映画「フラワーショウ!」 平成28年7月2日公開 ★☆☆☆☆

 

 

 

アイルランドの田舎町出身のメアリー(エマ・グリーンウェル)は、有名なガーデンデザイナーのシャーロットの助手になる。

彼女は自分がデザインした庭で世界を変えることを夢見ていたが、シャーロットにデザインノート奪われた上に、解雇されてしまう。

その後メアリーは、ダメもとで「チェルシー・フラワーショー」に参加する。  (シネマ・トゥデイ)

 

メアリー・レイノルズというのはまだ40歳くらいの実在のランドスケープデザイナーです。

華やかなバラとかでいっぱいの英国風庭園がほとんどのチェルシーフラワーショウで、雑草を植えて優勝しちゃったというすごい人。

 

ストーンサークルは妖精の地と信じてるようなアイルランドの田舎生まれの彼女は、自然のなかで遊んだりスケッチするのが好きな子で

大人になってからも、自然と人間の調和と一体をテーマにした庭のデザインを考えたりしているうちに

ダブリンに出て、ガーデンデザイン界の大物のシャーロットに弟子入りするものの、「お試し採用」ということで散々こき使われた上に

書きためたデザインノートを奪われてお払い箱。

シャーロット盗んだメアリーのデザインで大儲けしてるのをみてショックを受けます。

 

どん底のメアリーは、イギリスで最も権威あるチェルシーのフラワーショウで金メダルを獲ることを思いつき

事務局に電話するも、ウチは立派な経歴の熟練者のコンクールだと、けんもほろろの対応で願書ももらえず。

受付の女性マリーゴールドがアレルギー体質でくしゃみしているのを知って、良く効くハーブを送ってあげて

それが良く効いたものだから特別扱いしてもらって、ギリギリ応募に間に合います。

「25万ポンドの出資者」という条件も、適当に書いたら、なんとスルーして、2000人から8人のエントリーという狭き門をクリアします。

 

出品が決まったものの、家賃が払えないほど困窮しているメアリーがどうやってお金を集め、スタッフを集め

フラワーショウに間に合わせることができるのか?って話なんですが

唯一の協力者の植物学者のクリスティー(トム・ヒューズ)はガチな自然保護主義者だから、そもそも「うぬぼれた品評会」なんて興味なくて

さっさと井戸をほるためにエチオピアに行ってしまいます。

 

クリスティが諦めきれないメアリーは、なんと(すべての作業をストップして)エチオピアまでクリスティーを追いかけ

説得して連れ戻すんですけど、この辺は完璧「恋する女」の話でして、どう考えても

クリスティ>チェルシー なんですけど・・・・

 

ラジオに出演して支援を募ったり、ヒッピーみたいな造園業者のおじちゃんたちが手伝ってくれて、審査当日を迎えます・・・・

 

途中からあんまりつまらなくて、ほとんど画面をみてなかったけど、まあ、こんな話です。

 

よりにもよって由緒正しいチェルシーのフラワーショウに、雑草とサンザシと石の庭を作って金メダル!というのは

たしかにインパクトありますけど、それは、8人に絞った中にこれを入れた審査員の懐の深さじゃないの?って思いましたが・・・

(そもそも紅葉や苔玉なんかでも金メダルとってるみたいだから、意外と度量が広いんですね)

自分たちの選んだノミネート作があんまりにも酷かったら、それは協会の責任にもなるでしょうし、

普通に考えたら、彼らが妨害するようなことはしないと思うんですが、

「強度計算ができてないなら失格だ」とか、この期に及んでいうか?って思いましたが、

映画の中ではメアリーの仲間たちと、支援者以外は「すべて抵抗勢力」って単純な描き方が気になりました。

 

なかでも最初に出てきたセレブ園芸家のシャーロットは、メアリーのことを散々バカにしたうえに、彼女のスケッチブックを

自分が書いたものとしてみんなに見せびらかすんですが、そんなのあり??

「メアリーのスケッチにインスパイアされる」程度ならあると思うけど、そこまでやったら裁判おこされるでしょ!

実話なんだから、彼女にもモデルがいたはずで、これも名誉棄損になりそうです。

 

審査の直前に、池の中に漂白剤を「スプーン2杯」いれるところを、メアリーがまちがえて

「ボトル2本」(多分4リットルくらい)いれて泡立ってしまって焦る場面があったんですが、ひどい!ひどすぎる!

実話でもフィクションでもどちらだとしてもあんまりです。

こんな常識はずれが自然を語るな!と思ってしまいました。

 

クリスティの「庭なんかつくるよりアフリカの砂漠の緑化が先」というほうがよっぽど説得力あります。

彼の信望する「カオリという日本女性」も実在の人で、新妻香織さんといいます。(前に本をよんだことがあります)

彼女は「フー太郎の森基金」という緑化プロジェクトを主宰している女性で、彼女のサイトには

本物のメアリーとクリスティも登場していました。

 

 

 

 

 

映画では(見た目で言うと)超イケメンのトム・ヒューズとその追っかけ女という感じだけど、本物はけっこうお似合いですね~

 

この映画、恵比寿ガーデンシネマの予告編で観た時は、面白そうだと思ったんですけどね。

私はアイルランドの歌姫エンヤが大好きなので、円やうずまきに囲まれたスピリチュアルな空間で癒されたい思いが強くて

どんなランドスケープデザインになるのか楽しみだったんですけど、実際は、庭づくりにかける思いよりも

「一目ぼれしたイケメンの環境保護活動家をゲットした話」という感じで、本当に残念でした。

胸キュンラブストリーとしても、ヒロインがあんまり可愛くもないからなぁ・・・・・