レッド・ファミリー(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

レッド・ファミリー(ネタバレ)

レッド・ファミリー※ムービーウォッチメンのリンクなどを追加しました(11/21)

レッド・ファミリー

原題:붉은 가족/Red Family
2013/韓国 上映時間100分
監督:イ・ジュヒョン
製作:キム・ドンフ
製作総指揮・原案・脚本:キム・ギドク
音楽:チェ・イニョン
出演:キム・ユミ、チョン・ウ、ソン・ビョンホ、パク・ソヨン、パク・ビョンウン、カン・ウンジン、オ・ジェム、カン・ドウン、ソン・ミンス、パク・ミョンシン
パンフレット:★★★(720円/コラムが2本に監督インタビューが収録されております)
(あらすじ)
誰もがうらやむ理想の家族を絵に描いたような一家。だがその正体は、母国からの密命を遂行するために韓国に潜入している北朝鮮の工作員チーム、サザンカ班だった。表では仲むつまじい4人家族だが、玄関のドアを閉めると階級を重んじ、母国の命令を順守するスパイ集団となる。何かと押し掛けてくる隣人一家を資本主義の隷属者と見下しながらも彼らに憧れを抱き、互いの階級を忘れて家族的な絆を育むようになる4人。そんな中、メンバーの一人が母国に残した妻子が脱北に失敗したとわかり……。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




70点


※今回の記事は、映画と関係のない駄文がダラダラと書かれているので、ちゃんとした感想が読みたい方は他のブログに行った方が良いです。

予告編を観た時、非常に面白そうだと思いまして。さらに今週のムービーウォッチメンの課題作品になったこともあって、一昨日、新宿武蔵野館にて映画ファンサービスデーを利用して観てきました。「互いに敬えばケンカせず済むのにね… (´・ω・)(・ω・`) ネー」と思ったり。


新宿武蔵野館は現在、「レッド・ファミリー」に力を入れてる様子。監督のサイン入りポスターがあるだけでなく…。
サイン入りポスター

エレベーターホールも占領。
エレベーターも!

そして、名物の水槽の展示も「レッド・ファミリー」なのです。
水槽の展示

今回のテーマは「赤と青の分断」ということで。
今回のテーマは赤と青の分断!

一緒の水槽に入れるとケンカしちゃう赤と青の魚を別々に飾っているんですが、それだと永遠に交わる日はこないのでは… (・ω・;) ウーム
赤い魚と青い魚

記事の切り抜きもありましたよ。
記事の切り抜き


まず、お話を雑に書いておくと、一見、“韓国の理想的な家族”に見える4人は北朝鮮の工作チーム「ツツジ班」。祖国にいる家族のため、記念撮影を装って軍事施設を盗撮したり、反逆者の家族を皆殺しにしたりと、日々活動していたんですが…。隣りに住む家族のバカっぽい暮らしを見ているうちに、人間的な生活に憧れるようになり、さらに“仲間への情”も湧いてきて。ある日、夫役のジェホン(チョン・ウ)の家族が脱北を図って失敗したことがわかり、彼の家族を救うために手柄を立てようと、班長のスンヘ(キム・ユミ)が独断で暗殺計画を立案し、“反逆者と思われる男”を殺害してしまうんですね。


“理想の家族”と思いきや…。
理想の家族と思いきや

実は北朝鮮の工作チーム。「ツツジ班」って名前がちょっと可愛い。
秘密工作チーム「ツツジ班」


ところが、その男が実は”二重スパイであり超重要人物”だったため、「ツツジ班は全員死亡&祖国の家族も処罰!m9`Д´) ビシッ」というハードすぎにも程がある窮地に陥るからスーパーゲンナリ ('A`) スーパー 上司の“野ウサギ”(ソン・ミンス)にスンヘは「私は死んでも良いから、せめて他の人たち&祖国の家族だけはお助けを!(´Д`;し」とすがると、「じゃあ、お前らの死亡は確定事項だけど、隣の一家を皆殺しにしたら祖国の家族は助けてやる!m9`Д´) ビシッ」と、イヤ~な指令を下されるのです。


隣に住む家族。息子のチャンス(オ・ジェム)と、娘役のミンジ(パク・ソヨン)は互いに惹かれてしまったりもして。
隣の家族


ツツジ班メンバーは、押しかけた借金取りを撃退してあげるほど“隣の一家LOVE状態”だったため(実に愉快なシーン)、超悩みまして。でも、祖国の家族の命には代えられない。スンヘが「アタシ1人だけで皆殺しにするから!川;`Д´)ノ ヤッタルデー」と気負うものの! 年長者で祖父役のミョンシク(ソン・ビョンホ)が「それは間違ってる ( ´_ゝ`)」と、他のメンバーと一緒に“彼らを見張っていた工作チーム”を捕縛。「自分の家族のために他の家族を犠牲にすることは出来ない」「工作員である前に人間じゃないか」隣の一家の殺害を止めるというね…。


「全僕が泣いた」といわれる真っ当な説得シーンを貼っておきますね。
工作員である前に人間だ!


とは言え、ツツジ班メンバーの死は覆らない (´・ω・`) ザンネン 針金で手を貫通され、足に重りを付けられた状態で沖に出て、海に沈められる5秒前! 4人は憧れていた隣の一家の会話シーンを演じ始めるのです。芝居の終わり際、祖父役ミョンシクの容態が悪化して死亡すると(末期ガンっぽい)、スンへが舌を噛んで自殺し、夫役のジェホンも後頭部を打ちつけて即死するんですが…。見張りの工作員たちはその“最後の芝居”に胸を打たれて、娘役のミンジ(パク・ソヨン)だけ助けたんでしょうな。ラストは、隣の家の息子チャンスがイジメっ子たちに立ち向かう→やられそうになるところを、ミンジが助けて、映画は終わってました。


この状態からの“家族の芝居”、超切なかったですな… (ノω・、)
殺される直前


とにかく「隣に住む理想的な家族は北朝鮮のスパイだった!」という設定がユニークですよね。スパイが自分の正体を隠してあたふたするコメディと言えば、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の「トゥルーライズ」とか思い出すワケですが(探せばいくらでもありそう)、尊敬する映画評論家の町山智浩さんが「たまむすび」で紹介されていた「ジ・アメリカンズ」とかスゲー近い感じっぽいですな。それと「演じるうちに赤の他人同士が“本物の家族”になる」繋がりでは、今年観た「なんちゃって家族」とか連想しましたよ(探せばいくらでもありそう)。異文化ギャップコメディ要素は非常に楽しかったし、ツツジ班のメンバーたちが互いを思いやったりする場面にはストレートに胸を打たれたし、イ・ジュヒョン監督、デビュー作で良い仕事をしたのではないでしょうか。

特にグッときたのが、「隣人一家との食事中に北朝鮮の話題になってスンヘたちが不自然に擁護する場面」。最近、僕も同じような体験をしていたので、まったく他人事と思えなかったというか。それは、取引先の人を接待した席の話。なんとなく映画の話題になって、相手が「そう言えば『エクスペンダブルズ3』なんてやるらしいけど、あんなの誰が見るのかね? (`∀´) ツマラナソー」なんてことを偉そうな口調で言ってきたから、即顔面パンチですよ。


範馬刃牙に顔面パンチされる烈海王を貼っておきますね。
顔面パンチされる烈海王


って、そんなことをしたらスムースに仕事を失ってしまうので、やってません、やってません(苦笑)。まぁ、そういう意見の人もいるだろうと、「僕は映画とか全然詳しくないですけど、結構豪華なメンバーが集まっているみたいですし、意外と面白いんじゃないですか? (´∀`;) ミニイコウカナー」なんてやんわりと答えたところ! 「絶対つまらないでしょ!(`∀´) ケケッ」と自信満々に返してきたから超ビックリ。

いや、「僕はこのブログを書いていることを周囲に知られたくない→仕事関係の人には映画をよく観ていることを言ってない→当然ながら「エクスペンダブルズ」シリーズをこよなく愛していることも知らない」ワケですが、もしかしたら僕が好きな可能性だってあるのに「ここまで罵るのか!Σ(゚д゚;)」と。シカモ(クレアラシルのCM風に)、「そういえば、前のヤツは確かヴァン・ダムとか出てたんだっけ。あんなB級俳優、誰が喜ぶのかね? (`∀´) ケケッ」なんて、あまりに直撃なことを言い出したから、RE:顔面パンチ(脳内で)。


範馬勇次郎に顔面パンチされるアメリカ兵の画像を貼っておきますね。
範馬勇次郎の顔面パンチ


「取引先の機嫌を損なってはいけない」のは当たり前ですが、やはり多少は認識を正さねばならないと思って、「僕もウロ覚えですけど、昔はブラックブラックガムのCMに出てたぐらいですし、日本でも有名なんじゃないですか? よくは知りませんが、レンタル屋に行くと今も新作のDVDが出ていたりするみたいですし、実は根強いファンがいるかもしれませんよ? (´∀`;) メノマエトカ」と言ったら、「絶対そんな奴いないでしょ! (`∀´) アホカ」と一蹴。その後は「SBMD」の素晴らしさについて得々と語られたんですが、僕は「へぇー、観てないんですよねー」と相槌を打つと同時に“シャドー煉獄”も打っていたーーって、なにこのどうでも良い話!Σ(゚д゚;) ヒィィ


なんとなく「喧嘩商売」の一コマを貼っておきますね。
煉獄を打つ文さん

その接待の時、僕の脳内に流れていた曲を貼っておきますね↓




閑話休DiE!m9`Д´) ビシッ で、思っていた以上に考えさせられるところがありまして。まず、ツツジ班メンバーが隣の一家を見て感じる「なんでもないようなことが幸せだったと思う」的な部分。僕は韓国の“血縁”を大事にするところとか、全然興味がないタイプであって、正直、「あそこまでケンカするなら離婚しろよ」と思っちゃうんですが、ハードすぎる北朝鮮工作員たちの事情を見せつけられると、さすがに共感させられたというか。自分に奧さん&娘がいることが何よりも幸せなのかもしれないと思わされた…というNOROKE! m9・∀・) ビシッ

そして、一番心に染みたのは、「互いに敬えばケンカせず済むのに」というストレートなメッセージ。人間関係の基本的なことであって、至極簡単なハズなのに、僕らはそれがなかなかできないワケで…。なんだかんだ言っても同じ人間であって、人対人で話し合うと、普通にわかり合えたりするのにね。それこそ“演じて”でも、最初に譲ることで上手くいったりすると思うし…って、ううむ、このことについて考えれば考えるほど、すみません、知恵熱が出そうになった次第 ('A`) ウーン


劇中で登場人物たちが歌った「アリラン」を貼っておきますね↓




あと、役者さんたちは全員素晴らしかったですな。特にツツジ班の4人は、ユーモラスな場面があったかと思ったら、超残酷な展開になったりする中、見事に演じていたというか。かなり感情移入しながら観ちゃいましたよ。誇張された感があった隣人一家も面白かったし(特に奥さん役のカン・ウンジンのダメっぷりが良かった!)、町工場にいる上司“野ウサギ”と、彼に恋をするオバサン(パク・ミョンシン)もスゲー良くて。特にパク・ミョンシンについては、「冬の小鳥」の寮母、「ポエトリー アグネスの詩」の被害者の母に続いて、実に見事なオバサン振り。この人、大好きというか、出演作をチェックしたくなりましたね~。


カン・ウンジンは「嘆きのピエタ」でこの名台詞を吐いてた人でございます。
何百回も殺したい!

パク・ミョンシン、「故郷」の楊おばさん役とかマジでピッタリだと思う(勝手なイメージ)。
町工場のおばさん(パク・ミョンシン)


な~んて、べた褒めしながらも70点なのは、「向こうの会話が筒抜けなら、こっちの会話も丸聞こえだろ」ということではなく。映画序盤の「赤子を殺すエピソード」にドン引きしちゃって ('A`) ゲッソリ いくらその後に笑わせる場面があったりとか、いろいろなドラマが用意されていても、それがずーっと尾を引いちゃったんですよね…(他の残酷な場面は大丈夫だったんですが)。その前に観た韓国映画「サスペクト 哀しき容疑者」が超僕好みのアクションムービーだっただけに( 90点!m9`Д´) ビシッ )、反動でよりダメージが大きかったというか。あのユーモアと残酷さの独特なバランスは、脚本を書いたキム・ギドク監督の作風なのかもしれませんけど(そういえば町工場とか「嘆きのピエタ」っぽかったですな)、ごめんなさい、ちょっと合わなかったです。


「見逃したと思いきや、ミンジが殺してた」ってオチは、かなりキツかったです…。
赤ん坊はちょっと...


ということで、ダラダラと駄文を書き連ねてきましたが、変だけど良い寓話でしたよ。ラストは感動したし、良いメッセージを伝えているし、また観たい気持ちがまったくないワケじゃないんですけど、とにかく赤子のシーンには悶絶したので(直接的な描写はないんですが、写真がキツい…)、もう二度と観ないと思います (・ε・) オシマイ

宇多丸師匠のわかりやすい時評がアップされたので、ぜひ聴いて!




キム・ギドク監督が脚本&製作総指揮に回った作品。伝えたいことは今作と同じだからか、劇中で流れてました。



僕が唯一観ているキム・ギドク監督作。これも超ヘビーでしたな…。僕の感想はこんな感じ



スゲー面白かったコメディ映画。僕のネガティブな感想はこんな感じ…