演じられた白い夜 | 本との出会いは、師との出会い。

本との出会いは、師との出会い。

智慧は、先生から指導されて身につけるものではなく、自ら学ぶものです。ですから、先生が本であっても、生徒の意欲が高ければ、学習の成果が期待できます。書店には、素晴らしい先生方が、時代を超えて、いつでも待っています。

演じられた白い夜 (実業之日本社文庫)/実業之日本社




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近藤史恵さんご自身が、10年ぶりの再販(文庫化)に当たり「今読めば稚拙なところがたくさんあるけれど」と仰っている。チャレンジ精神は素晴らしいと思うが、特殊な構成が面白さに繋がっていないのが惜しい。



 麻子は、劇団の主宰者で彼女の夫であり演出家の神内匠に呼ばれ、雪深い山荘へやってきた。山荘には神内によって、初対面である6人の俳優らが集められていた。 神内の新作は本格推理劇で、演じる側にも犯人がわからないよう稽古が行われていく。台本が進行するにつれ、麻子を含む女優たちに疑心が兆し、それは恐るべき事件の形を取って表れた。作中劇の中に隠された真相は―。



 台本は、インターネットで知り合った若者達がオフ会のために島に渡るという話だった。稽古の合宿は雪崩で、台本の方は迎えの船が現れないというドラブルで孤立した中で殺人事件が起こるという所謂クローズドサークルである。合宿の様子と彼らが演じる台本を交互に描写しながら進むという特殊な構成で、頭の中がこんがらがるのを防ぐために、役者と役との関係とを栞にメモしながら読み進める。犯人と動機の双方が最後まで明かされず、画期的な試みが面白さに繋がっていないのが惜しかった。



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