パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々(ネタバレ)

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々

三角絞めでつかまえて-パーシー1

原題:PERCY JACKSON & THE OLYMPIANS : THE LIGHTING THIEF
2010/アメリカ 上映時間121分
監督:クリス・コロンバス
出演:ローガン・ラーマン、フランドン・T・ジャクソン、アレクサンドラ・ダダリオ、ジェイク・アベル、ピアース・ブロスナン、キャサリン・キーナー、ユマ・サーマン、ショーン・ビーン、ロザリオ・ドーソン、スティーヴ・クーガン、ジョー・パントリアーノ
(あらすじ)
ギリシャ神話の神の息子であると告げられたアメリカの寄宿学校生、パーシー・ジャクソン(ローガン・ラーマン)。仲間とともにゼウスの雷撃を探す旅に出ることになったパーシーに、予言の神は4つの神託を下すが、旅の途中にはオリンポスの神々との出会いや敵との戦いが待っていた。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




4点


※今日の記事はかなり主観で叩いているので、原作が好きな人は読まない方が良いかもしれません。

最初は観るつもりはなかったんですけど、昔からファンタジー小説は大好きだし(「ドラゴンランス」シリーズ
とか「アイスウィンド・サーガ」とか「エルリック・サーガ」とかが好き)、ギリシャ神話もそこそこ好きだし、ファンタジー映画も基本的には嫌いじゃないということで、新宿ピカデリーで観たんですが、僕の個人的な感想では、最低の映画だと思いました。いや、もちろん面白いと思う人もいると思うんですよ。そういう人は、本当にここから先の文章は読まなくて良いと思います。不快になるだけですから。

「何の取り柄もないガキが実は“特別な存在”で、その力を使って大活躍」ってのは、まぁ、超能力モノとかではよくある話ですが、せめて多少は努力なり葛藤なりがほしいじゃないですか? でも、この主人公は劇中でまったく努力もしなければ葛藤もしないんですよ(母親が死んだと見なされたシーンでもちょっとしか落ち込まない)。例えば、僕が尊敬する宇多丸師匠と高橋ヨシキさんのお2人が「映画秘宝2010年04月号」で「『アバター』の主人公は努力していない」みたいなことをおっしゃっていましたが、これには僕も異を唱えたくて。「アバター」の主人公には“海兵隊員として頑張っていた過去”があるじゃないですか?(“努力をした経験”がある) でも、脊椎をケガして下半身不随になって、鬱屈したモノを抱えていたからこそ、動ける体への執着があったワケですよ。要は、「少林サッカー」の主人公たちに近いと思うんですよね。

でも、このパーシーにはそんな過去もなければ、デミゴッドとして覚醒してからも驚くほど何もしません。「何を教えるでもなくいきなり“旗取り合戦”に参加させる」という訓練所の方針もどうかと思いましたし、さらに「“実際の剣で斬り合う”という訓練方法はどうなんだ」とも思いますし、「“最後にタイマンを制した方が旗を取る”だけなら、“合戦”の意味なくね?」とも思ったりしましたけど、何が一番腹立つって、何の努力もせずに“剣技”まで強くなるところですよ。父親がポセイドンということで“水を操る”のは全然良いけど、剣技というテクニックまで習得するってさすがにズルくないですか? その後の主人公の微妙に謙遜した様子にまたムカついたり。

で、パーシーはとりあえず冥界で囚われている母親を救うために、アテナを母に持つアナベスという少女と従者のグローバーの3人で旅をするワケですが、コイツらって自分たちが良ければ他人のことはあまり気にしない感じなんですよね。大きな目的のためだから仕方ないんでしょうけど、一切人助けをしないんです。「メデューサ(ユマ・サーマン)に石にされた人はもう戻せない=死んだも同然」というのは別に良いんですけど、石にされた人の腕は砕くわ、車で粉砕するわで、扱いが本当に非道いと思いました。ラスベガスでロトスの花の餌食になっている人たちはそのままだし…。まったく英雄に見えないというか。 

あと、パーシーの母親も酷くて。ゲイブ(「マトリックス」のサイファー役のジョー・パントリアーノ)というダメ人間と結婚していたんですけど、それは「パーシーの存在を隠すためにクズの近くにいる必要があったため」なんですね(ダメ人間が近くにいるとデミゴッドの存在を隠せるそうです)。確かにゲイブは相当にダメな男なんですが、そんな理由で結婚された彼はちょっと可哀想すぎないですかね? そういう母親の姿勢に薄々気付いていたから、余計イヤな奴になっちゃったんじゃないの?

文句を列挙すると、そもそもの発端のゼウスがちょっとバカすぎじゃないですかね? なんで「<稲妻>を盗んだのがパーシーだ」って思いこんだのかが一切説明されないし、そんな大事なモノがなんでルーク(ヘルメスの息子)ごときが盗めるところにあったのかもまったく分からないし…(空を飛べる靴を持っている程度)。まぁ、全体的に出てくる神が本当に“ちゃっちい”ですよね。そこら辺はギリシャ神話らしい気もしますが…。そういえば、盾に<稲妻>が隠してあって、冥界で都合良くハデスが見つけるのも「はぁ?」って感じで。そもそも戦争が望みならルークはずっと自分で<稲妻>を隠し持っておけば良かったワケだし、パーシーたちは恐ろしいほどバカだから散々使っていた盾に<稲妻>が仕込んであったのに冥界に行くまで気付かなかったから良かったけど、万が一気付かれた時のことを考えると実にリスキーな作戦だったと思うんですが…。

ちなみにこの映画で一番酷いのはエンドロール後だと思います。ゲイブが出てくるんですが、家の冷蔵庫にカギがかけてあって、「開けると酷い目に遭う」的なことを書いた紙が貼ってあるんですね。ゲイブが「クソガキが!」みたいな勢いで無理矢理扉をこじ開けると、中にはメデューサの首があって石化して終了と。いや、確かにゲイブはゲスでイヤな奴なんですけど、「石にされる=殺されるようなこと」は一切していないと思うんですよ(映画を観る限りは)。もうね、「イヤな奴は死んじゃえ!」的なガキっぽいオチで、かなり腹が立ちました。

本当にね、何も考えていない映画だと思いますよ。“ファンタジー要素のうわべ感”がまたムカつくんですよね。「子ども向けに作ったモノをわざわざ観て、目くじら立てて怒ってバカみたい」と思うかもしれませんが、僕は全編から作り手の「ガキはこんな感じで喜ぶんだろ?」的な姿勢が感じられて、本当に不快でした。「ハリー・ポッターと賢者の石」もあまり好きにはなれなかったけど、この映画に関しては「大嫌い」です。もう二度と観ません。




原作です。読む気もしません。まぁ、「子ども向けなんだから大人は読むな」って話なんですけどね…。
三角絞めでつかまえて-パーシー2
パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 盗まれた雷撃


クリス・コロンバス監督作。まだこっちの方が許せます。好きじゃないけど。
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