映画「ブラック・ファイル」平成29年1月7日公開 ★★★☆☆
アメリカ屈指の製薬会社の薬害問題を追うチャールズ・エイブラムス(アル・パチーノ)率いる弁護団は、
決定的な証拠を見つけられずにいた。
チャールズの事務所に所属する野心家の弁護士ベン・ケイヒル(ジョシュ・デュアメル)は、
ある女性から製薬会社の秘密の臨床ファイルを手に入れる。しかし、
それを機にベンは人間の欲望に振り回され、思いも寄らぬ状況に追い込まれていき……。(シネマ・トゥデイ)
巨大製薬会社「ピアソン製薬」は、臨床結果の不正操作で大きな薬害を起こしてる疑惑があるものの
マスコミも弁護団も、追及できるだけの決定的な証拠をつかめずにいました。
ベン・ケイヘルはその弁護士事務所のやり手弁護士ですが、ある日、元カノのエミリーからフェイスブックの友だち申請がきます。
実はエミリーはピアソン製薬のCEOアーサー・デニングの愛人で、極秘の改ざんファイルを持っているという。
妻のシャーロット(アリス・イブ)がいる身でありながら、野心家のベンはファイル欲しさにエミリーの誘いに乗るのですが・・・
一週間後、エミリーが失踪し、250万ドルの身代金の請求と共にあざだらけのエミリーの画像がアーサーのもとへ。
受け渡し場所のキャラりーで声をかけた来た男をアーサーはいきなり殴りますが、彼は無関係の美術商。
身代金の受け渡しに失敗して、エミリーは殺害されますが、その遺体をエミリーの公にしていない別宅で発見したのはベンで、
なんとそのあと、遺体がベンの部屋に運ばれます。
ベンは確かにエミリーと密会はしていましたが、殺害には無関係なのに、妻に疑われたり謎の殺し屋に追われたり、散々です。
エミリーの誘拐は自作自演の狂言誘拐だったことは前半で明かされますが、謎の殺し屋の黒幕は誰か?
そしてエミリーを殺したのは誰か?・・・って話です。
268人分の臨床試験データに、認可のためにデータ改ざんした証拠がベンが手に入れたUSBには入ってるわけで
これがマクガフィンとなって、いろんな悪が暴かれる社会派のドラマだと思ってたんですけどね。
ところが「ブラック・ファイル」の中身については、驚いたことに全くスルーでして、
キャラのたった登場人物たちが疑ったり疑われたりしながら、本心を隠して行動して
観客もそれに巻き込まれていく、どちらかというと「心理ドラマ」の様相です。
アーサー・デニング(アンソニー・ホプキンス)巨万の富をもった製薬会社のCEO
ベン・ケイヘル(ジョシュ・デュアメル)・・・野心家の若手弁護士
チャールズ・エイブラムス(アル・パチーノ)・・・社会正義より金もうけ優先の弁護士事務所のボス
エミリー・ハインズ(マリン・アッカーマン) ・・・パトロンからどうしたら金を引き出せるかを考えてる愛人
シャーロット(アリス・イブ)・・・夫ベンを愛し、エミリーを許せない女医
謎の殺し屋(イ・ビョンホン)
登場人物はそれほど多くはないんですが、ゲーム感覚の複雑さです。
最後の最後で一応犯人はわかるんですが、ありきたりでつまんない!
ちなみに私は、シャーロットの流産を経験を伏線にした「別の結末」を想定していたんですが
我ながらこっちのほうがいいと思ったんだけどな。
オススメポイントをあげるとしたら、アンソニー・ホプキンス、アル・パチーノといった大物に翻弄されるジョシュの小ものぶり。
エミリー役の金髪のスウェーデン美女の女優さんはあまり記憶にないのですが、彼女の存在感には圧倒されました。
今後、ブレイクするかも?
「心理戦」としてはよくできているけれど、アクションシーン満載の映画にするよりは、舞台劇でじっくり見たい感じですね。
「ブラック・ファイル」というタイトルもちょっとどうなんだろう・・・・
ちなみに原題はMisconduct(不正行為)です。こっちのほうが絶対正解です。