ヴァン・ショーをあなたに | 本との出会いは、師との出会い。

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智慧は、先生から指導されて身につけるものではなく、自ら学ぶものです。ですから、先生が本であっても、生徒の意欲が高ければ、学習の成果が期待できます。書店には、素晴らしい先生方が、時代を超えて、いつでも待っています。

ヴァン・ショーをあなたに (創元クライム・クラブ)/東京創元社

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ついに三舟シェフがフランスで修行していた頃の秘密が明かされる?

 17日かけて、宮部みゆきさんの『ソロモンの偽証』というフルコースを堪能した私が、デセールに選んだのは、近藤史恵さんの『タルト・タタンの夢』で、三舟シェフが、心身共に疲れた人に差し出す『ヴァン・ショーをあなたに』でした。難解な『ソロモンの偽証』に対し、とても分かりやすい『ヴァン・ショーをあなたに』ですけれども、決して物足らないわけではありません。「天空の泉」に出てくる「トリュフ以外はなんにもはいっていないただのオムレツ」のように、それなのに、こんなにおいしく、作り方を教えてもらって何度作ったとしても、この味にはならない味なのです。

近藤史恵さんの文章は、とても読みやすい。何故、読みやすいのかは、明確に言えないけれども、表現が平易なのだろう。徐々に明かされる三舟シェフがフランスで修行していた頃のエピソード。彼の料理や味についての知識が、事件の真相や謎を解き明かして行く。美味しいだけでなく、栄養も満点な作品でした。

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