁ理解出来ますからね。
4時間分のレコード盤で復元できたのは2時間半だということ。
でも現代の技術だったらもっと精密に解明できるだろうし、続編やってほしい番組です。