今回は少しお話が古くなって10代の頃のことから始まります。



10代後半はキャバ嬢として働いていた私ですが、ソープ嬢になる前よりもお金使いは荒く、男性関係も多かったんです。



その頃付き合っていた近くのお店のマネージャー、彼は私より一回り年上で水商売歴が長く一見いい加減な人でした。



私が働いていたお店の女の子達は、その彼のお店の男性と付き合っている子が多くて、私も何人からか聞いてその関係を知っていました。


でもあまり周りには話さないですよね、商売がかかっているわけですし、噂になったらお互いに困るんですから。


そんな関係を私は彼にはどんどん話していたんです。



いま思えば、いくら付き合っている男性だとはいえ軽率でした。




彼は毎回黙って聞いていたんですが、ある日私に言い聞かせるように話し始めたんです。



彼「水商売ってのはさ、お客さんの内緒にしたいことまでお酒の席で耳にしてしまうことも多いよね?それをぺらぺら話してしまうようじゃ、水商売なんかできないんだよ。」



ユキ「でもお客さんに話しているわけじゃないんだし…。」



彼「誰に対しても話さないほうがいいよ、相手は信用して話しているんだから。とにかく水商売をするなら口は堅くないといけないよ。」






こんなふうに言われて、それ以来ずっと私の頭の中に残っている言葉です。







ソープに入ってすぐ、これと同じような言葉を尊敬するお姐さんの口から聞きました。



言われたのは私ではなく、他の嬢です。




ソープ歴の長いサオリさん、彼女もキャバクラからの転職組で、新宿のキャバ嬢だったそうです。



彼女は自分のお客さんの話を全て控室で話してしまう嬢でした。



お客さんの性癖から住所、名刺で知った会社までペラペラ話していたんです。



なので他の嬢がサオリさんの常連のお客さんにつくと、すぐに『ああ、この人の話も聞いたな』ってわかるほどでした。



マズイことにサオリさんのいちばんの常連さんに新人のマヤちゃんがついてしまったんです。



彼女は年が若くちょっと変わった子、言って良いことと悪いことの区別がつかないようなところがありました。



マヤちゃんは、たまたまついたサオリさんの常連さんに、サオリさんが控室で話している内容を伝えてしまったんです。



自分の性癖や会社名を控室で笑われていると知ったお客さんは、もう二度とお店に来ることはなかったようです。



マヤちゃんのすごいところは、お客さんに話した内容を控室でわざわざサオリさんに話したことです(笑)




そこで揉め事が発生したんですが、たまたまレイカさんが接客を終えて控室にやってきて言ったんです。




レイカ「そんなのどっちもどっちだよ。控室でお客さんを笑いものにするサオリちゃんも悪いし、それを聞いたお客さんがどんな気持ちになるか考えないマヤちゃんも悪い。」



サオリ「でも、皆も愚痴ってるし…。」



レイカ「愚痴は仕方ないかもしれないけど、お客さんの名前や住所まで話すのはやりすぎでしょ。お客さんに聞いて知ったことは自分が信用されたと思って、ありがたく自分の胸にしまっときなさいよ。口が軽い子はこの商売勤まらないよ。」



そのとき、10代の頃に聞いたことを思い出しました。



こういうことになるんですね、私はあのとき注意してもらえて良かったんです。


もしかしたらサオリさんやマヤちゃんの姿は、私の姿だったかもしれないわけです。




残念ながらその彼とは酷い別れ方をしてしまいましたが、この言葉だけは本当に感謝です。



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