とても贅沢で凄く残酷な・・・ | 落語・ミステリー(もしくは落語ミステリー)・映画・プロレス・野球・草バンド活動のよもやま話、やってます。好きな人だけ寄ってって。

落語・ミステリー(もしくは落語ミステリー)・映画・プロレス・野球・草バンド活動のよもやま話、やってます。好きな人だけ寄ってって。

鎌田善和です。売れてない分時間はありますので、遅まきながらブログ始めました。記事は落語やミステリーが中心ですが、映画・野球・プロレス・草バンド活動(野球でいう草野球の事)もリストアップしておきます。気になる、興味がある、と思う人にだけ伝われば。

 といったわけで、今日僕はお約束通り、11日の”お楽しみ”について書こうと思います。その”お楽しみ”の正体は、西早稲田の家庭料理のお店auntさんで19時半から開催された”第38回 正太郎の部屋”なんです。では、なぜそれが、表題にしたくなるほど”とても贅沢”であり、”凄く残酷”だったのか。それは、この日のお客さんの”入り”にありました。
 少し話は飛躍しますが、僕が”六本木伊~菜亭”の雇われママ的な席亭を仰せつかって実感したのは、「お客さんは、”演者さんと場所と”の両方の条件を満たして、初めて付くモノだ」ということでした。特に”ある演者さんのご常連のお客さん”というのは、ご自分が慣れておられる、いわば”フランチャイズ”=”ホーム”に参加されがちです。もちろん、場所はどこでも「その演者さんがおやりになる会場は全てフランチャイズだ」として楽しまれる方もいらっしゃいますが。六本木伊~菜亭を例に挙げれば、そこは”六本木”であり”イタリアンレストラン”であるという条件からか、多くの「生の落語は初体験、もしくはそれに近い」というお客様が興味を持ってお出で下さいます。他方、この会の後援母体である”日本火消し保存会”が、「これからの落語界や寄席の世界を背負って立つべき人材を応援したい」というコンセプトを持っていますから、僕は席亭として、その両方の想いを理解した上で、『有望な若手の二ツ目さんが少しでも場数を踏む(経験を重ねる)お役に立てれば』ということと『初めて、もしくはそれに近いお客様が「うわぁ~、落語ってこんなに面白いんだ」と感じて下さるように(何事であっても、初体験というのは嫌でも印象に残る、とても大切なものですからね)』ということとを肝に銘じて、会を開いているつもりです。手前味噌になりますが、お蔭様で、「六本木伊~菜亭は楽しい」と、打ち上げまで込みでのこの会の御常連になって下さった方もいらっしゃるのですが、それも、「ご出演下さる二ツ目さんの高座が面白くて」かつ「打ち上げでの、シェフお任せの料理が美味しい」という2つの条件が満たされているからだと自負しています。でも、正直に言って、僕が目指したそれには、実はお手本があるんです。それが、このauntさんでの『正太郎の部屋』なんです。もちろん『正太郎の部屋』は”あくまで正太郎さんありき”の会ですから、毎回ご出演戴く演者さんが変わる伊~菜亭とは根本的には違うんですが、それでも僕にとって伊~菜亭は、正太郎さんにご出演戴く回は『六本木での正太郎の部屋』ですし、小太郎さんの時は『小太郎の部屋』、柳若さんの時は『柳若の部屋』、ぴっかり☆さんの時は『ぴっかり☆の部屋』なんです。そしてそれは、これからご出演戴く二ツ目さんすべてに言えることなんです。また、auntさんの、早稲田大学と高田馬場駅とのほぼ中間という立地条件も小屋の広さも、伊~菜亭のそれらによく似ているような気がしていました。だから、僕が伊~菜亭で常に心掛けているのは、auntさんの温かさやおもてなしの心に近い雰囲気作りをしようということです。それが伝わればこその”演者さんの熱演”であり、”お客さんの高揚感”であると考えたからです。
 で、この日の『正太郎の部屋』なんですが、これが、どうやら38回目にして初めての不入りだったようです。たしかに客数が11という、到底考えられない数字でした。お客という立場に立てば、いつもギュウギュウのお客さんの中で聴いている正太郎さんの高座をゆったりとほどよく、しかも、ちゃんとお客さんがいるライブで聴けるんですからね、こんな贅沢はありません。ところがお客さんを迎える立場として考えると(最近、こういうイヤラシイ感覚に囚われてしまいます)、これは残酷です。だって、来場者数が減少した原因も意味も分からないんですからね。ここの演者さんは常に正太郎さんですから、”演者さんの熱演”はほぼ一定ですし、auntさんにも、例えば経営者が変わったなどはありませんので、”温かさやおもてなしの心”に何の変化もない。目立った要因として考えられるとすれば、前々日に始まった天候不良くらいのものです。盤石だと思えた『正太郎の部屋』の集客にさえ、「世の中に”当然”なんてのはないんだ」という事実が突き付けられるんですからね。雇われママとはいえ席亭を仰せつかっている者にとっては、この日のそれは衝撃でした。
 ということで、今日は”落語を楽しむ者”としての記事にはなりませんでした。次回は気を取り直して、一人の観客としてこの日過ごした贅沢な時間をご報告しようと思っておりますが、実は今週の僕、予定がグチャグチャです。明日はまた朝一番から横浜にいますし、明後日も比較的早い時間に野暮用が入っています。そんな訳で、申し訳ありませんが、これから1週間ほどは、ブログの更新が不定期・不規則になりそうです。その辺りをお含み置きいただいた上で、覗きに来て戴けたら幸いです。では、また。