ゴースト もういちど抱きしめたい(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ゴースト もういちど抱きしめたい(ネタバレ)

ゴースト もういちど抱きしめたい※シネマハスラーへのリンクなどを追加しました(2011/1/15)

三角絞めでつかまえて-ゴーストもう一度

2010/日本、韓国 上映時間116分
監督:大谷太郎
製作:一瀬隆重
脚本:佐藤嗣麻子、中園ミホ
出演:松嶋菜々子、ソン・スンホン、鈴木砂羽、橋本さとし、宮川大輔、黒沢かずこ、松金よね子、樋田慶子、波岡一喜、嶋田久作、温水洋一、芦田愛菜、樹木希林
(あらすじ)
会社経営者の七海(佐藤嗣麻子)はある日、陶芸の勉強をするため日本に留学している青年ジュノ(ソン・スンホン)と出会い、恋に落ちる。しかし2人の幸せな生活が始まった矢先、七海は事件に巻き込まれ命を落とす。七海の魂は天国に行くことを拒否し、ゴーストとなってジュノのそばに留まることを選ぶ。(以上、エイガ・ドット・コムより)

予告編はこんな感じ↓




30点


※今回の記事は「ゴースト もういちど抱きしめたい」が好きな人は高確率で不快になると思いますので、読まない方が良いです。

ハッキリ言って、まったく興味がない映画だったんですよ。観る予定なんてゼロで、シネマハスラーのサイの目候補になっても「ハズレてくれ~」と祈ってたんですが…。でも、ハッキリ言って、観て良かったです。スゲー泣きました。

たぶん、タイトルがすぐ出て消えるのはオリジナルを意識してるんですよね? 開始早々、ベッドで七海が裸で寝てるんですけどね。その背中を見て、「そういえば昔、車のCMで『お・ま・た』みたいなことを言って背中を見せてたような…(違うっけ?)」なんてことを思ったりしたんですけど、とりあえず胸をガードしてるのが不自然すぎて、だったらシャツでも着せろよと思ったりしてね。で、いきなりジュノをビンタするんですど、事情を飲み込めてないのにビンタすんな! ジュノも張られてニヤニヤすんな!(そういう性癖だったら仕方ないけど…) その後の「ごっこ」にしか見えない安っぽい社長描写のつるべ打ちとか酔っぱらった七海にニヤニヤして付き合う包容力があるんですねーって感じのジュノはバカなんじゃないのとか思ったり謝りに来た七瀬の行動とか見てると本当に頭が悪いというか絶対会社なんか運営できないだろその理解力の低さとか恐ろしくイライラしてスゲー帰りたくて……もう苦痛で仕方なかったワケですよ。

で、なんかロクロとか回しちゃってさ。超有名なシーンの再現ですけど、オリジナルはさ、女性が陶芸家で長年付き合ってる恋人がジャレてくる感じなワケですよね。


ライチャス・ブラザーズの「UNCHAINED MELODY」ですな。実際はもっと自然な感じで流れてる。




ところが! こっちの場合は、まだ会ったばかりの女性がロクロを回してる時に陶芸家の男が勝手に後ろから手を回してくる…って、いいんですか? アレが普通の行為なら、本当に今からでも陶芸家を目指したいような…(失礼な発言)。しかも何がスゴイって恐ろしく唐突に平井堅さんが歌う「UNCHAINED MELODY」が流れるんですよ! すみません、飲んでた水、吹きました。


有名な画像。本当にこんな感じでした。前の席に迷惑がかからなくて良かった…。
三角絞めでつかまえて-松田優作


一応、貼っておきますね↓




いや、別にオリジナルのシーンが好きなワケじゃないけどさ、アレはまだ曲が自然に流れているような描写なんですよ。もう本当に「何も考えてないんだなぁ」と感心して。以前、サイの目候補のリスナー枠でニクマルジャップさんが「今年観た映画で一番笑えた作品」的なことをおっしゃってましたけど、「そうか、ネタ映画なんだな~」って考えると気が楽になってね。だから、「彼女を殺した犯人が家に侵入→その後バイクで逃走→犯人が歌舞伎町の事務所に到着→なぜか七海も事務所に(瞬間移動した?)」という流れも微笑ましく見られました。

というか、思い出すと、オリジナルもそれなりにコメディ要素がしっかり入ってるんですよね。その役目を担うのがウーピー・ゴールドバーグ演じる霊媒師オダ=メイ・ブラウンだったりして、こっちは樹木希林さんが運天五月(メイの日本語訳ってことですな)という役名の霊媒師を演じたワケですが…最高でしたね。スゲーとしか言いようがない演技で、腹を抱えて笑いましたよ。この一点だけはオリジナルを越えたんじゃないでしょうか。

で、「少し不思議」的な話としては、もともと良くできた物語だと思うんですよ。幽霊になって右往左往するだけでも愉快というか。それに、こんなことをやらされている主演の2人もなんか可哀想で(特に序盤の松嶋菜々子さんは全然キレイに撮影されてなくてビックリした)、だんだん感情移入しちゃったし……。しかも、ちゃんと要所要所で笑えるところを用意してくれていて。これは見た人しか分からないと思いますけど、例えば、このシーン↓


幸せな人生を返して返して返して返して返して
返して返して返して返して返して返して返して
返して返して返して返して返して返して返して
返して返して返して返して返して返して返して
返して返して返して返して返して返して返して
返して返して返して返して返して返して返して
返して返してパスワード教えて教えて教えて



もう一度、吹きました。


あらためて貼りますね。
三角絞めでつかまえて-松田優作


ただ、やっぱり最後の方になると「ダメだな~」と心から思う感じで。クライマックス、商店街みたいなところで戦うのは本当に興ざめ。今まで笑ってたけど、さすがにバカバカしすぎて許せなくなりました。最後、悪人が地獄に引きずり込まれるところもテレビの特撮っぽい感じで…。っていうかさ、そもそも“あえて”そうしたんでしょうけど、全体的にCGが安っぽすぎて、“あえて“とか言われても全然乗れないんだよ!

「半死状態で夢の中で抱きしめ合って~」ってシーンは泣いたけど、長いよ! 「見えなくても 触れられなくても あなたをずっと想いつづける」ってキャッチなのに、抱きしめ合ってるんじゃないよ! もう触れ合えないからこそ寂しくて切ないんだろうが! というか、基本的に霊界描写が丁寧じゃないのもどうかと思うんですよ。芦田愛菜ちゃんは可愛かった、確かに可愛くてまったく悪くないし、ぜひ我が家の養子にと思っていますけど、僕は地下鉄のゴーストがスゲー好きなんだよ! アイツがいるからこそ死者として残ることが恐ろしくなるんじゃないの? なんで削るんだよ、チラッとキャストを見た時、絶対、嶋田久作さんがやると思ってたのに! つーか、日本なんだから、劇中で「ゴースト」って言うな! その後、「幽霊のことだよ」って言わすな!

大体、「知ってるわ」って全然上手くないから! 意味的にも映画での使い方にしても、全然、オリジナルの「DITTO(同じく)」の代わりになってないから! ああいうのは「男が照れくさくて愛してるって言えなくて」「でも、大事なことはちゃんと言わないとダメだよね」ってことなんじゃないの?(そしてラストのデミ・ムーアが超可愛い…) ムーミンの破片だってバカみたいに出しすぎだしさ。ああいうのは割れた時と最後の飾ってあるシーンだけでいいんじゃないの? もうね、全編適当に作られてる気がしました。

ただね、結局は嗚咽を漏らして泣いてしまったワケです。それはパトリック・スウェイジを思い出してしまって…。僕は「ロードハウス 孤独の街」という格闘アクション映画が大大大大大大好きなんですね(ちなみにあの知野次郎さんも絶賛! さすが、分かってらっしゃるなぁ…)。最初は、「なんだ、『ダーティ・ダンシング』の野郎か ( ゚д゚)、ペッ」と思ったりしたんですけど、観ているうちに「なんだ、やるじゃないか!」「そういえば大山倍達先生も『ダンサーは強い』とおっしゃっていた…」とすっかり見直してファンになりまして。「ハートブルー」も好きだし(拳法は使いませんでしたが…)、「ブラック・ドッグ」だって劇場に足を運んで、あんまりな出来に激怒したりもしたんですよ(しかも拳法を使わないし…)。「ゴースト ニューヨークの幻」の時は、話をよく知らないで観たので、開始早々死んじゃって心から驚いたりしてね。


「ロードハウス 孤独の街」はこんな感じの映画↓




だからね、主演の2人にも感情移入したけど、すみません、正直に言うと、ずっとパトリック・スウェイジとデミ・ムーアに置き換えて観てました。で、パトリック・スウェイジは昨年亡くなってしまったじゃないですか。僕はずっとまた彼に「ロードハウス 孤独の街」のような映画に出てほしかったから、かなりガッカリしてね…。でも、最近は、なんか日々の生活に追われて言い訳をしながら、心の中でパトリック・スウェイジを疎かにしていた自分に気付いてしまって、見終わった後もトイレで泣いてしまいました。

ということで、映画としてはそんなに好きじゃないけど、樹木希林さんは最高だったし、笑えるところも多かったし、何よりも僕にパトリック・スウェイジのことを思い出させてくれたということで、本当に観て良かったと思いました。とりあえず時間を作って、近々「ロードハウス 孤独の街」を見直す予定です。ただ、よっぽど笑いたい人以外は、「ゴースト ニューヨークの幻」を観た方が良いんじゃないですかね。あと、お金と時間と心に余裕があってB級格闘アクション映画が好きな人は、何度も書きますけど、「ロードハウス 孤独の街」が超オススメ。いつかしっかりした文章を書いて残しておきたいくらい、大好きな映画ですって、変なオチですみません…。

※宇多丸師匠がオリジナルも含めた素晴らしい批評をされているので、要チェックですぞ!




この映画の影響で、好きな人にはいつでも「愛してる!」と言うようになりました(逆に心がこもってない感じ)
三角絞めでつかまえて-ゴースト
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恐ろしく好きな映画。いつの間にか「2」が作られていたりしてね。
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