6月2日(土)開催の岡南臨時将棋教室で行われた「ついたて将棋」を紹介しています。「ついたて将棋」とは余興将棋の1つで、お互いに相手の駒が見えない将棋です。今回はケンジ君対Tパパ君の対戦です。
ケンジ君は昨年の岡南文化祭で「ついたて将棋」を体験済みで、結構上手だった記憶があります。一方のTパパはこの対局が「ついたて将棋」初体験です。
平成24年6月2日(土)、「ついたて将棋」
先手:ケンジ君
後手:Tパパ
○初手からの指し手:▲7六歩、▽8四歩、▲2六歩、▽8五歩、▲2五歩、▽7二銀、▲2四歩、▽6四歩、▲2三歩成(図1)
(図1 ▲2三歩成まで)
相居飛車の戦形から先手のケンジ君がいち早く「と金」を作ってしまいました。「ついたて将棋」初体験のTパパは、▽7二銀や▽6四歩という、「ついたて将棋」では不要不急の手がたたり、大きく出遅れてしまいました。「2三」の歩を「ボロッ」と取られた時は、何が何だか分からなかったことと思いますw
○図1以下の指し手:▽8六歩、▲2二と、▽同銀、▲2三歩、▽3一金、▲2二歩成、▽同金、▲2三銀、▽6三銀、▲2二銀成、▽同飛、▲同飛成(図2)
(図2 ▲2二同飛成まで)
後手は気を取り直して▽8六歩と攻め合いを目指しますが、先手は▲2二とで角を取り好調です。そして、▽2二同銀に▲2三歩が「ついたて将棋」での常とう手段。こうやって歩で相手の駒をボロボロ取っていくのがコツです。この辺はケンジ君はさすが経験者でよく分かっている感じです。
▽3一金は悪手です。先手の攻めを受けるなら▽2七歩として根元の飛を外しにいくべきでした。もしくは▽8七歩成として攻め合いに活路を求めるべきでした。
▲2三銀はスゴイ手です。歩があれば▲2三歩と打つところですが、歩切れのため▲2三銀と打って攻撃を続けます。対する▽6三銀は飛の横利きを通した受けの手ですが、▲2二銀成、▽同飛、▲同飛成となって見事に清算されてしまいました。
○図2以下の指し手:▽4二銀、▲1一龍、▽3四歩、▲2一龍、▽5二玉、▲3二飛、▽6二金、▲4二金(反則1)、▲3一飛成、▽5四歩、▲3三桂、▽7四歩、▲4一桂成、▽7三桂、▲5一成桂(図3)
(図3 ▲5一成桂まで)
苦しい後手は▽4二銀と守り駒を投入しました。これはやむを得ない一手です。しかし、▲1一竜の次の▽3四歩は攻めにも守りにもなっておらず、一手パスに等しい手です。攻めるか守るかむずかしいところですが、貴重な一手をせめて▽8七歩成とするか、▽6五歩と突いて玉の上部脱出を図るかしたいところでした。
ケンジ君の方は2枚竜をつくり磐石の体制をつくりました。そして▲3三桂が上手い手で、▲4一桂成から成桂をつくって攻める狙いです。終盤は大駒だけの攻めよりも、大駒と小駒を協力させて攻める方がだいたい上手くいくものです。
▲5一成桂で王手がかかりました。後手はこれがどういう王手なのかを推理しながら、どのようにかわしたら良いのかを考えなければなりません。
○図3以下の指し手:▽5一同銀、▲同龍(最終図)まで先手の勝ち
(最終図 ▲5一同竜まで)
後手の指し手は▽5一同銀でした。「5一」の地点からの王手であることを見事一発で当てたのですが、運悪くこれが最悪の選択となってしまい、▲5一同竜で詰んでしまいました。
後手は「8六」の歩をとうとう「と金」にすることができず、無念の一局となりました。ケンジ君の見事な指し回しが光った一局でした。