ヒューゴの不思議な発明(3D・字幕版)(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ヒューゴの不思議な発明(3D・字幕版)(ネタバレ)

ヒューゴの不思議な発明(3D・字幕版)※シネマハスラーへのリンクなどを追加しました(11/11)

三角絞めでつかまえて-ヒューゴの不思議な発明

原題:Hugo
2011/アメリカ 上映時間126分
監督:マーティン・スコセッシ
製作:グレアム・キング、ティム・ヘディントン、マーティン・スコセッシ、ジョニー・デップ
製作総指揮:エマ・ティリンガー・コスコフ、デビッド・クロケット、ジョージア・カカンデス、クリスティ・デムブロウスキー、バーバラ・デ・フィーナ
原作:ブライアン・セルズニック
脚本:ジョン・ローガン
撮影:ロバート・リチャードソン
美術:ダンテ・フェレッティ
編集:セルマ・スクーンメイカー
衣装:サンディ・パウエル
音楽:ハワード・ショア
出演:エイサ・バターフィールド、クロエ・グレース・モレッツ、サシャ・バロン・コーエン、ベン・キングズレー、ジュード・ロウ、レイ・ウィンストン、クリストファー・リー、ヘレン・マックロリー、リチャード・グリフィス、フランシス・デ・ラ・トゥーア、エミリー・モーティマー、マイケル・スタールバーグ
(あらすじ)
1930年代のパリ。父親の残した壊れた機械人形とともに駅の時計塔に暮らす少年ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)は、ある日、機械人形の修理に必要なハート型の鍵を持つ少女イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)と出会い、人形に秘められた壮大な秘密をめぐって冒険に繰り出す。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




80点


※今回の記事は、原作本のネタバレもしているので気をつけて!

マーティン・スコセッシ監督作であり、大好きなクロエ・モレッツちゃんがヒロイン役で出ていて、さらに予告編を観る限りは、「オリバー・ツイスト」に謎のロボット要素が加わった感じの映画だと思って、非常に興味を持ちまして。ムビチケを買って楽しみにしてたワケですよ。で、今週、シネマハスラーの課題映画になったということもあって、いそいそとTOHOシネマズ 渋谷に行ってきたんですが…。感想は、優しい映画だと思いました。


映画とは本当に全然関係ないんですけど、貼っておきますね↓




ハッキリ言って、実際にこの映画を観て、「思ってたのとチガウ!Σ(゚д゚;)」とカタカナで驚いたのは僕だけじゃないと思うのですよ。正直、もっとファンタジー&冒険要素が満載というか、あの“謎の機械人形”がいろいろやらかすのを期待してたというか。なんて言うんですかね、「あの機械人形は、実は自分の意思を持ち人間に害をなす“自動人形(オートマータ)”であり、封印をヒューゴが解いてしまって世界は破滅に向かうのだが、そこに謎の中国武術家が現れてーー!?」といった「からくりサーカス」的な内容…とはさすがに思ってませんでしたけど(苦笑)、「アイアン・ジャイアント」「ねがい」を足して2で割ったような“機械人形と少年のハートフルストーリー”程度の予想はしてたから、あの機械人形が“絵を描く”程度の能力しか持ち合わせていないと知った時は、ごめんなさい、ちょっと失望しちゃいました (´・ω・`)


「我々は愚かな人間どもに支配されるために生まれたのではない!」なんてことは全然言い出しませんでした ┐(´ー`)┌ヤレヤレ
三角絞めでつかまえて-機械人形


ただね、それでも僕は結構好きな感じではありまして。まず、3D効果がスゴかった! ベタな表現で恐縮ですが、「まるで絵本の中にいるみたい!ヘ(゚∀゚*)ノ ヒャッハー」というか、ここまで効果的に使われたのは「アバター」以来だと思いましたよ。この映画に関しては、2Dは絶対オススメしないです。

そして、作品全体に溢れる“映画愛”にもグッときました。お話を適当に書くと、ヒューゴが見つけた機械人形はイザベルの保護者であるジョルジュ・メリエス(ベン・キングズレー)が作ったものでして。映画後半は、映画創生期にはもてはやされたメリエスの作品が、戦争などが起きたせいもあって、時代とともに忘れられてしまった→メリエスがずっとションボリして生きてきたことが判明するんですよ(ジョルジュ・メリエスについてはこちらの記事が恐ろしくタメになります)。


映画の鍵となるメリエス監督作を貼っておきますね↓ 世界初のSF映画だそうです。




ついでにポンキッキーズの動画も貼っておきますね。




で、その時に劇中で流れるメリエスの作品とその製作過程がね、昔の人なりの“工夫して頑張ってる感”があってスゲー楽しいんです。さらにスコセッシ監督の“先人への愛情”もビンビン伝わってきて心がホッコリするというね…。その他、“昔の映画の有名な場面”もちょろちょろ流れたりして、そういうのって元ネタを知らないとつまらなそうに思いがちですけど、全然そんなことなくて。むしろヒューゴたちと一緒に楽しめる感じで良かったです。


なんとなく「要心無用」「プロジェクトA」「ヒューゴの不思議な発明」の時計台三段活用を貼っておきますね。
三角絞めでつかまえて-時計にぶら下がる人たち


ヒューゴの孤児っぷりもね、自分に娘が生まれて子どもに対する視線が温くなった僕的には超泣けました。ヒューゴだってね、いくら機械人形を直そうとも「そいつが書くこと=父親からのメッセージ」のワケがないことくらい、薄々気付いてたと思うんですよね。でも、機械人形を直すことだけが生前の父親との唯一の繋がりだから、「もしかしたら!ヽ(´Д`;)ノ」と思って頑張ってたという健気すぎる姿勢、僕は決してショタコンではありませんけど、心から抱き締めてあげたかった!ヽ(TДT)ノ 最後の展開を適当に書いておくと、自分の映画をちゃんと評価してくれるファンがいることを知ったメリエスはすっかり元気になりまして。あーだこーだあった挙げ句、孤児だったヒューゴはメリエス一家と一緒に暮らすことになって、「この話をイザベルが本にしました」的なナレーションが流れて映画は終わるんですけど、「本当に良かったね… (ノДT)」と涙ですっかり3D効果が台無しでしたよ…(別に上手くない文章)。


健気だったヒューゴ。幸せになれて良かったですな…。
三角絞めでつかまえて-健気なヒューゴ

当然ながら、イザベル役のクロエちゃんも可愛かった! 良くやった!ヽ(`Д´)ノ 
三角絞めでつかまえて-クロエたん


いや、不満もあったんですよ。なんか全体的に登場人物たちがしっかり会話をしなくてイラッとするというか。特に序盤の「ノートを返す返さない問題」。「父親がいないことがバレたら孤児院行き」といったリスクはあるんだろうけど、ヒューゴがちゃんと父親の形見であることを伝えれば、すぐに返してもらえるような気がしたんですが(っていうか、あのノートはどこに?)。本屋がロビン・フッドの本をくれるシーンとかも、あとで何かあるのかと思ったら何もなかったし…。サシャ・バロン・コーエンが演じた公安官もそんなに面白くなくて、ちょっと微妙に感じちゃいました。

それと、一番どうかと思ったのは邦題。ヒューゴは全編修理しかしなくて、最後の最後に“公安官の不自由な脚のための器具”しか発明をしないから、タイトルの「不思議な発明」の意味がまったく理解できなかったんですよ。原題を調べたら「Hugo」になってるからさ、「日本の配給会社は相変わらず客寄せのために手段を選ばないんだな ( ゚д゚)、ペッ」って思ったりしてたんですね…原作本を読むまでは。


原作本。コップと比べると、その分厚さがよく分かりますな。
三角絞めでつかまえて-分厚い原作本


いや、この原作本が最高なんですよ。非常に良く出来たグラフィックノベルだと思って。絵だけじゃなく、写真などが見開きでドーンと入って来たりと、ページをめくるたびにドキドキさせられて超楽しかったです。もちろん児童向けなところはあるし、好みもあるので、ぜひ本屋で実物を手にしてから判断してほしいんですが、マジでオススメの一冊。僕は文庫版が出てるのを知らずにハードカバー版を買っちゃったけど、むしろしっかりした装丁の方がうれしいから、全然後悔してません(キッパリ)。文庫版の方が1800円安いけど、こんなに素敵な本をゲットできたんだから何の不満もないんだから…って、本当なんだからぁっ!ヽ(´Д`;)ノ


中を開くと美麗なイラストだけじゃなく…。
三角絞めでつかまえて-イラストだけじゃなく…

なんと写真まで! これは面白い!ヘ(゚∀゚*)ノ
三角絞めでつかまえて-なんと写真も!


でね、原作の原題は「THE INVENTION OF HUGO CABRET(ユゴー・カブレの発明)」だから、「何か発明するのかしら」と思って読んでいると、話自体はほぼ映画と一緒でして。ユゴー(ヒューゴ)は何も発明しないまま終了…と思いきや! ネタバレしちゃうと、なんとこの本を書いたのが、ヒューゴが発明した機械人形だった!」ことが分かって終わるんですね。これは愉快なオチだと思ったんですけど、映像化がしづらかったのか、スコセッシ監督はその部分を削ってしまって、それ故、原題を「Hugo」だけにしたワケです。

僕の記憶違いの可能性も無きにしもあらずですが、確か、日本で公開される何か月も前、一番最初に劇場でこの映画の予告編が流れた時は「ヒューゴ」だけのタイトル…でしたよね? それは配給会社も「不思議な発明」要素がゼロだと分かってたからだと思うんですよ。ただ、世間の反応があまりに芳しくなかったから、泣く泣く原作の日本版タイトルである「不思議な発明」を付けたのではないでしょうか。まぁ、だからなんだって話なんですけど、そう考えると、何か僕的にはあまり責められない心境になっちゃったというか…。

ううむ、何だかワケの分からぬ文章になってますな…すみません。もう少し書くと、不満はありつつも、僕はやっぱり好きな映画でして。それは原作にもあった「この世界にいらない人なんていない」というメッセージ。もちろん欺瞞と言っちゃえばそうなのかもしれませんが、スコセッシ監督は原作を変更して登場人物を増やし、ヒューゴやメリエスだけじゃなく彼らの人生も最後にハッピーにすることで、そのメッセージをより強調していると思って。僕は監督のその“優しさ”に胸を打たれて、スゲー泣いちゃったんですよね…って、的ハズレだったら恥ずかしいネ (*ノ▽ノ) キャッ

ということでね、微妙なところもあるけど、スコセッシ監督が“現在の工夫”を駆使して先人にオマージュを捧げた素敵な作品でしたよ。語学力ゼロの僕にはまったく気付けない部分だけど、クロエちゃんのイギリス風のアクセントも好評みたいで、ファンとしてはそれもうれしい限りだし、彼女が困った時はいつでも相談に乗るつもりです(なにこの文章)。とりあえず気になる人は絶対3Dで観た方が良いですぞ。それにしても今年に入って観た「CUT」「セルビアン・フィルム」「キツツキと雨」など、最近の映画制作絡みの作品にはあまりハズレがないような気がします(って、1本だけ不穏な映画が!? Σ(゚д゚;) )。

宇多丸師匠のタメになる批評がアップされてるので、聴いてみてくださいな~。




原作の文庫版。
三角絞めでつかまえて-原作・文庫
ユゴーの不思議な発明(文庫) (アスペクト文庫)


原作のハードカバー版。文庫版が出てるのを知らずに買っちゃったけど、後悔はしてませんよ、本当ですよ。
三角絞めでつかまえて-原作・ハードカバー
ユゴーの不思議な発明


公式ガイドブック。どうやって撮影したのか、興味がある人はぜひ。
三角絞めでつかまえて-公式ガイドブック
ヒューゴの不思議な発明 公式ガイドブック


映画のサントラ。一応、貼りました。
三角絞めでつかまえて-サントラ
ヒューゴの不思議な発明 オリジナル・サウンドトラック (Howard Shore / Hugo - original soundtrack) [日本語帯・解説付輸入盤]


ジョルジュ・メリエスの作品が収録されたDVD。
三角絞めでつかまえて-月世界旅行
ジョルジュ・メリエスの月世界旅行 他三編/映画創世期短編集 [DVD]


メリエスの孫が書いたっぽい本。凄まじい値段が付いております(3/16現在)。
三角絞めでつかまえて-魔術師メリエス
魔術師メリエス―映画の世紀を開いたわが祖父の生涯


こっちの本の方が値段は安いですな。難しそうで読む気がしないけど…。※画像はイメージです。
三角絞めでつかまえて-映画の先駆者たち
映画の先駆者たち メリエスの時代1897‐1902 (世界映画全史)


信用できる映画評論家・柳下毅一郎さんの著作。タメになりますぞ。
三角絞めでつかまえて-興行師たちの映画史
興行師たちの映画史 エクスプロイテーション・フィルム全史


そして、唐突に始める“僕が好きなスコセッシ映画”トップ5! 第5位はこれ。まぁ、「インファナル・アフェア」の方が好きですがー。
三角絞めでつかまえて-ディパーテッド
ディパーテッド [Blu-ray]


第4位はこの作品。最後のシーンが好き。
三角絞めでつかまえて-キング・オブ・コメディ
キング・オブ・コメディ [DVD]


第3位。ロバート・デ・ニーロ版の「ロッキー」かと思ったら、全然違ってビックリした記憶が(でも、好きよ)。
三角絞めでつかまえて-レイジングブル
レイジング・ブル [Blu-ray]


第2位。カッコ良い映画。ギャングって怖いよね~ (・ε・)
三角絞めでつかまえて-グッドフェローズ
グッドフェローズ [Blu-ray]


第1位はやっぱりこの作品になっちゃうというね。だって、大好きなんだもの!ヽ(`Д´)ノ
三角絞めでつかまえて-タクシードライバー
タクシードライバー 製作35周年記念 HDデジタル・リマスター版 ブルーレイ・コレクターズ・エディション 【初回生産限定】 [Blu-ray]