映画「コンカッション」 平成28年10月29日公開 ★★☆☆☆

原作本「コンカッション」 ジーン・マリー・ラスカス 小学館文庫

 

 

医師のベネット・オマル(ウィル・スミス)は、ナイジェリアからアメリカへと渡る。

検死官としても働く彼は、アメリカンフットボールのリーグNFLを引退した元ピッツバーグ・スティーラーズのスター選手、

マイク・ウェブスター(デヴィッド・モース)の変死解剖を担当することに。

その結果、マイクの死が頭部への激しいタックルが原因で引き起こされる脳の病気・慢性外傷性脳症で

あることを突き止め、論文にして発表する。

しかし、NFLはその見解を全面的に否定し……。          (シネマ・トゥデイ)

 

去年のアカデミー賞にアフリカ系俳優がノミネートされなかったことが物議をかもしましたが、

その時に引き合いに出されたのがこの作品で、ゴールデングローブ賞ではウィル・スミスがドラマ部門でノミネートされてました。

日本公開が待たれていたのに結局10月末に公開されたものの、角川新宿でもわずか2週間で打ち切りになってしまいました。

アメリカの巨大組織に立ち向かう話なのでNFLの圧力がかかった」とかだったら面白いんですが・・・

 

3か月遅れで早くもDVDリリースされたのを見ましたが、原因は単に「つまらなかった」からだと分かりました。

 

アメフトのスター選手だったマイク・ウェブスターの脳を司法解剖したオマルは、彼の脳に異常を発見します。

マイクは引退後に奇行を繰り返し、最後はホームレスになって死亡したのですが、

彼は永年にわたる頭部への衝撃が原因で引き起こされる外因性の脳症であると診断するのですが

調べてみると、引退したアメフト選手の多くが記憶喪失や奇行やアルツハイマーや鬱に苦しみ、

それが原因で自殺するものも少なくなかったのです。

これらもトレーニングやプレイ中の脳へのダメージだと結論付けるオマルに、協会は猛反撃。

 

「アメフトが健康に害を及ぼすことは全くない!!」と言い切ってしまうのです。

 

たしかにヘルメットはつけているけれど、あれだけ頭から当たっていたらなにがしの危険がありそうなのは

誰がみたって明らかで、なんでそこまでむきになって否定するのか??

とあきれてしまうのですが、一応ノンフィクションなので、これが事実なんでしょう。

 

それにしてもオマルへの嫌がらせが露骨すぎ。

FBIをつかって恐喝して職を奪ったり、尊敬してる上司を破滅させたり、妻を流産に追い込んだり・・・

どこまで事実なのかわかりませんが、なんかフィクション臭い感じ。

 

「君が白人だったら状況は違っていた」

というせりふが何回かでてくるので、「NFLの巨悪vs監察医の正義」よりも、アメリカ国内の人種差別がメインなのかな?

 

ナイジェリアからやってきてひたむきに努力を重ね、偏見と闘いながら順調にキャリアを重ねてきた黒人医師が

希望の国であるはずのアメリカで、たまたま気づいた疑問をぶつけた相手が悪くて、一斉に攻撃されてしまう・・・

ってわけで、これは作品としてオスカーのどこかに置いておきたいカテゴリーではあるんですが

あんまり共感できないのはなぜ?

と思ったら、多分それはキャスティングのせいですね。

ウィル・スミスはキャラクターものや軽妙な役だと良いんですが、こういう正義感あふれる役ってどうなんでしょ?

あくまでも個人的な感想ですが、息子を連れまわしてごりごりプッシュしてる姿が目に焼き付いていて

(「スーサイドスクワッド」の時もそうでした)なんか自己チューの親ばかにしか見えないんですよね。

だいだい、医者にみえるか??

恋人とのいちゃつきシーンも結構多くて、なんかうんざりなんですけど。

頑張ってる感じのもうちょっと無名のアフリカ系俳優が演じたら、また違う作品になったと思うんですが。

 

ただ、「コンカッション」というそのまんまの邦題には賛成。

「正義のなんとか」とか「何とかの勇気」とか、へんてこな邦題をつけなくて正解だと思います。

CONCUSSION→(脳)震盪という単語もひとつ憶えられたし・・・・