秘めごと | 風紋

風紋

鋼の錬金術師ファンの雑文ブログ



  リンとランファンに愛が偏っています

問題ない程度ですが性的描写がありますので読まずにいたほうがいい方はスクロールしないで下さい






















「二人だけのときは顔を隠さないで。」
落ち着ける時と場所にあって、護衛の任を解いた私をそのまま側に置いて
下さるとき、主はそう言葉を私にかける。
面をはずしクナイを取り去った護衛でない私を知るのは主だけ。
それは他の者は決して立ち入らせない二人だけの秘めごと。


主に面をはずされるのはいつも恥ずかしい。
すぐに内心が表情に出てしまうのに、あまりにも間近で素顔をさらされる
から、紅潮する頬は誤魔化しようもなくて。
「期待してくれてる?」
冗談混じりに言う主は、緊張をほぐす優しい口づけから始めてくれる。


ひとつひとつ仕草のたびに部屋の湿度があがる。
囁きと吐息と衣擦れ。
汗のにおい。口のなかで溶け合う甘い唾液。
肌の上を滑り、探り、煽り立てる指。
感覚のすべて奪われそうで、私は目をつむり顔を覆ってしまう。


「ランファン。」
眼の前を覆っていた手を除けられ、ぼやけた視界に主の顔が映る。
動きを止めて私の意識を引き戻させた主の顔は気遣わしげにも、どこか
意地悪に反応を楽しんでるようにも見える。
「顔、隠さないでって言ってるのに。」
言いつけを守ることも忘れるほど快感に溺れていた私をからかうような、
笑みさえ含んだ目をして。
「もうしわけ、ありま・・・」


返す言葉は最後まで言えなかった。
そのまま捉えられた手へと施される口づけ。
その甘美さに、指先から背筋までじぃんと痺れが走る。
恭順のしるしにするような口づけを主から受ける背徳感。
倒錯した遊戯のようでありながら、それは私を追い詰める。


拒むこともできずなされるがままの手をとり、主はそのがっしりした自身
の手指と組み合わせて寝台へと押し付けた。
展翅された蝶のように動けない私を主は視線でも縫いとめる。
羞恥に目を反らせたいのに許されぬまま、はしたない喘ぎをもらしじっと
していられない下肢を震わせて私は耐える。
手で隠すことのできなくなった私の無防備な顔を伺う主の目には、探るよ
うな問いかけるような熱がこもっていて、その視線を受け止めているだけ
で窒息しそうになる。
止められていた主の手はふたたび私を呼び覚まして、煽って、追い上げて
、昇りつめさせて。


「んっ、や、あ、あっ、ああぁ・・・」
気がつけば、また私は目を瞑ってしまっていた。
それどころか詰めていた息が解放されて、呼吸するたびすすり泣きのよう
な声をあげてしまうことすら止められない。
それを咎めることもなく、主は顔を寄せて私の名を囁く。
そのまま覆い被さり身体を密着させて包み込むように抱きしめてくれる。


「リン様・・・」
―――こんな姿を見せられるのは、貴方だけです。
言葉には出来ぬまま、思いをこめて私は主の体に手をまわす。
畏れも羞恥も忘れてただ愛しさに目を瞑ったまま抱きしめ返す。