ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(ネタバレ)

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

三角絞めでつかまえて-ありえないほど近い映画

原題:Extremely Loud and Incredibly Close
2011/アメリカ 上映時間129分
監督:スティーヴン・ダルドリー
原作:ジョナサン・サフラン・フォア
脚本:エリック・ロス
プロデューサー:スコット・ルーディン
撮影監督:クリス・メンゲス
衣装:アン・ロス
出演:トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、トーマス・ホーン、マックス・フォン・シドー、ヴィオラ・デイヴィス、ジョン・グッドマン、ジェフリー・ライト、ゾーイ・コールドウェル、ジェームズ・ガンドルフィーニ
(あらすじ)
911の同時多発テロで、大切な父(トム・ハンクス)を亡くした少年オスカー(トーマス・ホーン)。ある日、父の部屋に入ったオスカーは、見たことのない1本の鍵を見つける。その鍵に父からのメッセージが託されているかもしれないと考えたオスカーは、この広いニューヨークで鍵の謎を解くため旅に出る。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




65点


※今回の記事は、原作小説のネタバレにも触れているので、気をつけて!

昨年のタマフルの推薦図書特集「空中キャンプ」の伊藤聡さんがこの映画原作小説をオススメしてまして。正直、どんな感じでオススメしてたのかはウロ覚えだったんですけど(失礼!)、なんとなく良い印象があったので、「映画を観てから小説を読もう!ヘ(゚∀゚*)ノ」と思って、まず新宿ピカデリーに行ってきました。まぁ、良かったですよ。短めに感想を残しておきますね。

9.11で最愛の父親を亡くしたアスペルガー症候群気味の少年オスカーが、その死を乗り越えようとする物語でして。昨年、娘が生まれたことで、子どもの行動に対する許容範囲が果てしなく広がっている僕的には、父の死を受け入れられなくて、何かをせずにはいられないオスカーの姿は非常にグッときましたよ。最後、父からの謎を解いて、苦手だったブランコに乗るシーンは本当に清々しくて、かなり泣いちゃいましたね… (ノω・、)


トム・ハンクスが演じた父親は実に理想的で、僕も娘のために頑張ろうと思いました(なにこれ)。
三角絞めでつかまえて-お父さんと一緒


ただ、非常に気にくわないところがありまして。「あんな良い父親なんていない!ヽ(`Д´)ノ」という妬みとか、「祖父(マックス・フォン・シドー)の野郎、途中でオスカーを見捨ててんじゃねーよ (`Δ´) ナサケナイ!」という怒りはどうでも良いとしても、最後の「母親が“オスカーの冒険を知っていたこと”をオスカー自身に伝えてしまう」という展開に全然乗れなかったんですよね…。


2人で調査するくだりは良かっただけに、祖父がオスカーを見捨てるシーンには激怒。
三角絞めでつかまえて-お爺ちゃんと一緒


結局、あの冒険は親の庇護の下で行われてたぬるま湯だったってことじゃないですか。しかもそれを親自身が伝えるって…。そりゃあ、オスカーも精神が弱ってたから「お母さんは僕のことを見守ってくれてたんだ!ヽ(TДT)ノ」って大喜びするのは仕方ないのかもしれないけど、「ねぇねぇ、今どんな気持ち? せっかく自分1人で頑張って冒険してるつもりだったのに、実は事前に根回しされてたって、どんな気持ち? (・∀・)」と言われて喜ぶ彼の姿は観たくなかったというか(脚色あり)。自分の大事な計画を、“陰で見守っていたレベル”だったらまだしも、直接、母親が手助けしてたのを知ったら、普通にショックを受けると思うし、そこで口惜しがるのが“男”なんじゃないですかね。だから、ラストシーンはグッとはきたけど、物語としては好きじゃない展開でした(原作では「母親はそのことを自分からはオスカーに伝えない=オスカーのプライドを尊重している」ように見えるし、「オスカーが自分でその事実を知る」ので、まだスムースな感じ)。


でも、サンドラ・ブロックの演技は良かったと思いますよ。
三角絞めでつかまえて-お母さんと一緒


ちなみに映画鑑賞後に原作小説を読んだら、話が結構違うんですよね。オスカーの祖父&祖母のドレスデン爆撃絡みの悲劇的なエピソードが盛り込まれていて、さらに広島の原爆投下に言及するシーンもあったりと、“理不尽な状況に遭った時に人はどう生きるか”というテーマが強調されている印象。で、映画ではその祖父祖母のくだりを大幅に削っている&改変しているので、「原作のファンだったら怒る人がいても不思議じゃないかなぁ」と思ったり…。というか、あの“ビルから飛び降りた人が空に浮かび上がっていく”という原作のラストを見ちゃうと、映画版のブランコはやっぱり安い着地に見えるので、僕も原作を先に読んでたら、「うーん… (´・ω・`)」となった可能性が高い気がしないでもなかったです。

とはいえ、僕的には、ラストの展開以外は「スティーヴン・ダルドリー監督はあの原作をよくここまでコンパクトにまとめたなぁ」と感心するところもあって、そんなに嫌いじゃない映画ではあります。パンフレットも実に良い出来だったしね。気になる人は観れば良いと思うけど、原作ファンは避けた方が良いカモ (・ε・)




ジョナサン・サフラン・フォアによる原作小説。良かったですよ。
三角絞めでつかまえて-ありえないほど近い原作
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い


スティーヴン・ダルドリー監督作。僕の感想はこんな感じ
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一応、サントラも貼っておきますね。
三角絞めでつかまえて-ありえないほど近いサントラ
Extremely Loud and Incredibly Close: Original Motion Picture Soundtrack