桜咲く桜咲く




青空広がる休日
京介と大輔は
通りに咲く櫻の木を見つけた。








「早いですね・・・もう櫻ですか?」






「あぁ~ここ最近の温かさで
いつもより早く咲いたのだろう~」






「綺麗・・・・」




大輔は、想い人の
見上げる横顔の美しさを
かつて出会ったあの頃に重ねた。









儚げな印象と
瞳に宿る
京介の奥底に隠された何かに
大輔は、惹かれた。









時折あの出会いを思い起こし
甘やかな痛みを心に感じた。








当たり前のように
自分の隣に居る京介・・・







もし、あの時出会わなかったら
あの離れで
一人孤独の中で暮らしていたのだろうか・・








大輔は
堪らず京介の手を握った。









「だいすけさん?」






その微笑みは
大輔の心を
優しさと温かさで包み込んだ。








大輔に至極の幸せを与える
京介の手を
思わず力強く握った。








その時、
櫻の木の下で
学生服姿の男子生徒と
すれ違った。







じっと見つめる大輔に




「だいすけさん?あの子・・・知り合いですか?」







「あ、いや、・・・京介さんの学生服姿が見たかったと思って・・」




「僕ですか?」






「学校に行っていたんでしょ?」





「・・・・・・はい、一応」





「話、聞かせてくれないか?」






「だいすけさん・・何も面白いことはないですよ」






「いや、興味がある。
京介さんは、どこの学校に通っていたんだ?」






「・・・・・里の隣町の高等学校に・・・」





「へぇ~遠かったんだね」




「・・はい、いろいろあって佐伯さんの車で・・・・」






「いろいろ?・・・
・・あの詰襟の学生服着て?」




「はい、そうです」




「なんだか浮かばない・・・」





「あ・・・フミさんに、似合わなかったって言われました」






「ぷぷ・・・そうなんだ・・」









京介は
あの頃を振り返った。







母薫子の結婚で
大きな屋敷の息子として
受け入れられた京介に待っていたのは
今までとは、違いすぎる環境だった。







戸惑うほどの広さの屋敷に
綺麗に整地された庭園は
母と二人で質素に暮らしてきた京介を驚かせた。









母と庭を歩くことが日課になっていた京介は
まだ
全てのものに色を感じていた。







「だいすけさん~僕は、あの屋敷のお庭を
母と歩くのがとても好きだったんですよ」











「京介さん・・・・」







大輔が初めて出会った時、
既に京介は
離れでひっそりと生活していた。








色彩を失くした世界で暮らす京介に
どれだけの変化をもたらしたのか
想像するに難くない。






今まで知り得なかった
京介の過去の話は
大輔にとって興味深いものだった。








愛する者が
出会う前の彩りの時を
どう過ごしてきたのか、
楽しい想い出に包まれていたのだろか・・・







「そうそう~学校の話でしたね~
僕は、すぐ義父の薦めで
高等学校に通わせてもらいました」






「京介さんは、学校が好きだった?」







「・・・どうでしょう・・・
学校生活は、やはり普通ではなかったと思います」







「?普通じゃない?」







「義父の力がその学校に及んでいて
僕は、自由とは違った空間で
勉学に励むことになりました」








大輔には想像も出来ない話に
心の高揚を抑えられなかった。






「それから?どんなことがあったの」






「だいすけさん・・・だから、大した話はありませんよ」







「いや、ぜひ聞きたい~京介さんの事は
なんでも知りたい」




「もう~だいすけさん・・・・」






大輔は、京介の手を引き
家路を急いだ・・・





つづく・・・



桜咲く桜咲く桜咲く



 
おまけ

「京介さん~それで?」
「う・・・・ん、だいすけさん・・・」
「それから?」
「また、今度・・・・すーすー」




皆さま~こんにちは~

ぺこ <(_ _)>

今日は、単発で京介の学生の頃の話を、一話完結で書こうと思ったのに
あぁ~やはり続くになってしまった。
それも見切り発車・・・(≡д≡) ガーン

いつもお世話になっている笠井さんの一枚のイラストから考えた話で
これからどこかに挿し込まれます。
乞うご期待~

その一枚で妄想膨らませたお話です。

京介の母親がまだ健在の時の話です。
彩り豊かな庭園を、親子で良く歩いていたのを
内藤たち庭師は、微笑ましく見つめていました。

どこから歯車が狂ったのか・・・・
それは、また「大正ロマン」を読んで復習してね~( ゚ω^ )b

豆丸の話が・・・(;´▽`A``
ちょっとお待ちを・・・・

アメンバーさんは、基本コメントやメッセージでの自己紹介がなければ
承認しないことになってます。
どうかそこら辺ご理解のほどよろしくお願いします。

今日から二月~春近し・・・
されど、五十肩の左肩に激痛走る・・・
温かくなって欲しい~そうすれば、この痛みも取れるでしょう~
青空と真っ白な銀世界~でも、家の中には、いろいろな植物が生い茂り
外の景色を忘れさせてくれます。

緑や花っていいね~


では、皆さま、インフルの猛威に負けず
インフルに罹った人は、安静にして治してね~

今日も一日素敵にお過ごしくださいね~


マタネッ(*^-゜)/~Bye♪