映画「コードネームU.N.C.L.E」平成27年11月14日公開  ★★★★☆



東西冷戦の最中の1960年代前半。
CIAエージェントのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)とKGBエージェントのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)は
核兵器拡散をたくらむ謎多き国際犯罪組織を制圧するために、長年の政治的対立を超えて手を組むことに。
思考や方法論も真逆の二人は、組織につながる手掛かりである行方をくらました科学者の娘を守り、
核兵器の大量生産を阻止すべく奔走する。             (シネマ・トゥデイ)

DVDで観るまで、ナポレオン・ソロとイリヤ・クリヤキンのリメイクなんて気づきませんでした。
予告編は何度も見たのに、敵同士のアメリカとロシアのスパイが手を組むことになった・・・
としか言ってませんでしたよね。

4年前に「ブラック&ホワイト」と言う映画があって、CIAエージェントのクリスパインとトムハーディが
リース・ウィザースプーンを巡って闘う、みたいな映画があって、そっち系かと思ってました。

これが50年前の「0011ナポレオン・ソロ」
ロバート・ヴォーンのソロにデヴィッド・マッカラムのクリヤキンです。


ポマードかっちりのソロとブロンドさらさらヘアのクリアキン、というのは知ってたけれど
ソロのほうがプレイボーイで、クリアキンがくそ真面目なんて、知りませんでした。
要するに名前は知ってたけれど、「スパイ大作戦」や「ジェームズボンド」と混同していて
私は全然見てなかったんですね。

今回ソロをやるのがヘンリー・カヴィル、クリヤキンがアーミー・ハマー。
アーミー・ハマーは2メートル近い大男なのに、カヴィルは確か「バッドマンvsスーパーマン」のとき
ベンアフレックより少し小さかったから、ポスターのビジュアルはおかしいよなぁ、
とそればかりが気になって・・・・
でも映画の本編でもさほど体格の違いは感じなかったけど、オフショットではやっぱりこんな感じ。☟

やっぱり頭半分くらい違いますよね~

オリジナルのドラマが日本で放映されたのは66年から70年で、冷戦真っ只中だったから
CIAとKGBが手を組むなんてあり得ない話で、だからこそ面白かったんですが、
冷戦を知らない世代が見てどう思うんでしょう?
東ドイツのベルリンの壁なんかもちゃんと映るんですが、「ブリッジ・オブ・スパイ」を観た時のような
身の引き締まるような張り詰めた空気感もなく、「大道具さんが頑張ってセット作りました」って感じでした。

(冷戦時代ではないけれど)「ゲットスマート」とか「キングスマン」とか、携帯電話普及前の
スパイガジェットには、中高年はけっこう興奮しましたが、ここではほとんど登場せず。
スマホ時代の人たちはいらいらするかもしれませんけど、
盗聴器以外にももっとレトロな小道具を出してほしかったな。

ストーリーは単純で、核兵器開発者のテラーがナチス残党の組織に誘拐され、
自前の核兵器を作ろうとしているのを知ったCIAとKGBが手を組んで
それぞれの№1のエージェントを送り込み、テラーの娘ギャビーを使って敵に近づくが、
すでにイギリス軍情報部がそれに気づいていて・・・
というようなもの。

まあ面白かったけれど、なにか映画っぽくないなと思ったら、
Hなシーンと残酷なシーンがまったくなかったのに気づきました。
ソロは女たらしだからストーリー上は出会う美人はもれなく口説くんですが、ベッドシーンは省略だし、
拷問道具がたくさん登場して使う割に、画面には全く写りません、
銃撃も爆破も多いわりに死体すらでてこなくて・・・・
なんか映画館で観るよりは、家族でお茶の間で観る感じですかね。
無駄なエロシーンの多い昨今、むしろこれが良識的かもしれません。

アクションシーン、とくに素手での格闘やカースタントは新鮮で、さすがにガイ・リッチー!
DVDの特典映像のなかで「ごたごたしたケンカ」と監督は何度もいっていましたが、
たしかに、あらかじめ決められた殺陣どうりに立ちまわっているアクションばかりではなかったです。

ヒロイン、ギャビー役のアリシア・ビキャンデルは、「リリーのすべて」でオスカーとりましたけど
クラシカルなドレスがお似合いの北欧女性、と思ってましたが、
ディオールやサンローランの派手なミニドレスもぴったりでした。
こういうアクションもできるなんて、演技の幅の広い女優さんです。

あのベッカムがカメオ出演すると聞いていたんですが、最後までわからず。
ここがDVDの便利なところで、もう一度見直したら、たしかにちょっとだけ出ていました。
当然イギリス海軍中佐のウェーバリーの部下かなんかで出てくるかと思ったら、
なんとKGBの映写技師(?)みたいな役で、一言だけロシア語のセリフもあります。
彼が本人役以外で出るなんて珍しいですよね。