ソーシャル・ネットワーク(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ソーシャル・ネットワーク(ネタバレ)

ソーシャル・ネットワーク※シネマハスラーへのリンクなどを追加しました(3/26)

三角絞めでつかまえて-ソーシャル・ネットワーク

原題:The Social Network
2010/アメリカ 上映時間120分
監督:デビッド・フィンチャー
脚本:アーロン・ソーキン
製作:スコット・ルーディン、マイケル・デ・ルーカ、ショーン・シャフィン、デイナ・ブルネッティ
製作総指揮:ケビン・スペイシー、アーロン・ソーキン
原作:ベン・メズリック
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク、ジョセフ・マッゼロ、ルーニー・マーラ、アーミー・ハマー、マックス・ミンゲラ
(あらすじ)
2003年、ハーバード大学に通う19歳のマーク(ジェシー・アイゼンバーグ)は、親友のエドゥアルド(アンドリュー・ガーフィールド)とともに学内の友人を増やすためのネットワーキング・サービスを開発する。そのサービスは瞬く間に他校でも評判となり、ファイル共有サイト「ナップスター」創設者のショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)との出会いを経て、社会現象を巻き起こすほどの巨大サイトへと急成長を遂げるが……。(以上、エイガ・ドット・コムより)

予告編はこんな感じ↓




85点


※今回の記事は、そんなに起伏がなくダラダラしていて、かなり読みづらいので要注意です。

映画評論家の町山智浩さんの解説を聴いて興味があった&シネマハスラーの課題映画になったということで、新宿バルト9で観てきました。予想以上に面白かったです!

映画の流れは、<「マークがfacebookを立ち上げてから親友エドゥアルドを裏切るまで」の過去のシーン><「互いに弁護士を立てて協議中」の現在のシーン>が交互に展開していて、「彼はどうやって億万長者になったのか?」的な伝記モノというよりは「デビッド・フィンチャーが撮った“今どきの青春映画”」って感じでしたね。アメリカの青春映画がそこそこは好きな僕的には結構グッときたし、共感できるシーンも多かったです。ただ、詳しい必要はないけど、ある程度はマーク・ザッカーバーグやfacebookフラタニティなどの知識がないと理解するのが少し大変そうな気がしたんですが…どうでしょうか(僕は「映画秘宝 2011年 02月号」で予習してました。あと、こちらのブログの記事が素晴らしく参考になります)。

観る前は「主人公のマークはかなりイヤな奴なんだろうな~」と思ってて。実際、映画序盤でエリカ(ルーニー・マーラ)の個人情報を元にした悪口をブログに書いた時は激怒しましたけど(ただ、エリカもいくら頭に来てたとはいえ、マークを「田舎者」とバカにしたのは残念な話)、明らかにアスペルガー症候群を匂わす描写があったりすると(女性が取れない速度で瓶ビールを何度も投げるシーン)、観ているうちに「単なる“イヤな奴”ってワケでもないんだなぁ」と。


物語の発端となるデートのシーン。僕の友人にもこういう人いるけど、アスペルガー症候群なのかしら…。
三角絞めでつかまえて-そもそもの発端


特に最後、エリカのfacebookに友達リクエストを送って、彼女の承認を待って何度も更新する姿はスゲー泣けまして…。「世界最大のコミュニケーション・ツールを作った代償として、独りぼっちになってしまった」という非常に分かりやすいオチというか。結局、彼はなんでエリカが怒ったのかは今も理解してないけど、“何か”に激しく後悔はしてるんですよね。

僕も昔、付き合ってた女性と別れる時に酷い発言をしたことがあるんですが、今でもたまに思い出すと「ごめんなさい、ごめんなさい!」と身悶えするだけに、あの未練がましいラストには本当に胸を打たれました(エリカ自身に未練があるというよりも、理解できずに“何か”を失ってしまったことへの未練というか)。まぁ、中盤でのエリカの「ビデオゲーム頑張って」というあまりに無理解すぎる皮肉からすると(僕の母親の「ゲーム機→すべて“ピコピコ”と呼ぶ」みたいなものではないですわな)、彼女との関係が長く続く可能性は低かったように思いますが。

唯一の親友だったエドゥアルドも良かったですな。“単に金を持っているだけの凡人”ということで、一番感情移入がしやすいキャラクターですよね。お金を投資しているのにないがしろにされて“すっかり蚊帳の外状態”ってのは本当に可哀想で。“フェニックス”というフラタニティに入るため、エリート階層のクズどもに認められようとバカバカしい無茶振りに耐える姿もスゲー分かるというか(僕も仕事でエリート的な人と会うと光並みの速度で相手に取り入ろうとする習性があります)。ショーンと比べると自分自身が劣っていることを自覚してるのがまた不憫だったりしてね。


裏切られて途方に暮れるエドゥアルド。そりゃ訴えたくもなるよネ。
三角絞めでつかまえて-ションボリなエドゥアルド


で、そのショーンがまたカッコ良すぎ!(その見せ方もまたカッコ良い) かなり胡散臭いんだけど、話し方や仕草は魅力的で面白いし、しかもオサレでセンスが良いという…。あそこまで凄くはないとしても、「ああいう人っているよなぁ」と思って。なんか仕事関係のことを思い出して胃が痛くなりました。終盤、パーティをやっているところに警察が踏み込んだ時は、逆に“普通に怯える普通の20代の若者”っぽい感じになったりしたのも良かったです(まぁ、ベタですが)。ちなみに、あのパーティを警察に通報したのがマークだと考えると、“マークとエドゥアルドの失われた友情”がまた泣けてくるというか…。


登場と同時に場の空気を一気に持っていくショーン。自分の飲み物くらい自分で選びたいと思ったり。
三角絞めでつかまえて-カッコイイショーン


エリート階層の双子兄弟も素晴らしかったです。「実はアーミー・ハマーが1人で演じた」ってのはまったく違和感を感じなかったので本当に驚きましたよ。「ダブル・インパクト」「ツイン・ドラゴン」のころから考えると、今のCG技術は恐ろしいですな。あの「ちょっと傲慢だけど、そんなに悪い奴でもない」的なバランスの性格描写も良かったし、「笑われるかもしれないけど、相手を訴えるのは紳士じゃない!」みたいな台詞も結構好きだったりしました。「ああいう人たちって実際に会うと良い奴が多くて、結局、無闇に牙を向けられないんだよなぁ」と、またもや仕事関係の人を思い出して胃が(ry あと、ローレンス・サマーズ学長(ダグラス・アーバンスキ)に口でコテンパンにされるシーンは痛快でしたね~。


195センチ100キロの肉体を持つエリート双子。背筋が発達しているのでかなり強力な打撃を備えているだろうし、アマレスの経験もあると思われますが、3カ月準備期間をもらえれば、1対1なら勝てるハズ!(相手には準備期間がない前提)
三角絞めでつかまえて-エリート双子


ってことで、登場人物が実に魅力的な映画なんですけど、見終わってから「どこが脚色されて、どこが本当なのか」をネットで調べるのもまた面白くて。例えば「エドゥアルドの世間的な評価はそんなに高くない」とか「映画のショーンは山師っぽいけど、実際はかなりマークを支えてた」とか「マークにはfacebookを作った直後から付き合ってる恋人がいる」とか「エリカが実在してるのか怪しい」とか「そもそも本物のマークは普通に他人とコミュニケーションがとれる人っぽい」とかとかとか。それを踏まえると、「話題性や時代性を生かしつつ、上手くフィクション作品として仕上げたんだなぁ」と、さらに感心しましたよ。

まぁ、気になったところを書くと、正直、エドゥアルドの恋人のクリスティ(ブレンダ・ソング)のゴミ箱炎上エピソードは不要な感じがしたし(しかも意外とアッサリ別れてビックリ)、物語にあまり起伏がないような印象もあるし。大体、嫌われ者の主人公をアスペルガー症候群って設定にするのって、ちょっと逃げてるような気がしないでもないような…。


このシーンは実に不愉快でした。
三角絞めでつかまえて-スカーフを燃やすビッチ


というか、よくよく考えてみたらこの映画、登場人物は“単に金を持っているだけの凡人”なんて書いたエドゥアルドも含めて、僕ごときよりはるかに頭が良い人たち揃いなワケでして、「共感できた (`・ω・´)キリッ」なんて、どの口が言うのかと。ちくしょう、ダラダラとまとまりのない長文をしたり顔で偉そうに書いている自分が恥ずかしくなってきたYO!ヽ(`Д´)ノ

まぁ、結局、僕のようなボンクラにはかなり縁遠い世界というか、SFチックな物語ではあるんですが、やっぱり設定を置き換えれば共感できるところもあるし、非常に良く出来ている面白い映画だと思いました。役者さんたちの演技は素晴らしかったし、演出はカッコ良いし、話の流れも面白かったし、2時間があっという間に過ぎたので、結構オススメですぞ。

※ちなみにパンフレットも買ったんですが、デザインは悪くないけど、mixiの社長と社員の対談を載せるくらいなら、「マーク・ザッカーバーグ本人について」や「映画と現実の違い」、「サントラについて」などのコラムが読みたかったなぁと思ったり。

宇多丸師匠が非常に的確な批評をされているので、要チェック! いろいろなシーンの意味に気付いてなかった自分が恥ずかしいです…。




映画の原作本。面白そうですな。
三角絞めでつかまえて-フェイスブック原作
facebook


映画のサントラ。音楽もスゲー良かったと思います。
三角絞めでつかまえて-サントラ
Social Network


デビッド・フィンチャー監督作の中で一番好きな映画。
三角絞めでつかまえて-ファイトクラブ
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デビッド・フィンチャー監督作の中で未見の映画。あまり観る気が起きないんだよなぁ。
三角絞めでつかまえて-ベンジャミンバトン
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