エンゼル・ハート(ネタバレ)/「L.A.ノワール」のためのノワール映画特集 | 三角絞めでつかまえて2

エンゼル・ハート(ネタバレ)/「L.A.ノワール」のためのノワール映画特集

エンゼル・ハート



原題:ANGEL HEART
1987/アメリカ 上映時間113分
監督・製作・脚本:アラン・パーカー
製作:アラン・マーシャル、エリオット・カストナー
製作総指揮:マリオ・カサール、アンドリュー・ヴァイナ
原作:ウィリアム・ヒョーツバーグ
撮影:マイケル・セレシン
編集:ジェリー・ハンブリング
音楽:トレヴァー・ジョーンズ
出演:ミッキー・ローク、ロバート・デ・ニーロ、リサ・ボネ、シャーロット・ランプリング、ストッカー・ファウンテリエ、ブラウニー・マッギー、マイケル・ヒギンズ、ダン・フロレク、キャスリーン・ウィルホイト、プルイット・テイラー・ヴィンス、ジェラルド・オレンジ
(あらすじ)
謎の人物からの依頼で、失踪した人気歌手の行方を追うブルックリンの私立探偵(ミッキー・ローク)。だが、彼の行く先々では奇怪な殺人が続発、事件の全貌を知ろうとした探偵を待っていたものは思いもかけない真実だった……。(以上、allcinemaより)

予告編はこんな感じ↓




90点


※今回の「エンゼル・ハート」に関しては、興味がある人は絶対ネタバレを読まないで観た方が良いので、気をつけて!

今回を含めて後2回で終わる「『L.A.ノワール』のためのノワール映画特集」。16本目の作品になる「エンゼル・ハート」は、昔、観たことがあるんですけど、タマフルの「ノワール映画特集」にて高橋ヨシキさんが「これもノワール映画」として紹介されていたので、あらためて借りてきました。今、観ても面白かったですよ~。

映画評論家の柳下毅一郎さんが“ノワール映画”を説明する際、「『我々が生きている世界のすぐ裏に闇がある』という世界観がノワール」とおっしゃってましたけど、この映画はモロにそんな感じというか。僕が観たのは中学生のころ→まだ超ウブだったので、その物語のおぞましさと衝撃的なオチには心底ビックリして、なんか世界の闇を知った気になったものです(そして、ゆで卵を食べる時、たまにロバート・デ・ニーロ風に食べるようになったりもして)。


非常にイヤな感じで食べるデ・ニーロ。このシーンを完コピすると塩が飛び散って迷惑なので注意!
三角絞めでつかまえて-ゆで卵はこう食べる


ストーリーを適当に書くと、主人公の私立探偵が怪しい依頼人に頼まれて人捜しをしていたら、「実は僕がそいつでした (ノ∀`)アチャー」って感じ。昔、歌手だった主人公は、悪魔と契約して売れっ子になるんですが、やっぱり魂をあげるのはイヤということで、悪魔から逃れるために他人を殺して、そいつにすり替わっていたワケです(記憶も改ざん)。ただ、結局はバレバレで、悪魔に導かれて関係者を殺しまくるわ、自分の娘ともセックス→殺害しちゃうわと、悪夢のような体験をさせられた挙げ句、地獄に堕ちるというね…。

音楽プロデューサーのジェーン・スーさんは「高橋芳朗 HAPPY SAD」出演時に「自分探しという無駄なこと」「探している人と探しているモノが一緒なんだから見つかるワケがないという素晴らしい名言を残してまして。まぁ、この映画の場合は「本当のアタシを見つけちゃった♪ ヘ(゚∀゚*)ノ」ワケですが、「そんなモノが見つかってもロクなことにはならない」って感じが非常に伝わってくる作品だったと思います。

※ここからの文章はあまり映画とは関係ない上に、かなり腐った内容なので、一応、文字を反転しないと読めないようにしました。読むと、気分が悪くなる怖れがあるので、あまりオススメしません。

いや、全然関係ない話なんですが、実は僕も「エンゼル・ハート」的な体験をしたことがありましてね…。ウチはお金がなかったので、大学受験の時、僕が受験したのは1校だけだったんですよ。で、10年前くらいのお正月に母親と話してた時、「ウチもお金があればもう1校くらい受験できたのにぃ~」みたいなことを言ったら、母親が「何言ってるの? ○○大学と○○大学を受験したじゃない!」と。その瞬間、僕の脳裏に過去の記憶が一気にフラッシュバック、夏! Σ(゚д゚;) ヒィ!

当時、心底クズ野郎だった僕は「○○大学だけ受験すれば受かるだろう」と、もう1校分の受験費(確か10万円くらい?)を全部“遊び”に使っちゃったんですよね…。そして、受験を失敗してしまった僕は“その自分の愚かさ”から目を逸らすべく、「そうさ、ウチはお金がないから、1校しか受けられなかったから、進学できなかったのさ… (゚∀゚;) ボクワルクナイ」と積極的に記憶を改ざん。そして、ガチで自分のウソを10年間くらい信じ込んでいたんです。いやいや、人間の脳というのは本当に恐ろしいものですな…。

まぁ、当然ながらそんなことを母親に言えるワケもなく、「あ、そうだった、2校受けたんだったら~ん (`∀´;)」と急いで話を合わせましたが、死にたかった!ヽ(TДT)ノ あの受験費用は「母さんが夜なべをして~」どころじゃなく、本業の他にバイトをして必死に稼いでくれたお金だったのに、今では何に使ったかすら覚えてないという恐ろしく残念な状況(たぶん、焼肉とか食べた)。タイムマシーンがあったら、即、当時の自分に会ってちゃんと受験させる…というよりも問答無用で絞め殺したい強い気持ち、強い愛(なんだこれ)。

いや、僕もね、社会人になって家を出てからは、それなりには孝行息子にトランスフォームというか、娘のマナ子が生まれるまでは仕送りとかしてたじゃないだから許してくださいママンと思いつつも、このことを思い出すと心苦しくて仕方ない…。いっそ忘れたままでいれば良かった!ヽ(TДT)ノ だからね、みなさん、「本当の自分」なんて探すとロクなことにはなりませんぞ…って、全然ノワール映画と関係ない話でしたな ┐(´ー`)┌ヤレヤレ


閑話休題!ヽ(`Д´)ノ(元気よく) 正直、今の“あざとい視点”で観ちゃうと、「最初からオチが読めちゃうよね~ (・∀・)」って思わなくもないんですけど(というか、演出が結構親切)、役者さんたちは全員良い感じだし(このころのミッキー・ロークは超色男ですな。今の方が好きだけど)、画面から伝わるイヤ~な雰囲気がたまらなくて好きというか。エンドロール、下降するエレベータの救いのない感じも大好きでした。それと、なんか今まで観てきたノワール映画よりも、音楽や捜査過程の描写が「L.A.ノワール」っぽいのが面白かったりもしてね。


こういう手元を映すカットが「L.A.ノワール」っぽい。
三角絞めでつかまえて-財布を開く

このシーンとか「賢くないとこれは繋げられないな」とか言いそう…って、ゲームをやってない人は何が何やらですな。
三角絞めでつかまえて-賢くないと…


ということでね、あらためて好きな映画になりましたよ。この残念な感想文を読んだ人が観るかどうか分かりませんが、結構オススメですゾ。




アラン・パーカー監督作。うろ覚えですが、かなり面白かったような気がします。
三角絞めでつかまえて-ミシシッピーバーニング
ミシシッピー・バーニング [DVD]


原作小説。評判は良さげ。確か、昔、読んだと思うんだけどなぁ…。
三角絞めでつかまえて-原作小説
堕ちる天使 (ハヤカワ文庫NV)