彼女の記憶 | 風紋

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鋼の錬金術師ファンの雑文ブログ



  リンとランファンに愛が偏っています

時系列としてはコミックス10巻あたり。
病室のハボックのモノローグです。話してる相手は中尉でしょう、きっと。

                                                         

                                                       

                                                        

ランファン?ああ、あの娘そんな名前だったっけ。
最初は存在感じていなかったくらいっスよ。


いや、そんなんじゃなく。大佐からの指示で隣室で張っていた間、だから
3日もか。ずっと隣で気配を窺っていたんだから何かしらそいつの雰囲気
とかってわかってくるもんでしょう、普通。
ところがあの娘喋らないし。気配すら感じさせないっていうか。


ファルマンずっとシカトされてたみたいっすね。
なんかあいつ相当こたえてたらしい。バリーにふりまわされて、そのうえ
リンもたいがいマイペースな奴みたいだし、ついてる護衛は何考えてるか
わかんねえ。
せまい部屋で顔つきあわせてるのに一言の愛想もないって。
任務最優先ってことなんだろうけど、俺が見るにアレですね。あの娘実は
動揺しやすいんじゃねえの?


イヤ、緊急事態に対する対応はすごいよ。
バリーの肉体のほうが部屋で暴れてるのに、窓の外とドア側と両方に注意
向けていられるんすから、冷静沈着正確無比だね。
そうじゃなく人と話すこととか、苦手なんだろ、あの娘。
すぐ赤くなるっていうし、何か聞かれて困ること言われても嘘で取り繕う
なんて出来ない、そういうタイプ。
自分でそれよくわかってるからだったんじゃないっすか?
ファルマンと話さなかったの。


え、アイツ女の子だってわかってなかったの?! 

そりゃいくらなんでもニブすぎるわ。

ははははっ、これだからもう、学者サマは。
まあ、そりゃわかりにくいかも知れんけどさ。あの仮面だし。
フード被ってて、黒装束でそのうえ防具で身体の線なんかすっかり隠れて
るけどさ。あんな小柄で華奢で。


なんでこんなちっさな子が、って思ったよホント。
俺が突入した時、ファルマンがテンパってるのに冷静に推何するんだぜ
「味方カ?」って。肝が据わってる。
声出せねぇから頷くしかできなかったんだけど、すぐわかってくれたね。
「ここはまかせタ。」って。


・・・ああ、あの娘って俺がこの作戦で活躍したの見てるただ一人の

部外者なんだよなあ・・・

                                            

                                               

                                            


すんません、礼なんていいから、って。
見舞いなんかいいって。
そう、言っておいて下さいよ。
まだこの体たらく、自分でも受け止めきれてないんっスから。
せめてあの娘にはもう少し、颯爽と助けに入ったあの日の俺の姿を

覚えていて欲しいんスよ。

・・・わかってます、悪あがきだって。
すんません。だから、もう少しだけ。

                                              

                                           

                                            


あとがき


鬱な話ですいません。

あまりに更新が少ないんで、お蔵に入ってたのをひっぱりだして

きてみました。

「×ランファンアンソロジー」のときにマスタング組の6人がそれぞれ

自分の見たランファンをほかの仲間に語る連作という大それた企画

を考えたものの、みごとに座礁してしまったものです。

このハボックのは書きやすかったんですけどね・・・

6つ揃うのはいつの日になるか自分でもまったくわかりません。