積極的にネガティブになる | カケラバンクオフィシャルブログ「先の見えないこの時代で」Powered by Ameba

積極的にネガティブになる

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ここ数年を振り返ると、

全然映画を見てない事に気付き、  

この一週間10本DVDを借りて来て見てた。

 
一応新作・準新作もチェックしようと、  

レンタルランキング上位として、

展示してあったものも数本借りた。

 
その中でも、  

「ジュラシックワールド」が、

印象に残った。

 
いや、  


心にひっかかった。  


見終わった後の、  

シックリ来ない感じが、

気持ち悪かった。  
   

中学生の時一作目の、 

「ジュラシックパーク」を映画館に、 

友達と見に行ったぐらい、

このシリーズは好きだった。

   

のに何かがシックリ来なかった。

 
エンドロールが流れる中、  

その原因をちょっと考えてみた。

   

そして思ったのは、  

シンプルな登場人物のキャラ設定に、  

僕は冷めたんじゃないかって事だった。

 
去年見た、  

「君の名は」でも感じたけど、

キャラクターが現実離れして、  

偏ったシンプルな設定だと、

そこに人間臭さがなくなって、

感情移入しにくくなって「気持ち悪く」なるんだと気付いた。  
 

学生の頃は経験も少なく、

分かり易くて単純な映画で、  

スッキリして満足してたけど、

この歳になると人間の複雑な葛藤や、

ジレンマがないと物足りなくなってる。

 

カタルシス(情緒の解放)が出来なくなってる。

    

「ジュラシックワールド」は、

娯楽映画で使い古されてるような、  


自己中なマッチョな軍人の男と、

資本主義かぶれのキャリアウーマンと、  


対称的に周りの人や、  

恐竜の事を大事にする、

人情味あふれるワイルドな男が軸となる。  


そしてよくあるように、  
 

マッチョは殺され、

ワイルドな男は生き残り、

優しくてたくましいその男に、  

キャリアウーマンは段々惹かれて行く。


それを取り囲む子どもたちも頼りにしていく。  


さわやかだった。  


そんな「ポジティブ」な物語に、

道徳的な問題はない。  


けどワイルドな男の、  

したたかさや欲望を削った結果、

その主人公の男に、  

最後まで僕は感情移入できなかった。


その反面、

ひろむから勧められた日本映画、  


「ふがいない僕は空を見た」と、

「そこのみにて光輝く」は、 


途中で見るのをやめたくなるぐらい、  

人間のえぐさや苦悩や生々しさが描写されていた。  


「ネガティブ」な日本の貧困に、  

ほぼ救いなんてない中で、

最後の最後にかすかな光が注ぐ。  


そのシーンに涙がにじんだ。  


決して大笑いも号泣もしないけど、

 

うっすら目に涙が浮かんだ。

 
どちらが良くてどとらが悪い、  

なんてもちろんなくて、

元々作り手の目的が、  

違うだけなんだと思う。  


大衆向けの作品は、  

どれだけ観客が現実逃避出来るかが基準で、  


芸術性を求める作品は、  

どれだけ観客に現実を直視させられるかが基準なんだと思う。

 

心理学者「フロイト」によると、


「受け入れられない考えや、  

感情や記憶を否定し忘れる為に、

無意識下に抑圧する」事を、  


「防衛機制」と呼び、

 
自我を守る為には、

適度な抑圧はちろん必要だけど、

 それが強すぎると神経症になると言った。  


ちまたに溢れる、

「ポジティブ」という言葉や、  

「ジュラシックワールド」の、  

汚い部分をそぎ落としたキャラに、

僕が気持ち悪さを感じるのは、  

現実を抑圧しすぎてるからだと思った。


今の僕は歳を重ねた事で、  

色んな責任や問題が次から次へと出て来るけれど、

子どもみたいに全部から逃げる訳にはいかない。  


だから娯楽映画よりも、

今自分が何を守ろうとして、  

何を無意識下に抑圧しようとしてるかに気付き、
そっと感情を解放してあげられる、  

ミニシアターでやってるような作品を僕は今欲しがってるんだと思う。

    

今年は、


積極的に「ネガティブ」になる為の作品を見つけて行きたい。


そっちの方が「本当のポジティブ」だと思うから。


※上記写真:伊藤弘(2017年カレンダー )

 
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【結成10周年記念大ワンマンライブ】

 

「十字路」


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京都編

~カケラバンクの生まれた場所から~

[日時]4月23日(日)

 OPEN 17:30/START 18:00

[場所]京都・三条・和音堂

[料金]3000円(ワンドリンク代別)


東京編

~活動休止前ラストライブの場所で再び~

[日時]4月30日(日)

 OPEN 17:00/START 18:00

[場所]東京・吉祥寺・スターパインズカフェ

[料金]3300円(ワンドリンク代別)


愛知編

~初めての名古屋ワンマン~

[日時]5月14日(日)

 OPEN 18:30/START 19:00

[場所]愛知・名古屋・Perch

[料金]3000円(ワンドリンク代別)


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