ALWAYS 三丁目の夕日'64(3D)(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ALWAYS 三丁目の夕日'64(3D)(ネタバレ)

ALWAYS 三丁目の夕日'64(3D)※シネマハスラーへのリンクなどを追加しました(11/11)

三角絞めでつかまえて-三丁目の夕日64

2012/日本 上映時間144分
監督・脚本・VFX:山崎貴
原作:西岸良平
脚本:古沢良太
音楽:佐藤直紀
出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、もたいまさこ、三浦友和、薬師丸ひろ子、須賀健太、小清水一揮、マギー、温水洋一、神戸浩、蛭子能収、飯田基祐、ピエール瀧、染谷将太、正司照枝、森山未來、大森南朋、高畑淳子、米倉斉加年
(あらすじ)
昭和39年、日本中が高度経済成長と東京オリンピックに沸く中、東京・夕日町三丁目はいつものように住民たちが和気あいあいと暮らしていた。小説家の茶川(吉岡秀隆)は間もなく新しい家族を迎えようとしており、鈴木オートの則文(堤真一)も事業を軌道に乗せ、三丁目中が活気にあふれていた。しかし、そんな中転機を迎える人もいて……。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




40点


※ごめんなさい、今回の記事は、非常に心の狭い文章が書かれていて、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズが好きな人は不快になる可能性が高いので、読まない方が良いです!
※今回の記事は、「ALWAYS 三丁目の夕日'64」の感想が始まるまでの文章が長いので、気をつけて!


僕の母親はビックコミックオリジナルを愛読してまして、僕も小学生のころから「夕焼けの詩―三丁目の夕日」をそこそこ読んでましてね。一話完結で読みやすいし、あの独特の絵柄にも親しみが持てたし、単行本は集めなかったけど、それなりに好きだったんですよ。働くようになって実家を離れてからは、すっかり読まなくなっちゃいましたが…。

で、2005年に映画化された時はまったく興味がなかったんですが(あの絵柄を「シン・シティ」並みに再現してたなら、気になったと思いますが)、その後、テレビでやっているのをたまたま観たら、思ったよりグッときましてね (・∀・) 僕は世の中に溢れる映画のキャッチコピーの中でも、1作目「携帯もパソコンもTVもなかったのに、どうしてあんなに楽しかったのだろう」という文章がトップクラスに嫌いであり、今でも心底くだらないと思うけど、作品自体は全然嫌いじゃないんです。

VFXに関しては、やたら「スゴーイ!ヽ(゚◇゚ )ノ」と話題になってたのを聞いていた分、残念なレベルに見えちゃったんですけど(「わざと幻想的にしている」とか以前の話)、中身自体はそんなに悪くない印象。ウロ覚えなんですけど、個々のエピソードを群像劇っぽく描いてて、意外と原作漫画っぽいと思ったんですよね(あくまで“意外と”ですが)。


西岸良平先生の独特な絵柄。これをそのまま実写化してほしかった…(無理)。
三角絞めでつかまえて-絵柄


さらに、僕が大好物の要素が3つ入ってたのも良かったです。1つ目は<不幸な境遇なのに礼儀正しい少年>。もうね、淳之介(須賀健太)が敬語で話すだけで、「( ;∀;)イイコダナー」と泣けるというか。2つ目は<水商売で健気に働く女性>。僕はそういう女性が自らを卑下してアタシ、分かってるの… 川´・ω・`)」って言うシーンが大好きであり、この映画のヒロミ(小雪)はストライク! “見えない指輪をはめるシーン”とか、ベタすぎて「ケッ、バカバカしい (`Δ´) コロスゾ」と思いながらも、鼻水垂れ流しながら号泣しましたよ。


ちょっと恥ずかしいんだけど、泣けてしまう… (ノДT)
三角絞めでつかまえて-見えない指輪


そして3つ目、最もグッときたのが…<ロクちゃん役の堀北真希さん> 良い味を出してた男性キャラを女性に変更したことでお怒りの原作ファンもいるかもしれませんが、僕は最初から原作漫画を再現できるとは期待してなかったので全然OK。というか、むしろ「男だと思ってたロクちゃんが実は…? (゚д゚;) ゴクリ」という「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」的な設定だったらもっと良かったけど、全然別の作品になっちゃいますな ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ 何はともあれ、ただでさえ、女性が訛ると可愛さが増幅されるのに、堀北真希さんが津軽弁を話しちゃったら、それはもう兵器レベルの破壊力であり、彼女が出てくるだけで頬が緩んじゃいました (´∀`) スキヨ


原作と比べると全然違うけど、可愛いから許してくださいよぉ~(馴れ馴れしく)。
三角絞めでつかまえて-ロクちゃん


ただ、2作目はあまり好きになれなくて… (´・ω・`) 例によってテレビで観たんですが、1作目よりも“人情喜劇っぽさ”が増したというか、“下町の一体感”が前より強調されてるのがウザかったんですよね。

特に終盤の芥川賞を巡る、住民勢揃いのグダグダかつダラダラなドラマには心底ウンザリして、「もう、面倒くさいからさっさと淳之介を連れて行けよ!ヽ(`Д´)ノ」って感じ。大阪に向かってたハズのヒロミが戻ってきて、「分かってるよ…。私みたいのがいたらダメだってこと、ちゃんと分かってる 川´・ω・`)」って言うシーンは条件反射的に大泣きしましたけど…。話題になってたゴジラ登場シーンを含むVFXもやっぱりそれほどじゃなかったし(期待しすぎ)、なんか微妙だったワケです。まぁ、テレビだったから、全然良いんですけどね (o^-')b


2作目はこのシーンからクライマックスまで、結構イラッとしちゃいました…。
三角絞めでつかまえて-芥川賞を巡るグダグダ


ということで! バカみたいに前置きが長くなりましたが、やっと3作目の話ですよ。前2作をテレビで観て「もういいや (・∀・)」と思ってたので、まったく観に行くつもりはなかったものの、シネマハスラーの課題映画になってしまいまして。とりあえず新宿ピカデリーで観てきました。ううむ、あまり好みの映画ではなかったです…。

最初に良かったところを書くと、堀北真希さんの恋する乙女演技&ウェディングドレス姿は素敵でしたな (´∀`) ヒロミは結婚して不幸ゲージが減少したから魅力も半減しちゃいましたが(酷い言い草)、淳之介の敬語は相変わらず好感が持てました。鈴木則文(堤真一)と菊池孝太郎(森山未來)が揉めるあたりのコメディ描写は、笑っちゃったりもしましたよ。VFXは結構良かったというか、前2作ほどの違和感は感じなくて、ちょっと見直しました。BUMP OF CHICKENの「グッドラック」をバックに、登場人物たちが見上げている映像が流れるエンドロールの雰囲気はかなり好きだったり。


ロクちゃんは実に可愛かったです。
三角絞めでつかまえて-結婚式当日


それとクライマックス、「ロクちゃんが青森に帰省→ロクちゃんが新婚旅行に旅立つ」「茶川先生が引き取られた淳之介を追いかけて~→茶川先生が万年筆を持って追いかけて~」と、1作目を意識した構成になってるのは悪くないと思いました(茶川先生が万年筆を届ける行為自体には乗れませんが…)。

と言いつつも、本当に申し訳ないんですけど、映画全体を振り返ると、このジャンル自体が自分に合わない気がしたというか。初めてお金(2000円)を払って劇場で観たせいなのか、“下町人情喜劇”感が強くなったせいなのか、3D映像が暗くて観づらくてイラッとしたせいなのか(2Dにすれば良かった…)、アリバイ的に入れられる昔の映像やギャグの数々がこれ見よがしに見えちゃって、前2作よりもキツかったんですよね…。正直、144分が長く感じられました。

ドラマ的にも飲み込みづらい場面が多かったです。例えば、結婚するロクちゃんの親が全然クローズアップされないのに(1作目では家族愛を強調してたのに!)、鈴木オートの社長夫婦と「ウェディングドレス姿での『お世話になりました』シーン」をやるのは、このシリーズ的には正しいんだろうけど、僕はちょっとあざとすぎて乗れなくて。

茶川先生がやたらと「オレを見てみろ!」と自分の不遇振りをアピールするくだりも「都内に一戸建てを所有してて、駄菓子屋を経営してて、美人の奧さんも働いてくれてて、そこそこ食えてる奴が何言ってんだ」と、全然哀れに見えなかったりしてね。最後、淳之介に万年筆を届けちゃうのだって、茶川先生を勘当した父親のケースと比べるとスゲー甘く感じちゃったし…。


万年筆を淳之介に届ける茶川先生の行動は、中途半端な印象を受けちゃいました。
三角絞めでつかまえて-いきなりダッシュ!


失笑したのが、宅間先生(三浦友和)が「幸せとは何でしょうな」なんてことを語るシーン。唐突すぎる上に、内容はグダグダだわ…。まぁ、監督からのメッセージなんでしょうけど、小雨の日の水たまりレベルの浅い演説をいきなり聞かせられて、心底ビックリしましたよ。


よく分からないタイミングでよく分からないことを言い出す宅間先生。
三角絞めでつかまえて-幸せとはなんでしょうな…


乱暴な文章になりますけど、僕が認識する“昭和30年代”は、まだ餓死寸前の貧しい生活環境がありふれていて、街は公害で汚染されまくってて、今よりも人口は少ないのに犯罪発生率は倍以上であり、自殺者だって普通に多いという、腐敗と自由と暴力の真っ只中ライクな世界でして。「下町の義理人情豊かな世界で励まし合って~ 」なんて愉快に生きられた人もいたんでしょうけど、僕の父親はそういうコミュニティに全然馴染めなくて、職場やアパートを転々として、母親と姉たちは相当苦労したそうです。

もちろん、このシリーズは昭和30年代を美化しまくったSF人情喜劇なんだから、「光化学スモッグで洗濯物が汚れて大変」程度の会話すら入れる必要がないというか、別に荒んだ要素なんていらないと思うんだけど、だからこそ、そんなぬるま湯ファンタジーワールドの住人に知った風な口を叩かせるのだけはやめてほしい、一気に萎えるから。せめて、突然、登場人物にベラベラ喋らせるんじゃなく、観客が映画を観ながら「幸せとは何か」ということを考えるように演出して欲しい…って、贅沢な要求なんですかね。

って、偉そうな文句を書いちゃいましたけど、たぶんテレビで観たらそんなには悪くなさそうというか。僕が合わないだけで、この手のジャンル映画が好きな人には最高の作品じゃないでしょうか。僕なんて何だかんだ言っても、所詮は一番好きな映画のキャッチコピーが「帝王伝説」「骨の軋みが聞えるか? 友に捧げる復讐のバラッド」という人間なので、この映画が好きな人はこんな感想文、気にしないで!


「帝王伝説」のチラシ画像↓ ちなみに下の写真のキャッチは「回し蹴りヒット! 顔面崩壊!」だったり。
三角絞めでつかまえて-帝王伝説


おしまい (・ε・)

宇多丸師匠の愉快な批評がアップされてるので、聴いてみて!




原作漫画。たぶん普通にグッとくると思う。
三角絞めでつかまえて-原作漫画
三丁目の夕日’64 映画化特別編 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)


山崎貴監督による記念すべき1作目。キャッチコピー以外は嫌いじゃないです。
三角絞めでつかまえて-1作目
「ALWAYS 三丁目の夕日」Blu-ray


2作目。そんなに好きじゃない感じだったり…。
三角絞めでつかまえて-2作目
「ALWAYS 続・三丁目の夕日」Blu-ray


追加で貼っておきますが、僕的にはこういう本の方が乗れる感じ。
三角絞めでつかまえて-地獄の三丁目
本当は怖い昭和30年代 ~ALWAYS地獄の三丁目~