滝を見にいく(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

滝を見にいく(ネタバレ)

<どうでも良い前置き>

今年の秋ごろ、タマフルリスナーでお馴染みのスターリング・エレファントさんからゴールデン街の飲み屋を紹介していただきまして。そこは“映画が好きな人が結構集まる店”ということで、最近は仕事が終わった後とか、映画を見終わった後に立ち寄るようになりましてね。とりあえずマスターと映画の話をしつつ、他のお客さんとも会話するようになったりして…。現在、非常に気に入っているのです。

で、今月の話。忘年会の帰り、ブラッと立ち寄って飲みまして。深夜1時を回ると、店にいるのは僕とマスターと出版関係の方の3人だけ。「あの映画が良かった!ヘ(゚∀゚*)ノ」「あの映画がダメだった!(`Δ´)」などと話していたところ、出版関係の方がこの「滝を見にいく」を薦めてきたんですよ。いや、沖田修一監督の作品は結構好きだし、おばちゃんが主人公の映画も嫌いじゃないけどさぁ。「おばちゃんたちが山で迷うだけ」の話なんでしょ? 現在、「ザ・レイド GOKUDO」に夢中の身としては、そんなの観る気はナッシングだったんですが、しかし!

その出版関係の方が「確かにどうってことない映画なんだけど、スゲー良かったんだよ~ (´∀`) ホッコリ」なんてホッコリ顔で褒めてたのでね、酒の勢いも手伝って「じゃあ、観てきますYO!ヽ(`Д´)ノ」なんて言ってしまって…。ううむ、いくら酔っていたとは言え、約束は約束。先週、サービスデーの水曜日、新宿武蔵野館に足を運んできました(そして、その後にレイトショー上映の「サベージ・キラー」をハシゴした)。

エレベータを降りると、サイン入りのポスターが。
サイン入りポスター

ロビーにはこんな展示があったりして。
ロビーにはこんな展示

記事の切り抜きも多めでしたよ。
記事の切り抜きも充実

ちなみに劇場はほぼ満席であり、チケットを買う際、受付の女性に「前方の席でも大丈夫ですか? 川・∀・)」なんて聞かれたから、答えは「Hell No! m9`Д´) ビシッ」。僕は体が大きいので端っこの席じゃないと隣の人に迷惑をかけるし、そもそも「おばちゃんたちが山で彷徨うってのに、座って観ていられるかよ!( ゚д゚) クソガ!」と、あえて立ち見をチョイスする勢いだったというね(よくわからない理屈)。で、適当な予告編が流れた後、映画が始まったんですが…。
















滝を見にいく

滝を見にいく

2014/日本 上映時間98分
監督・脚本:沖田修一
製作:井田寛、前田直典、小笠原高志、重村博文
企画:深田誠剛
プロデューサー:春藤忠温、小野仁史、石井稔久
ラインプロデューサー:平田陽亮
撮影:芦澤明子
照明:御木茂則
録音:高田伸也
美術:寺尾淳
編集:佐藤崇
音楽プロデューサー:安井輝
VE:鏡原圭吾
衣装:馬場恭子
ヘアメイク:田鍋知佳
助監督:丸谷ちひろ
制作担当:橋立聖史
出演:根岸遙子、安澤千草、荻野百合子、桐原三枝、川田久美子、徳納敬子、渡辺道子、黒田大輔
パンフレット:★★★★(500円/ロケ地マップが入っていたりと、この値段にしてはボリューミー!)
(あらすじ)
幻の滝を見に行くツアーに参加した7人のおばちゃんたち。写真を撮ったりおしゃべりに花を咲かせたり、それぞれの楽しみ方で紅葉のひろがる山道を進んでいくが、ガイドの男性が先を見に行ったきり戻ってこなくなってしまう。携帯の電波も届かない山中に取り残されたおばちゃんたちは、食料も寝床もないサバイバル生活を送るハメになり……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




85点


カタカナで思いましたね、「好ミノタイプダ」と (´∀`) ホッコリ


一応、ジャック・ハンマーがアレクサンダー・ガーレンを見た時の画像を貼っておきますよ(「グラップラー刃牙」第30巻より)。
好ミノタイプダ

ちなみに「完全版」では平仮名&横書きに変えられているのです… (´・ω・`) ザンネン
好みのタイプだ


お話を雑に書くと、「“幻の大滝”を見る→秘湯に入る」という3万円のツアーに参加した7人のおばちゃんたちが主人公。滝への道を見失った添乗員がなかなか戻って来ないので、自分たちだけで下山しようとしたところ、ショートカットが失敗して、道に迷ってしまいまして。一旦は揉めたものの、野宿の準備をするうちにみんなの距離がグングン縮まっていくのです(いつの間にかサラッと愛称で呼び合っていたりするのが愉快)。


協力するうちに、すっかり打ち解ける7人なのでした。
仲良くサバイブするおばちゃんたち


翌朝、遊びながら救助隊を待てども全然来ないので、自分たちで下山を試みると、今度は成功して元の道に戻るんですが…。ここでジュンジュン(根岸遙子)が「滝を見に行きませんか?(´∀`し」と提案してきまして。もともと熱心に滝を見たがっていたのは師匠(徳納敬子)とスミス(渡辺道子)ぐらいであり、その彼女たちですら疲れていて帰りたいと思うのが普通なんですけれども! この場所、この瞬間、この仲間たちと、「あえて滝を見にいく」というジュンジュンの「でもやるんだよ」マインドに全員がプチャヘンザ!ヽ(`Д´)ノ で、アッサリと滝を見つけて各々過ごしていたら、7人を探していた添乗員に遭遇しまして。エンドクレジットが流れる中、地元の人のトラクターに乗って下山して終わってました。


滝に到着した7人のおばちゃん画像を貼っておきますね。
滝を見た!


もうね、登場した7人のおばちゃんたちは全員素晴らしくて。甲乙付けがたいというか、「みんなが一等賞 (o^-')b」ライクな心境ではあるんですが、しかし! やはり思い入れの差があるのでね、なんとなくランキング形式で紹介してみます↓


第7位 桑田三枝(クワマン)

最初はイヤな印象なんですが…。
7位 桑田三枝(クワマン)

友人のクミと一緒にツアーに参加したクワマン。7人の中でも「口がうるさい」感がビンビンであり、序盤のユーミンとの対立は実にハラハラさせられるんですが…。野宿することになってから、“タバコの一服”を通じてユーミンと和解する場面がスゲー好き。腰に爆弾を抱えたクワマンにとっては、クライマックス、滝を見にいくのはかなり厳しい決断だったろうに、その心意気にも胸を打たれました。演じた桐原三枝さんは劇団に所属する女優さんだそうです。


第6位 田丸久美子(クミ)

クワマンと一緒にツアー参加したクミ。
6位 田丸久美子(クミ)

最初は彼女も口うるさい印象がありましたが、それはクワマンに引きずられてのもの。腰を悪くしたクワマンを思いやるシーンが良かったし、オペラ歌手という一芸を活かす場面がなかなか愉快でした。クミ役の川田久美子さんは実際にオペラ歌手兼女優だとか。


第5位 三角道子(スミス)

とんがりコーンを目印に落としながら、たまに食べるスミス。スミスかわいいよスミス… (´Д`;) ハァハァ
5位 三角道子(スミス)

自然の写真を撮るのが趣味っぽくて、後述する“サバイバルマスター”師匠の弟子兼ライバルといった立場のスミス。7人の中ではそこそこ頼れる存在であり、師匠への思慕の念とライバル心が入り混じる性格設定が超キュートなのです。野宿の夜、独白する師匠を下から見つめる表情は100点(キャラたちの“人生の余白”が感じられて、素晴らしい場面だと思う)。演じた渡辺道子さんは女優なんですが、岐阜県の山村出身で、体力には自信があるんだとか。


第4位 根岸純子(ジュンジュン)

山の中で最も生命力を滾らせていくジュンジュン。
4位 根岸純子(ジュンジュン)

実質的な主人公ジュンジュン。最初は単なるボンヤリ主婦かと思いきや、大自然の中に身を置くうちに、少女時代に培ったスキル(たぶん)が復活! 7人の中でも一番イキイキしていて、彼女を見ているだけで楽しくなってくるのです。クライマックス、彼女が「滝を見にいく」と提案する場面は、ずっと自己主張をしなかったのが効いていてスゲー良かったですね。演じた根岸遙子さんはロケ地である新潟県妙高市の地域サポート人。演技経験はゼロとのことですが、全然そんな風には見えなかったですよ。よく頑張った!ヽ(`Д´)ノ ダイテ!


第3位 花沢敬子(師匠)

理想の最年長女性でしたな… (ノД`) ステキ
3位 花沢敬子

写真展に作品を出すためにスミスと一緒にツアー参加した師匠。ユーミンのショートカットの提案に乗ってしまう迂闊さはあったものの、7人の中では最もアウトドアスキルに長けていて、基本的には超頼れる存在なのです。その穏やかな性格もたまらなくて、ハッキリ言って、親戚では“粗野な老婆”しか見たことがない僕的には「こんなおばあちゃんがいてくれたなら… (ノω・、)」とシンミリしちゃいましたね…。師匠役の徳納敬子さんは普通の主婦だったんですが、ずっと女優になりたくて、72歳の時にシニア劇団に入団。79歳でこの役をゲットしたそうです。


第2位 関本百合子(セッキー)

バードウォッチングが趣味のセッキー。
2位 関本百合子(セッキー)

夫の影響でバードウォッチングを始めたセッキー。夫を亡くしながらも、明るい性格&独特な雰囲気&最近始めた太極拳などで周囲を和ませてくれるんですが…。終盤、夢の中で夫と出会って、「待ってぇ~!川TДT)ノ」と泣くシーンの破壊力がとにかく凄まじい。あまりに大ダメージすぎて沖田監督を憎悪するほどというか(迷惑な観客)、危うく声を上げて泣きそうになりましたよ… (`Δ´;) アブナカッタ セッキー役の荻野百合子さんはほとんど演技経験がなかったとか。よく頑張った!ヽ(`Д´)ノ ダイテ!


第1位 谷由美子(ユーミン)

僕的には理想のおばちゃんキャラ…って、彼女と3歳しか変わらない僕は立派なオッサン (ノ∀`) エヘヘ
1位 谷由美子(ユーミン)

今作で僕が一番愛したキャラが、“陽気だけど影のある女”ユーミンですよ。「山中でタバコを吸う→若干、やさぐれ気味?」なんてのはベタな演出だと思いつつも、あの「仕事を水商売と伝えた後に美容師と訂正する」場面を観た瞬間、「ああん、本当は水商売なのに、ウソついちゃって… (ノД`) バカバカ」とフライング涙。みんなの前で爆発するシーンでは、その恥をかく姿が切ないし、「3万円のツアー代はかなり奮発した様子→何らかの“出会い”も期待してた?」といった想像もさせられて、とにかく泣けてくるのです。

荒れるユーミン。こういうシーンって、本当に切ない ('A`)
荒れるユーミン

そして、最もハートを掴まれた場面がラスト。ジュンジュンに人生がまったく上手くいってないこと(店の経営&客との不倫&将来の不安)を告白する場面は嗚咽が漏れるほどに泣けてしまって… (ノДT) ウェェェェェ 奥さんとのセックスレスが5年目に突入した現在、「ちょっとぐらい浮気してもいいじゃない? (;`∀´) ネェ?」気分になっていた僕ですけれども、あらためて不倫はダメだと思ったし、新宿二丁目の行きつけのスナックも、もっと通って支えようと思った次第(なにこの文章)。ちなみに演じた安澤千草さんは女優…って、そりゃそうだと思いました。



って、何を書いているのかワケがわからなくなってきましたが(苦笑)、実に良い映画でして。まず、沖田監督が得意とする“緩めのギャグ”とおばちゃんキャラの相性が良くて、なかなか面白くて。場内は中年女性が多めだったんですが、かなり“笑い”が起きてました。あと、アドリブを重視したという登場人物たちの台詞は実に自然なんだけど、「40を過ぎたら女はみんな同い年」「25過ぎたら全員タメ」を思い出しました)といった印象に残るユニークなフレーズもところどころ入って来て、そのバランスがまた良い感じだなぁと。芦澤明子さんによる撮影も素晴らしかったですね。

それと、山中でサバイバルを始めるおばちゃんたちが女学生のように超キュートに撮られていて、その演出力には感心しましたよ。僕はもともと「不遇なおばちゃんが頑張る姿に弱い」という性質があるため、その魅力をタップリ堪能させていただきました。トラクターに乗っておばちゃんたちが去って行くラストは、どこか違う場所に行ってしまうような不思議な寂しさが漂っていて、なんかね、「この監督が作る世界観って好きだな~ (´∀`) ホッコリとあらためて思ったり。


なんとなく見終わった時の僕の気持ちを代弁する愚地独歩の画像を貼っておきますね。
堪能したぜ


間違いなく低予算映画&有名な役者は1人も出ていないのにスゲー面白かったし、「一部出演者に素人を起用する」という試みにチャレンジ→見事に功を奏しているのもスゴいし(素人っぽい人は素朴なキャラにして、話をかき回す役目は演技経験の長い人にやらせているのがさすが)、まさにグウの音も出ないというか (・ε・) グゥ 沖田監督、大したモンじゃないでしょうか(偉そうに)。「人と人は、フラットになってみれば、自然と打ち解けられるものなのかもなぁ」なんて思ったりもして、かなり好きな映画になりましたよ。薦めてくれた方には超感謝しております (・∀・) オシマイ




沖田修一監督作で一番好きなのは、これです。



ちょっと連想した映画。僕の感想はこんな感じ



僕が持っているサバイバル知識は、すべてこの本から学びました。



なんとなくジャン=クロード・ヴァン・ダム出演作を貼っておきますね。僕の感想はこんな感じ