映画「天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬」 平成27年5月23日公開 ★★★☆☆

天に召されるネロとパトラッシュ。
ところが突然、天使の手を振り払ったネロとパトラッシュは悪の手先となって復活し、
自分たちを不幸な状況に追い込んだ人間たちへの復讐(ふくしゅう)を誓う。
そんなネロとパトラッシュの暴挙を止めるべく、バカボン一家が立ち上がる。
(シネマ・トゥデイ)


「王妃の館」を観るはずが、見た人全員がイマイチだというので、
かといって株主招待券をまた無駄にするのも惜しい・・・ということで
急きょ見たのがコレ!

「天才バカボン」はあれだけテレビで人気あったのに、一度も劇場アニメにはならなかったそうです。
それと日本アニメーションの「フランダースの犬」をドッキングさせて、鷹の爪のFROGMANが監督・・・・・
という意味不明のコラボレーション。
「フランダースの犬」は劇場版は松竹配給だったし、
鷹の爪は東宝のシネマイレージカードやマナームービーでおなじみでした。
それが、今回は東映配給の劇場公開・・・とは、すごいクロスオーバーですよね。
「まるちゃんとサザエさん」「ドラえもんとクレヨンしんちゃん」なんていうお手軽コラボとはわけが違います。

ただ、作品自体は家庭用PCで作れそうなフラッシュアニメ。
権利関係に意外と経費がかかってるのかもしれないけれど、製作費はかなり安そうです。
「泣ける話」といえば、マッチ売りの少女と並んで、フランダースの犬は上位間違いなし。
健気で可哀そうなネロは天国に召されていくとき、実は人間への復讐を誓って地獄に向かった・・・
と言う新解釈には、驚きます。

 

あの優しいネロがこんなになって、いいんでしょうか?
テレビの「世界名作劇場」で育った世代には酷ですよね~
「アルプスの少女ハイジ」も家庭教師のトライのCMでいじり倒されているから
もはや心配無用なんでしょうか?

実は私は世代が違って、「少年少女世界文学全集」みたいな児童書で読んだから
あのネロやパトラッシュの造形には特別思い入れはありません。(ネロじゃなくてネルロだったし)
愛犬と一緒に天国に行く、っていうのはハッピーエンド・・・というのが当時の認識だったから
別に可哀そうでもなかったし。
そういえば、数年前に「日本版フランダースの犬の実写映画」を見た記憶があります。
→「スノープリンス禁じられた恋のメロディー
これに比べたら、天才バカヴォンのほうがずっと面白いですよ!


ダンテ率いる悪の秘密結社「インテリペリ」は、世界征服を企んで、スーパーコンピューター「オメガ」を開発しますが、
世界中でたった一つ、バカボンのパパの名前だけが分からなくて入力できず
手下を潜入させてもどうしてもわからず、オメガはいまだに未完成。
地獄からネロとパトラッシュを蘇らせて差し向ける・・と言う展開。

ところで、赤塚アニメで育った人たちのなかにバカボンのパパの名前が気になった人、っていたのかな?
別にバカボンのママだって名前わからないし、それよりも、なんで
長男→バカボン 二男→ハジメ なのか、私はそっちの方が気になりましたけどね。

バカボンの小学校に転入生として潜入したネロは、パパの名前を聞き出そうとしますが上手くいかず。
一方、日本の内閣情報局はインテリぺりが世界征服のためにオメガ開発している情報を掴んでいて、
パパの名前が漏れないように真面目な精鋭局員神田を差し向けます。
ただ政府のほうは、そんなに凄いコンピューターなら日本にもぜひ欲しいと、
逆にパパから名前を聞き出して、それを教える代わりに1台ちょうだい!とダンテと交渉するのです。
日本の安全保障、こんなことでいいのかっ!!

っていうか、マイナンバー制が導入されても、パパの名前は国家も把握していない最高機密ってことでしょうか?

さて、パパの本名は何でしょう?
ネロはどうなる?
日本の安全保障は?
なんて、別にストーリーはどうでもいいんですが、まあ、こんな話です。

パパはひたすら太陽を西から登らせること以外は興味ないし、
ごめんください→お面(めん)ください
ネロ→オキロ
神田→なめ田
とかダジャレも不調で、笑うほどでもないんですが、
「命運」という単語がでるたびに
バカボンの頭では命運(メイウン)→青雲(セイウン)と脳内変換されて、
お線香の青雲のCM曲が流れるのはちょっと笑っちゃいました。
昔ながらのギャグも言い間違いも、
情報局の神田くんが律儀にいちいち突っ込んでくれるから、ちゃんとコントになってます。

パパはバカだけど、太陽を西から登らせるために努力を惜しまず、それを信じて見守る家族も素敵。
「これでいいのだ」と言いきる潔さも素敵。
ラストでは声を大にして
「これでいいのだ~!」といっしょに叫びたくなりました。

TOHOシャンテでは、いつももうちょっと見ていたかった鷹の爪の上映前のアニメーション。
ムービー版も10本以上あるようなので、さっそくDVDを予約しようと思います。