こまどり姉妹がやって来る ヤァ！ヤァ！ヤァ！（ネタバレ）
こまどり姉妹がやって来る ヤァ！ヤァ！ヤァ！※映画の説明などを追記しました（12/17）
2009／日本 上映時間71分
監督：片岡英子
出演：長内栄子、長内敏子
（あらすじ）
昭和30年代に一躍スターとなり、71歳となった現在も精力的に日本各地を飛びまわっている双子デュオ「こまどり姉妹」の知られざる半生を辿るドキュメンタリー。生きるために歌い続けた幼少時代、絶頂期にステージ上で起きたファンによる凶行、時代の流れによる低迷期など、栄光の影に隠された真実が次々と明かされていく。（以上、エイガ・ドット・コムより）
予告はこんな感じ↓
90点
えーっと、音楽映画強化月間という、誰も期待していない企画を勝手にやっている僕ですが、この「こまどり姉妹がやって来る ヤァ！ヤァ！ヤァ！」には予想外に感動させられました。「ビートルズがやって来る ヤァ！ヤァ！ヤァ！」からタイトルを拝借したのは面白いなぁと思っていましたが…本当に素晴らしい作品でしたよ。
正直、こまどり姉妹なんて名前しか知らなかったんですが（失礼！）、彼女たちは本当にスゴい！ 昭和を代表する双子デュオなんですね。この映画で語られる彼女たちの人生はまさにハードコアの一言であり、自分たちの芸を頼りに生きてきた、文字通りの「芸人」だと思いました。
小さいころから極貧の生活（他人の畑から野菜を盗んで飢えをしのぐ）を暮らしていた彼女たちは、12歳で家計を支えるために「流し」の仕事を開始。13歳のときにはヒロポン中毒がウヨウヨ状態の東京・山谷に拠点を移し、ストリップ劇場などにも上がりつつ稼ぎまくる（もちろん歌うだけ）。ヤクザに脅されたりしながらも、活動を芸能界に移し、芸名を「こまどり姉妹」に決定（一般公募し、候補には「ザ・おにぎり」なんてのもあったそうな）。順調にキャリアを積むも、姉のストーカーが間違って妹を刺すという事件が発生。その後、税理士の横領による税金の滞納問題が発覚し、借金まみれに。そして、妹が末期ガンと告知された年には母親と父親が相次いで死去し、さらに借金まみれに…。そんな中、姉は未婚の母に…。って、どうです？ イヤになるほど濃い人生じゃないですか？
まぁ、おじいちゃんやおばあちゃんの人生の話って、聞いてみると意外と面白かったりするじゃないですか。「ええ!? じいちゃん、戦争で人殺してたのかよ！」的な驚きがあったりとか。ただ、ちょっとボケているから同じことを何回も話したりとか、よく聞き取れなかったりとかして、イライラしたりもしますよね。でも、この映画は話術が達者な芸人のかなりハードな人生話を歌や昭和の映像を交えて見事に編集しているワケで、面白くないワケがないんですよ。上映時間が１時間程度と短いのも、スッキリしていて良かったなぁ。
特にこまどり姉妹は“女・綾小路きみまろ”という感じで、非常に話術が達者なのが良いんですよね～。「ヒロポン」とか「ヤクザ」とか、最近は自重されそうな単語がポンポン飛び出すのも素晴らしい。ぜひプロインタビュアーの吉田豪さんにインタビューしてほしいなぁと思ったりもしました（もう映画内でかなり語っているので、意味はないかもしれませんが）。
ちなみに劇場はかなり埋まっていました。モーニングショー限定というのもあるんでしょうが、封切りして1カ月近く経っているのに、こんなにお客さんがいるのはスゴいんじゃないかと。老人が多いかと思っていたら、普通の若者も結構いました。「なんか酒くさいな～」と思ったら、後ろに座っていたオッサンがワンカップを飲んでいたんですが、映画の最後に「ソーラン渡り鳥」が流れたとき、そのオッサンが嗚咽を漏らしながら号泣。僕もついもらい泣きしちゃいました。それまで劇中では歌を最後まで聴かせないんですが（途中で終わったりする）、この“最もヒットして最も知られている曲”を映画の最後にフルで聴かせるという構成は、ベタかもしれないけど、本当に素晴らしいと思いました。そりゃオッサンも号泣するよ…。片岡英子監督はこまどり姉妹という“スゴいけど微妙な素材”をよくぞここまでポップに、しかも感動的に見せたなぁと感心しました。
とにかくこの映画を観たら、こまどり姉妹を好きになるのは間違いないと思います。そして、かなりラーメンが食べたくなると思います（狂ったようにラーメンにコショウをかけたり、ラーメンを交換して食べたりするシーンが最高に愛らしい）。テアトル新宿では11月27日で上映が終わるようですが、好評につき他の劇場でも引き続き公開されるとか。時間に余裕がある人はぜひ観に行ってくださいな。
映画を観終わるとかなりほしくなる一枚。
こまどり姉妹／（決定盤）こまどり姉妹大全集
￥3,500
片岡英子監督はこんな映画を撮っていたんですね。面白そうですが、未見なんですよね…。
歌謡曲だよ、人生は [DVD]
￥1,360
Amazon.co.jp
2009／日本 上映時間71分
監督：片岡英子
出演：長内栄子、長内敏子
（あらすじ）
昭和30年代に一躍スターとなり、71歳となった現在も精力的に日本各地を飛びまわっている双子デュオ「こまどり姉妹」の知られざる半生を辿るドキュメンタリー。生きるために歌い続けた幼少時代、絶頂期にステージ上で起きたファンによる凶行、時代の流れによる低迷期など、栄光の影に隠された真実が次々と明かされていく。（以上、エイガ・ドット・コムより）
予告はこんな感じ↓
90点
えーっと、音楽映画強化月間という、誰も期待していない企画を勝手にやっている僕ですが、この「こまどり姉妹がやって来る ヤァ！ヤァ！ヤァ！」には予想外に感動させられました。「ビートルズがやって来る ヤァ！ヤァ！ヤァ！」からタイトルを拝借したのは面白いなぁと思っていましたが…本当に素晴らしい作品でしたよ。
正直、こまどり姉妹なんて名前しか知らなかったんですが（失礼！）、彼女たちは本当にスゴい！ 昭和を代表する双子デュオなんですね。この映画で語られる彼女たちの人生はまさにハードコアの一言であり、自分たちの芸を頼りに生きてきた、文字通りの「芸人」だと思いました。
小さいころから極貧の生活（他人の畑から野菜を盗んで飢えをしのぐ）を暮らしていた彼女たちは、12歳で家計を支えるために「流し」の仕事を開始。13歳のときにはヒロポン中毒がウヨウヨ状態の東京・山谷に拠点を移し、ストリップ劇場などにも上がりつつ稼ぎまくる（もちろん歌うだけ）。ヤクザに脅されたりしながらも、活動を芸能界に移し、芸名を「こまどり姉妹」に決定（一般公募し、候補には「ザ・おにぎり」なんてのもあったそうな）。順調にキャリアを積むも、姉のストーカーが間違って妹を刺すという事件が発生。その後、税理士の横領による税金の滞納問題が発覚し、借金まみれに。そして、妹が末期ガンと告知された年には母親と父親が相次いで死去し、さらに借金まみれに…。そんな中、姉は未婚の母に…。って、どうです？ イヤになるほど濃い人生じゃないですか？
まぁ、おじいちゃんやおばあちゃんの人生の話って、聞いてみると意外と面白かったりするじゃないですか。「ええ!? じいちゃん、戦争で人殺してたのかよ！」的な驚きがあったりとか。ただ、ちょっとボケているから同じことを何回も話したりとか、よく聞き取れなかったりとかして、イライラしたりもしますよね。でも、この映画は話術が達者な芸人のかなりハードな人生話を歌や昭和の映像を交えて見事に編集しているワケで、面白くないワケがないんですよ。上映時間が１時間程度と短いのも、スッキリしていて良かったなぁ。
特にこまどり姉妹は“女・綾小路きみまろ”という感じで、非常に話術が達者なのが良いんですよね～。「ヒロポン」とか「ヤクザ」とか、最近は自重されそうな単語がポンポン飛び出すのも素晴らしい。ぜひプロインタビュアーの吉田豪さんにインタビューしてほしいなぁと思ったりもしました（もう映画内でかなり語っているので、意味はないかもしれませんが）。
ちなみに劇場はかなり埋まっていました。モーニングショー限定というのもあるんでしょうが、封切りして1カ月近く経っているのに、こんなにお客さんがいるのはスゴいんじゃないかと。老人が多いかと思っていたら、普通の若者も結構いました。「なんか酒くさいな～」と思ったら、後ろに座っていたオッサンがワンカップを飲んでいたんですが、映画の最後に「ソーラン渡り鳥」が流れたとき、そのオッサンが嗚咽を漏らしながら号泣。僕もついもらい泣きしちゃいました。それまで劇中では歌を最後まで聴かせないんですが（途中で終わったりする）、この“最もヒットして最も知られている曲”を映画の最後にフルで聴かせるという構成は、ベタかもしれないけど、本当に素晴らしいと思いました。そりゃオッサンも号泣するよ…。片岡英子監督はこまどり姉妹という“スゴいけど微妙な素材”をよくぞここまでポップに、しかも感動的に見せたなぁと感心しました。
とにかくこの映画を観たら、こまどり姉妹を好きになるのは間違いないと思います。そして、かなりラーメンが食べたくなると思います（狂ったようにラーメンにコショウをかけたり、ラーメンを交換して食べたりするシーンが最高に愛らしい）。テアトル新宿では11月27日で上映が終わるようですが、好評につき他の劇場でも引き続き公開されるとか。時間に余裕がある人はぜひ観に行ってくださいな。
映画を観終わるとかなりほしくなる一枚。
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片岡英子監督はこんな映画を撮っていたんですね。面白そうですが、未見なんですよね…。
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