『砂漠でサーモン・フィッシング』観てきちゃいました-4(昨年だけど) | 道誉!DOHYO!

『砂漠でサーモン・フィッシング』観てきちゃいました-4(昨年だけど)

また,巨星墜つ。


伝統文化に関わる者としては,


こうも続けて訃報を聞くのは堪えられません。


私が「いけばな」において道しるべととして何度も読んでいる本は,


華道関係でもなく茶道関係でもなく,


「風姿花伝」を中心とした


世阿弥の残した著作物なんです。


数々の伝統芸能が,その本質を忘れ形骸化し,


ただ昔の形を守ることが伝統だと勘違いしている現在,


未だにそのエンターテイメント性を重視して


伝統を守りつつも新しい挑戦をし続けている歌舞伎こそ,


伝統芸能の本来あるべき姿だと思います。


んなワケで,本題イキます。


この映画に出てくる女性は,基本的に肉食系のみ。


その中でもNo.1が,英国首相広報担当官。


キャリアウーマンとは,彼女のことだと言わんばかりの,


出世とキャリアに関係ないことにはあからさまに興味を示さない,


嫌味な女性。


きっと楽しんで演じてるんだろうなって感じでイキイキ度MAX。

任務を全うすること=英国首相の好感度UPからの,


集票へなれば何でもアリ。


で,その対象の首相がまた,絵に描いたような,


票の為なら出来ない釣りも趣味のうちという,オイオイな政治家。


この首相のやり取りが,今流行のLINEライクなメッセンジャーでのみ


描かれてるんですが,これが強烈な政治風刺となっていて,


とにかく笑える笑える。


映画でメールといえば


トム・ハンクスとメグ・ ライアンの『ユー・ガット・メール』ですが,


メッセンジャー系なら,これかも。


アクセントしての使い方はピカイチ。


ジョーンズ博士の奥様も,


家庭よりキャリアアップを目指すバリバリ系だし,


ジョーンズ博士とラブストーリーを展開する


ハリエット(投資会社コンサルタント)も弱い面も見せますが,


メッチャ有能。


どいつもこいつも,ホント,つえーなあ。


逆に,男はイエメンの大富豪を除くと,


中間管理職的な位置にいるだけに,


みんなさえないこと,この上なし。


あ,一人だけ,カッコいいのがいました。


ハリエットの恋人が軍人で,


彼の存在でアフガン情勢をちょこっと描いてて,


これも後に,政治風刺なシーンへと繋がってたりします。


それとアクションはゼロじゃないです。


必殺仕事人的な,シーンもあったりして,


これもまた笑える部分ではあるんですが・・・。


似たようなシーンが,確か『花のお江戸の釣りバカ日誌』でもあったはず。

さて,この映画のストーリーの中心でもあり,


テーマとも密接に繋がっている「イエメンで鮭を釣る」という


オファーを出す,イエメンの大富豪。


英国内にある自分の敷地で,ジョーンズ博士と一緒に釣りをするんです。


これ,敷地内にサケがいる清流,流れてるってことですから。


だったら,わざわざ砂漠で鮭釣らなくてもいいじゃん?


それに砂漠じゃ,ダムないと鮭釣る川を確保できないじゃん?


とジョーンズ博士が言ったら,何と既にダムを作ってるんです。


この大富豪の目指すとこは,


サーモンを釣ることではなく,もっと先にあったワケです。


それは「Play(遊び)」ではなく,「Pray(祈り)」。


砂漠の民の持つ,水への切実なる思いであり,


それを欲する祈りだったんです。


実は,以前いけばなの歴史編で


この「Play」と「Pray」という言葉を同時に使ってるんです。


いけばなの場合は,この二つは同一の数直線上にあるのではなく,


「Play(貴族の遊び)」と「Pray(宗教の供花)」がDNAのように


螺旋状に絡まり発展していいくんですが,


この映画では「Play」の延長線上に「Pray」があった。


そして計画は,また別の信仰上の理由から,


反対派の抵抗もあって,


ハリウッド的なハッピーエンドにはなりません。


反対派の言い分は,ダムや川を作ることは,


神への冒涜であると。


これも,また一理あるなと。


大富豪も,反対派の考えを否定してないんです。


時間をかけて,説得していこうと。


人間が便利さを追い求め,自然を無視して地球に手を加えていくことは,


どこまで許されるのか?


特にダムについては,民主党が政権を取った時に問題になったんで,


覚えている方も多いかと思います。


そういった意味では,単純なハッピーエンドにしなかったことは


私はアリだなと。


もちろん,映画的カタルシスもちゃんと最後にあります。


魚が水面からジャンプすることを「ライズ」と言います。


映画のラストの方で,これが象徴的に描かれています。


これを単純に,「ライズ」から「サンライズ」を


連想させる演出なんでしょうが,


私にはもっと確かな「兆しに」に感じられました。


でも主人公はハートウォーミングな終わり方だったんで,


良かったかなと。


カミさんと一緒に観に行ってたら,


カミさんの服のポケットに手を入れたくなってたかも?


まあ,理想は大島優子ちゃんの服のポケットに,


どうせなら頭入れたいですねえ。


って,何するつもりなんだよ,お前は!


それに,どんだけデッカイ,ポケットなんだよ!


ドラポケかよ!


『砂漠でサーモン・フィッシング』観てきちゃいました-(昨年だけど)完


次回は,


「マヤの予言からの,ビル・ゲイツの方舟,経由-TPP?」


に戻る前に,


新シリーズ「切り花を長持ちさせる方法」の第一弾として,


水分子レベルからアプローチする予定です。