ワイルド7(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ワイルド7(ネタバレ)

ワイルド7※シネマハスラーへのリンクなどを追加しました(2012/11/11)

三角絞めでつかまえて-ワイルド7映画

2011/日本 上映時間109分
監督:羽住英一郎
原作:望月三起也
脚本:深沢正樹
出演:瑛太、椎名桔平、丸山隆平、阿部力、宇梶剛士、平山祐介、松本実、要潤、本仮屋ユイカ、中原丈雄、吉田鋼太郎、深田恭子、中井貴一
(あらすじ)
ある日、“ワイルド7”の出動を要する事件が発生。メンバーたちが犯人を追い詰めた瞬間、謎のスナイパーが現われ犯人を射殺して逃走する。ワイルド7の飛葉(瑛太)はスナイパーを追跡するものの見失ってしまう。飛葉は、追跡の際に迷い込んだ埠頭(ふとう)のクラブで黒髪の美しい女性ユキ(深田恭子)と出会い、惹(ひ)かれ合うようになるが、ユキには秘密があった。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




20点


※まず、これだけは読んでいただきたいんですけど、原作を未読の人は今回の実写版を観て「ふ~ん、『ワイルド7』ってこんな感じの漫画なんだ~ ヘ(゚∀゚*)ノヘラヘラ」とか思っちゃダメ絶対!ヽ(`Д´)ノ
※今回の記事は、読みにくい上に心の狭さがダラダラと叩きつけられている醜い長文になっており、映画「ワイルド7」が好きな人は間違いなく不快になるし、そうじゃない人もイヤな気分になるかもしれないので、読まない方が良いです。
※今回の記事は、映画「逆境ナイン」のネタバレにも触れているので、気をつけて!


一応、僕は単行本を全巻持ってる程度の“「ワイルド7」好き”ではあるんですが…。決して“熱烈なファン”という程ではなく、影響を受けてバイクに乗ろうと思ったことはないし、そんなに特別な思い入れもないので、漫画以外のドラマ版とかアニメ版には全然食指が動かなかったんですね。


って、思ってたけど、この動画を観てたら興味が湧いてきた! 渋い!ヽ(`Д´)ノ




アニメ版の動画も貼っておきますね↓




だから、今回の実写映画化にも興味がなく、観に行く気は皆無だったんですけど、シネマハスラーの課題映画になりまして…。「なぜ、わざわざ自分から地雷を踏んで片足を失わなきゃならないのか?」と酒を飲んで荒れたりもしましたが(ウソ)、「でも、もしかしたら面白いかもしれないネ (*´・ω・)(・ω・`*)ネー」と思い直しましてね。封切り当日の夕方、新宿ミラノ1で観てきたワケです。感想は「ふざけんな!ヽ(`Д´)ノ」って感じでした。


大きな看板。「悪を撃ち抜け」はいいけど、「愛を守り抜け」が超余計。
三角絞めでつかまえて-大きな看板

顔出し看板もありました。こういうのは好き。
三角絞めでつかまえて-大きな展示物


劇場でマジで激怒したんですよ。で、怒りに身を任せて感想を書き殴って、ちょっと読み直してみたら、あまりに憎悪にまみれた醜い文章だったので、「ここまで酷い映画だったかなぁ…」と逆に不安になってきちゃって。軽くツイートを検索してみたらそんなに評判も悪くないみたいだし、「もしかしたら僕の心が狭いだけなのかも!? ∑(゚Д゚;)」(よくあるケース)と思って、それを確かめるべく、もう一度、深夜の新宿バルト9に行ってきたら、ちくしょう、やっぱり不快!ヽ(`Д´)ノ ううむ、なんで2回も観ちゃったんだろう…。

まぁ、良かったところもあって。バイクアクションは超頑張ってましたよ。冒頭の銀行強盗を倒すまでのくだりは「おっ、これは期待できるのでは!?」なんて思ったし(「セブンレーラーを運転してたのは誰?」とも思ったけど)、瑛太さんが深キョンと2人乗りしたシーンの吹き替えナシのバイクスタントも感心したし。クライマックスのセブンレーラーからバイクが飛び出すところはテンションが上がったし、バイクでエスカレーターを駆け上がるシーンや、ビル内を疾走するシーンもグッと来ましたね~。


このノーヘル運転シーンは結構感心しました(話の展開的にはおかしいけど)。
三角絞めでつかまえて-ノーヘル運転


「主要キャラにはバイクが運転できる俳優をキャスティングした(免許を持っていない人は新たに取得した)」という姿勢も褒めたいですな。製作者の話によると、銃&バイク描写にはかなり気を遣ったそうで。残念ながら僕はどっちにもそんなに興味がないのでよく分からなかったけど、「ワイルド7」ファンに多数存在するガン&バイクマニアの方々的には満足出来たのではないでしょうか。

ただ、他はまったく乗れなかったですね。オープニングで瑛太さん演じる“暗い性格っぽい飛葉”が「一匹でしか生きられないランブルフィッシュ云々」と“知った風なムードの割によく考えると大したことは言ってないナレーション”が流れた時点で、超イヤな予感がしたんですけど…。話が進むと、脚本と演出がキツくて。

なんて言うんだろう、登場人物の台詞に違和感を感じるシーンが多いんです。序盤、ワイルド7のアジトで暗殺者を取り逃したことについて指揮官の草波(中井貴一)が「任務は確実に遂行しろ!ヽ(▽Д▽)ノ」って怒ったら、飛葉が「どぶさらいのリーダーとは認めたくないってか (`Δ´)ケッ」みたいなことを言って話が噛み合ってないから、僕的には「いや、草波さんはそういうことを言ってたワケじゃないですよね? (´Д`;)」と思うんですけど、劇中では会話が成立してそのままドラマが進行するので、なんか居心地が悪いというか。「あれ、台詞を聞き間違えたのかなぁ… (´・ω・`)」って気分になってくるんですよ。

さらに例を挙げると、アジトでの反省会後、外出した飛葉がユキと出会っていろいろあって。で、アジトに戻ってきて、現場から逃げる暗殺者の映像を見てると、セカイ(椎名桔平)が飛葉に「まだいたのか…」って話しかけるんです。いや、確かに「劇中では描写されなかったけど、ユキの家から飛葉がアジトに戻ってきて映像を見てるところをセカイが一度見ていて、それから少し時間が経ってから、またアジトの部屋を覗いたら飛葉がいた→『まだいたのか…』と話しかけた」ってことなのかもしれませんが、何かスムースに飲み込めない感じ…。ううむ、分かります?

「あからさまにおかしいとは言いづらいんだけど、やっぱり変」という感じの描写も多くて、例えば序盤の飛葉とユキのシーン。「飛葉がユキを暗殺者だと気付いた理由は?(原作では硝煙反応で気付いてましたけど、そういう描写もなし)」とか「バス通勤しているところをたまたま発見するって都合良すぎじゃね?」とか「なんでああいうバスの止め方をするの?」とか「お前、バイクで店に来て酒飲むの?(ワイルドだから?)」とか「意識失うまで酔いつぶれちゃうのかよ!」とか「ユキの家に泊まっちゃったのかよ!」とか「なんでシャツ洗濯してんだよ!」とか「飛葉はそんな説明的な寝言をつぶやいてたのかよ!」とかとか…。2人の距離を近づけたいなら、もっと自然にやってくれよと心底思いましたね。


空港での2人のやりとりもイラッとしました。さっさと逮捕すべき。
三角絞めでつかまえて-ユキ


う~ん、いちいち書いていると長くなってしまうので、終盤までの展開で覚えているツッコミどころを適当に個条書きしておきますね↓


「ワイルド7の目撃動画」のわざとらしい作り(ちょっと恥ずかしかった…)
「空港にいる犯人たちをワイルド7だけで探せ」という無茶振り(見つかったけど…)
「空港にバイクで乗り込んで襲撃する」という、後先を考えなさすぎるユキの行動
集団で銃を向け合うシーン→発砲→主人公側は全員無傷(少しでいいから何らかの理由はほしい)
空港で身の上話を聞いたら無罪放免のユキ(誰も逮捕しようとしないの?)
ラスボス・桐生(吉田鋼太郎)の悪事=インサイダー取引って、ワイルド7の仕事じゃないような…
桐生と接触するためにワイルド7がパーティに潜入する理由がよく分からない(髪とか、そのままだし)
暗転演出で強調した桐生の「悪と共存して生きていくしかないんですよ」という台詞(論点がズレてるような…?)
スプリットスクリーン、クドくない?(暗転後も続くとは…)
桐生が長々と飛葉に説教をした上にワイルド7のメンバーを丁寧に紹介(論点がズレてるような…?)
というか、桐生はユキを把握してるなら早く逮捕すべき
誰もいないアジトの上からロープで侵入してくるSAT
→ワイルド7はデカいセブンレーラーで悠々と逃走中
(誰か気付け)
運動神経が鈍そうなユキ…


で、映画が終盤に差し掛かると、セブンレーラーでワイルド7は桐生がいるPSU(公安調査庁情報機関)に乗り込むんですが…。バイクアクションにはテンションが上がりつつも、「桐生以外は殺しちゃいけない」という縛りがあるくせに、「襲ってくる敵をいかに不殺で攻略するか?」といった工夫をあまりせず、普通に威嚇射撃をしてるだけで結構無事なので、全然ハラハラしなかったです。なんて言うんですか、“映画の登場人物が棒立ち状態で銃を撃つシーン”がある程度納得できるのは、「次々と敵を殺している(もしくは戦闘不能状態にしている)」とか「本人がある程度のダメージに耐えられる(「ターミネーター」みたいに)」とか…って感じじゃないですか。でも、ワイルド7たちは「威嚇射撃オンリー=敵は減らない」状況で、堂々と正面突破して無傷だからさ、「ワイルド7、スゲェ!ヘ(゚∀゚*)ノ」というより、「大量にいる警察、無能!ヽ(`Д´)ノ」って感じがしちゃって、銃撃戦がまったく面白くないという…。


こんな状況で威嚇射撃しかできないって、死ぬと思うんですが。警察、舐めすぎ。
三角絞めでつかまえて-銃撃戦


しかも、緊迫してるハズなのにダラダラと作戦会議はするわ、壁を爆破したらみんな仲良くボーッと棒立ちしてるわと、実に呑気でね…(記者2人が爆破で倒れた拍子に拘束がほどけたのもビックリ)。その直後にセカイが撃たれて、その傷が元になって死ぬんですけど、「時間を無駄にしてるから… (´・ω・`)」と微妙に同情できないんですよ。その後の「ここはオレに任せて先に行け」展開が連発されるあたりも、本来は大好物のハズなんですが、勇壮なテーマ曲を何度も流されてウンザリしている上に、別に死ぬワケじゃなくて「じゃあ、警察に逮捕されますね (o^-')b」って程度だから、1ミリも燃えなかったりして…。


死んでも全然同情できなかったセカイ。原作の世界の無残な死は名シーンなのに…。
三角絞めでつかまえて-セカイ


さらにゲンナリしたのが飛葉vs桐生。「部屋に入ると自動的に攻撃する防犯システム」をどうやってかいくぐるのかを期待してたら、攻略方法は特に用意してなかったみたいで。「守れない」だ「守りたい」だとグダグダグダグダ面倒くさい話をしてるから本当にイライラするというか、「どうでも良いから、さっさと撃てYO!ヽ(`Д´)ノ」と思っていたら、草波が登場。「味方になると思わせて、桐生のスキを突いて制圧→いくつかキーを叩いただけで『流出されると桐生の命が狙われてしまう』というスゴい情報を全世界の裏社会に流す→桐生は大慌て&大泣き」という展開になってました。もうね、本当にバカバカしかった ┐(´ー`)┌ヤレヤレ


「オレの引き金が~」とか言う前にさっさと撃て!ヽ(`Д´)ノ
三角絞めでつかまえて-さっさと撃て


「部屋に入った段階で草波に防犯システムが作動してない&桐生も気付いてなかったんだから、そのまま桐生を制圧すれば良かったじゃん(射殺しても良いだろうし)」とか「全世界の裏社会に情報を流すのって、あの程度の簡単操作で出来るの?」とか「そもそも桐生が開けられる“パンドラの箱”はどうなったの?」とか思いましたけど、一番思ったのは、最後は飛葉の銃弾でケリをつけるべきなんじゃないの? 熱心なファンの方と比べたら、僕なんかRPGで町周辺にいる雑魚レベルの男ということで、的ハズレな指摘かもしれませんが、やっぱり「ワイルド7」はアクションで締めるべきじゃないですかね。

というか、羽住英一郎監督って原作が好きじゃないんですかね? 最後は、あんなに大々的に指名手配されていたのに「やっぱりワイルド7はいませんでした (o^-')b」ということになり(誰も信じないよね)、ワイルド7全員でバイクで走ってたらユキが新しく加入するといういかにも続編が作りやすそうなムードで終わって、エンドロールが流れるんですけど…。作家性なのかもしれないけど、「THE LAST MESSAGE 海猿」の時と同じように「Choo Choo Train」の一列に並んでグルグル回る振り付けとかおどけながらやられたら、それこそ余韻が台無しというか、「ワイルド7」のハードな世界観に対する愛なんて全然感じられないじゃないですか。僕は島本和彦先生が大好きなので、先生絡みの作品をディスりたくはないんですけど、羽住英一郎監督は映画「逆境ナイン」の時も「原作が好き」みたいなことをほざいてたくせに、最後は「甲子園行きは決まったけど、『坊主になりたくない』という理由で部員がサッカー部に入っちゃった」という“愛を感じない舐め腐ったオチ”にしてたしさぁ…。僕は今回の件で全然信用できない男だと思いました。

というか、そもそも「なぜ飛葉ちゃんがあんなに陰気なのか?」ってことですよ。原作の飛葉ちゃんは、悪に対しては非情だし、ニヒルなところもあるけど、基本的には義理人情に厚い熱血漢であり、“ヤンチャ”感溢れるところが最大の魅力だと思うんです。僕は演じた瑛太さんが悪いとは全然思いませんが(ちなみにキャスティング的には若いころの椎名桔平さんがピッタリだったと思う)、なぜ監督がああいうキャラクターに変更したのかが本当に疑問というか、それだけでも好きになれない作品ですね…。


飛葉ちゃんは夜食にうどんを作って仲間にご馳走するような男。こういうところ、大事にしてほしかった!
三角絞めでつかまえて-大事な要素


とは言いつつも、僕は原作を読んでいたし、心の狭さもあってこんな長く読みにくい感想文を書いてしまっただけで、バイクアクションは邦画レベルではかなり頑張ってるし、役者さんたちも良かったし、もしかしたら普通に観れば普通に楽しい映画なのかもしれません。それに、映画公開のおかげで「原作にも注目が集まる→望月三起也先生にお金が入る!」というのもありがたい話だしね…。とりあえず僕が書いておきたいのは、原作はアクション映画を思わせる構図の数々や巧みなストーリーテリング、ハードなアクション描写により、独特の無国籍な世界観が築かれていて、確かに矛盾があるところもあるけど、お話的には今回の映画版よりも全然優れている作品なので、映画版を観ただけで「どうせ原作もこんな感じなんだろ?(`∀´) ケケッ」って絶対思わないで!ヽ(TДT)ノ

宇多丸師匠の的確すぎる批評がアップされてるので、ぜひ聴いて!




望月三起也先生による原作漫画。昔の作品なので時代背景は古いけど、男子は必読の名著。
三角絞めでつかまえて-単行本
ワイルド7 1 野生の7人編 (ぶんか社コミック文庫)


映画公開に合わせて発売された新作。買わなきゃ!
三角絞めでつかまえて-新作!
ワイルド7 R (マンサンコミックス)


テレビドラマ版。まったく観たことないです。
三角絞めでつかまえて-テレビドラマ版
ワイルド7 DVD-BOX


アニメ版。どうなんでしょうか。
三角絞めでつかまえて-アニメ版
OVAコンプリート・コレクション・シリーズ ワイルド7 コンプリート・コレクション [DVD]


羽住英一郎監督作。僕の感想はこんな感じ
三角絞めでつかまえて-海猿
THE LAST MESSAGE 海猿 スタンダード・エディション [Blu-ray]




※おまけ

僕的には、飛葉ちゃんのキャラクターが違うのはイヤだったけど、「両国=パイロウ(丸山隆平)」「八百=ソックス(阿部力)」「チャーシュー=BBQ(松本実)」という設定変更や、キャラクターたちのビジュアルが今風になっていることは「まぁ、21世紀に映画化するんだし、仕方ないカナー (・ε・)」って思ってたんですよ。ところが、「映画秘宝 2012年 02月号」のプレゼントページを見てビックリ!


なんとワイルド7のメンバーが3人! 飛葉ちゃん役の人はどうでも良いとしても…(失礼な文章)。
三角絞めでつかまえて-映画秘宝ワイルド7!

これが実写版の両国だ! 僕が見たかったのはこれだよ!
三角絞めでつかまえて-両国!

ヘボピーも最高すぎ! ああん、なんでこの人たちを映画に起用しなかったの!?
三角絞めでつかまえて-ヘボピー


僕的には変に今風にアレンジしないで、こんな感じの人たちが「マチェーテ」みたいな世界で大暴れしてくれれば満足だったのかなと、あらためて思った次第です(飛葉ちゃん役は若い頃の椎名桔平さんで、草波は中井貴一さんのままでOK)。


ちなみに望月三起也先生と杉作J太郎先生の対談も収録されているので、「映画秘宝 2012年 02月号」はマストバイ!
三角絞めでつかまえて-望月先生×杉作先生!


おしまい (・∀・)