映画「キングスマン」 平成27年9月11日公開 ★★★★★
原作コミック「キングスマン ザ・シークレット・サービス」 マーク・ミラー




ロンドンにある高級スーツ店「キングスマン」は、実はいかなる国の干渉も受けない屈指のエリートスパイ集団だった。
ブリティッシュスーツを小粋に着こなす紳士ハリー(コリン・ファース)もその一人で、
日々極秘任務の遂行に務めていた。
そんなある日、仲間が何者かに暗殺され、彼は街で不良少年エグジーをスカウトする。 (シネマ・トゥデイ)

コリン・ファースのスパイものですからね、「裏切りのサーカス」のような
何重にも貼られた情報網を操る頭脳合戦なんかを予想していたら、外れました。
見た目は高級スーツを着た英国紳士なんですが、一人で何人もの敵をやっつけるアクションもあり
黒幕なんかじゃなくて、コリン自身が実働部隊なのにもびっくり,でした。

1997年中東。
キングスマンのエージェントたちは対象者を確保したものの、
相手が手りゅう弾を爆発させたために一人のエージェントが爆死してしまいます。
ハリーは彼の未亡人の元へいって援助を申しでるが拒否され、そばにいた幼い息子エグジーにメダルを渡し
「困ったときはこの電話番号に電話して「ブローグではなくオックスフォード」と言いなさい」
と言い残します。

17年後、エグジーは学力も身体能力も優れているのに、悪い友達の影響ですっかりグレてしまって
車泥棒して警察につかまってしまします。
そして、なんとこのタイミングであのメダルの番号に電話するのです。

エグジーは速攻で釈放され、ハリーは車の持ち主グループも撃沈してくれますが、
同時に新エージェントの選考テストへの参加を持ちかけられます。

このテストがあまりに難関過ぎ!
勇気や機転を試すあまり、命の危険と隣り合わせの無謀なトライアルなんですが
数多のエリートを差し置いて、見事キングスマン見習いとなるのはエグジーと、ただ一人の女子学生ロキシー。
高級紳士服店「キングスマン」で、最高級スーツやカッコいいスパイガジェットをゲットします。

今のスマホなんて、昔のスパイグッズ数個分の働きをしてしまうから、
最近のスパイ映画ではさらに高度なハイテク機器が登場しますけど、
やっぱり昔ながらの「傘型の武器」や「毒入りの万年筆」や「ライター式手りゅう弾」や
「靴のつま先に仕込まれた毒つきナイフ」なんて古典的はスパイガジェットには興奮しますね。


礼儀も知らない街の不良が、厳しく訓練された結果、
強くて洗練された「(アーサー王の)失われた円卓の騎士のひとり」となるまでを描く成長物語。
主役はコリン・ファース演じるハリーではなく、エグジーのようです。

そして後半は彼らが悪をくじいて結果を出すわけです。

今回の悪役は、サミュエルLジャクソン演じる富豪のバレンタイン。
大体悪役は金ぴかか黒づくめなんですが、彼はキャップをかぶったストリートファッション、
というか、まるで「エマニュエル坊や」です。
サミュエルは「ビッグボーイ」に続けてまた変てこな役で楽しませてくれます。
(ビッグボーイの時、情けない時の彼はパグ犬にそっくり!と前回思ったんですが)
今回はパグと共演なんですが、2ショットで見てもやっぱり良く似ていますね。

バレンタインは「地球上の人口を抑制するための大量殺人」を真面目に考えています。
温暖化は人間と言うウイルスに感染した地球の発熱なんですって!

世界中に配布した使い放題の無料SIMカードの中や、ターゲットの体に直接埋め込んだチップが
彼の捜査により爆発するという、今後ありえるかもしれないやり口がなんとも残忍です。
バレンタインの手下の義足のガゼルが人間を真っ二つに切断したり、
エルガーの威風堂々に乗せて、まるで仕掛け花火のように次々と首が吹っ飛ぶシーンは
むしろ美しさと爽快さを感じてしまいます。
どう考えてもR15の不適切なシーンなんですが、いけないと思いながら気持ちよくなってしまうのも
(花火や祭りの大好きな)人間の困ったところです。

どうも最近の映画に出てくるスパイたちは、MIのトム・クルーズのように
美女が出てきても絶対にエロいことは考えない方向になってますが、
昔の007をオマージュした本作はどうなるのか?
ロキシーはいい子だけど色っぽくないし、セクシーオーラ全開のガゼルは悪役だし・・・
と思っていたら、まさかのスウェーデン王女登場にラストではにんまりしてしまいますよ。

一人で大立ち回りをする最強のコリン・ファースや邪悪で品のないサミュエルLジャクソン、
マイケル・ケインが裏切るのにもあっと驚きましたが、
マーク・ストロングだけは、まったくいつものマークで安心しました。