サラの鍵(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

サラの鍵(ネタバレ)

サラの鍵

三角絞めでつかまえて-サラの鍵

英題:ELLE S'APPELAIT SARAH
2010/フランス 上映時間111分
監督:ジル・パケ=ブランネール
原作:タチアナ・ド・ロネ
出演:クリスティン・スコット・トーマス、メリュジーヌ・マヤンス、ニエル・アレストラップ、エイダン・クイン、フレデリック・ピエロ
(あらすじ)
1942年、ナチス占領下のパリ。ユダヤ人一斉検挙によってヴェルディヴに連れてこられた人々の中に、少女サラはいた。それから60年後。パリに暮らすアメリカ人ジャーナリストのジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)は、アウシュヴィッツに送られた家族を取材するうちに、かつて自分のアパートで起こった悲劇を知ることとなる。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




75点


一昨年は、「戦場でワルツを」「カティンの森」、昨年は「レバノン」と、僕は「年末、浮かれてるような時こそ、こういう作品を観ておこうかしら (`・ω・´)キリッ」と思う傾向があるということで、実際にフランスで起きたユダヤ人迫害事件「ヴェルディヴ事件」を扱った「サラの鍵」銀座テアトルシネマで観てきました。「あら、良い映画!(・∀・)」と思いましたよ。


大きな看板がある映画館は好き。
三角絞めでつかまえて-看板

中には記事の切り抜きもありまして。
三角絞めでつかまえて-記事の切り抜き

ちなみに新宿武蔵野館にはこんな展示があったり(「50/50 フィフティ・フィフティ」を観た時に撮影)。
三角絞めでつかまえて-新宿武蔵野館の展示


「ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件=通称ヴェルディヴ事件」って、すみません、僕は全然知らなかったんですけど、要は、ドイツ占領下のフランスで、警察が自国民のユダヤ人約1万3000人を一斉検挙してヴェルディヴ(自転車競技場))に押し込めて、その後、次々と収容所に送ったというユダヤ人迫害事件でして。この映画を観る限りは本当に非道くて(糞尿を垂れ流す描写が結構ショック)、冒頭のフランス警察のクズっぷりには憤怒で涙が出ました。

映画は、ヴェルディヴ事件を調べるアメリカのジャーナリストのジュリア(クリスティン・スコット・トーマス)の“現在パート”と、1942年のヴェルディヴ事件に巻き込まれるサラ(メリュジーヌ・マヤンス)の“過去パート”を行ったり来たりする構成なんですけど、とにかくこのサラの話に引き込まれるんです。


サラを演じたメリュジーヌ・マヤンスは本当に素晴らしかった!
三角絞めでつかまえて-サラ


サラは、警察が検挙に来た時、大事な弟を守るために納戸に閉じ込めて鍵を掛けちゃうんですね。正直、ここは「わざわざ鍵を掛ける必要なくね? (゚Д゚)」とか「母親はもっとしっかりしろ!ヽ(`Д´)ノ」と思わなくもないけど、いきなり逮捕されるという大変な状況だから、冷静になれなくても仕方ナシ。サラはその鍵を誰かに渡したかったんですけど、信頼できる人が見当たらなくて、そのまま渡せずじまい。「ああん、弟が危ないよぅ! 川;´Д`)ノ」と、ヴェルディヴから収容所に移されて、両親から引き離されようとも、何とかパリのアパートに戻るべく、不屈の信念で奮闘するんです。

で、“サラに名前を呼ばれて会話する→相手の人間性を認めることで自分を取り戻した軍人”(コイツがサラを逃がすシーン、グッとくる!)や、“最初は「面倒だから帰れ!」と追い出しつつも、結局、匿ってくれる老夫婦”(ベタだけどスゲー泣ける!)の助けを借りてアパートに戻って納戸を開けてみたら、弟の遺体を発見し絶叫。その後のサラは、老夫婦に育てられて美しく成長し、アメリカで結婚して家庭を築くものの、「自分が弟を殺した」というトラウマから逃れられず、最終的には自殺するというね… (ノДT) 


サラを匿う老人を演じたフレデリック・ピエロは最高でしたよ。
三角絞めでつかまえて-気の良いオッサン


サラの弟はたぶん5歳程度だったんですけど…どうなんですかね。納戸って5歳児では破れないモンですか? 僕は「実は誰かに助けられていて~」なんて思っていたので、弟が死んでたってオチは結構ショックというか。「映画秘宝 2012年 02月号」大西祥平さんが、異常な筋肉を持つ5歳児が活躍する漫画「NO LONGER CHILDREN—子供失格—」の著者をインタビューされてましたけど、もし弟がこんな5歳児だったなら、悲劇は防げてたのかもしれませんな…(って、全然違う話になっちゃいますがー)。 

ちなみにジュリアの方ですが、「妊娠したものの、夫が子どもを産むのを反対している」という状況で「産むべきかどうか」を悩むんですが、ホロコーストやサラのことを調べるうちに、出産することを決意。生まれた娘にはサラと名付けて終わってました。正直、ジュリア夫婦の諍いについては「そんなに揉めるなら避妊してセックスしろよ ( ゚д゚)」って思っちゃったし、「ホロコーストについて学んだ→命を大事にする」って展開は美談風だけど、中絶するのも選択の1つではあると思うので(もう45歳なんだしリスクが高い)、そんなに乗れなかったり。まぁ、「いつ死ぬか分からないんだから、後悔しない生き方を選ぶ」ってことなら、納得できる…かな。というかさ、ジュリアの家庭は普通に裕福そうなので、「彼女が産みたいなら、そうすればいいじゃん (・∀・)」程度にしか思えなかったんですよね。「“今を生きる人たち”がホロコーストとどう向き合うのか?」を描いた部分は面白かったけど、このパートに関しては、女性の方が親身に感じるような気がしました。


ジュリアのパートは全体的に乗れなかったかなぁ。
三角絞めでつかまえて-ジャーナリスト


ということで、僕的にはヴェルディヴ事件を知っただけでも収穫な上に、その描き方がなかなかハードだったので観て良かったけど(特にヴェルディヴ内の描写がキツくてグー)、弟の遺体を発見した中盤以降はちょっとダレちゃったような気がしないでもなかったり。何はともあれ、1942年のサラのパートはハラハラして最高なので、興味がある人は観ると良いかもネ (・ε・)




原作本。全世界で300万部のベストセラーだそうです。



ジル・パケ=ブランネール監督作。ううむ、まったく観る気がおきない…。



同じ事件を元に作った映画、今年、日本公開されたそうな。



なんとなくこの映画を思い出しました。僕の感想はこんな感じ