映画「パレードへようこそ」平成27年4月4日公開 ★★★☆☆

マーガレット・サッチャー政権下の1984年夏、ロンドン。
炭鉱労働者のストライキの報道を見たマークは、彼らを救済すべく仲間たちと募金活動をすることに。
しかし、ゲイとレズビアンの活動家グループであるマークたちが必死でかき集めた支援金を受け入れる炭鉱団体はなかった。
それでもマークたちはめげず、労働者たちに直接寄付金を渡すためロンドンからウェールズへ向かう。              
                                         (シネマ・トゥデイ)
 
「イミテーション・ゲーム」のアラン・チューリングが、ゲイを隠してひっそり自殺してから30年後のイギリス。
時代は今から30年前のサッチャー政権下です。
同性愛者たちはカムアウトしてパートナーと生活しているものの、まだまだ差別はされていて
デモやパレードをしては警察の取り締まりを受けていました。
「そういえば最近あんまり警察が来ないぞ」
「それは炭鉱夫たちのストの取り締まりに行ってるからだ!」
ということに気付いた彼らは、彼らのための募金をして、マイノリティ同士連帯することを思いつきます。
募金はそこそこ集まるものの、こちらがゲイの団体(LGSM)と知ると電話を切られてしまう・・・
その中、ようやく南ウエールズの小さな炭鉱が支援を受け入れてくれて、先方の委員のダイが訪れるも
レズビアンのLをロンドンのLと勘違いしたことが判明。
それでもダイ(バディ・コンシダイン)は、彼らに感謝し、
「皆さんがくれたのはお金だけでなく友情だ」
「巨大な敵と対峙しているとき応援してくれる人がいるのは大いなる幸せ」と
お礼に彼らを招待してくれるのでした。

で、それに乗っかってのこのこ出かけていったら、拍手してくれるのは委員会のメンバーだけ。
恐ろしいアウエイムードのなか、最初にこの奇妙な同性愛者たちに興味を示したのが女性たち。
生まれて初めて見るゲイやレズの彼らですが、話してみると
「けっこう楽しい子たちじゃない!」
ダンスや料理で意気投合し、次第に打ち解けていきます。
ゲイのジョナサンのアドバイスで不当に投獄されていた炭鉱夫たちが帰宅できたり
男たちも少しずつ心を開くようになるのですが、
最後まで同性愛者を認めようとしない頭の固い親子がいて、タブロイド紙にチクったり
逆にマイノリティになった方が逆襲にでたりするのですが、ここでは完璧裏切り者扱いです。

だいたい、少数派のほうが必至ですから思い切ったことする確率高いです。
炭鉱ストライキだって時の政権に刃向かってるわけで、不毛なストライキする前に
赤字をなんとかすべく再建計画だしたり出来ないのかなぁ~

この映画cocoのレビューでは100パーセントの最高評価でして、期待値満々で出かけたんですが
赤字炭鉱を切り捨てたサッチャー首相が悪の権化みたいな言われようなのと
「警察にいじめられてるもの同士で連帯しよう」というのがそもそも理不尽。
リパブリック讃歌や80年代のロックやポップスの使い方がうまくて気持ちを持って行かれそうになりましたけど
他の人のレビューのような感動や高揚感はありませんでした。
もともと「組合」や「ストライキ」に嫌悪感持っているからでしょうが、これも「偏見」なのかなぁ?

主人公にあたるのは調理師学校に入ったばかりの20歳の青年ジョーでして
ゲイパレードでたまたま旗を持たされた彼が、親に内緒で活動に参加しているうちにのめりこんで
学校は停学、そのうちに親にもバレて、家を飛び出し、21歳の誕生日に晴れてゲイデビューしてめでたしめでたし・・・・
って、めでたいか??
エイズの治療法もないころだったし、親目線だと、絶対にめでたくないと思うんですけど。
ジョージマッケイは「サンシャイン歌声が響く街」でもボンクラな明るい青年で、
頼りなさげなので、本当に心配になってしまいます。

この映画、ジャンルの割に、何気に大物俳優がたくさんでてくるからビックリです。
映画をほとんど見ない人でも
ハリーポッターの「あの人」やパーレーツ・オブ・カリビアンの「あの人」やシャーロックの「あの人」が
イメージとは真逆の役ででてくるから大興奮ですよね。

ストーリー自体は、あんまり頭の良くない人が考えたフィクションのように見えますが
意外や意外、実話が元になっているようで、「最大の実話ポイント」が
1985年6月29日のゲイパレードの先頭を歩いたのは、何と
「炭鉱夫たちの組合のあっちこっちの支部」たちで、それぞれの組合旗をもって
支援してくれたLGSMへの恩返しに大勢が行進に参加した・・・という史実。
ジョナサンやマークも実在の人物だそうで(写真はなかったけれど)エンドロールで紹介されていました。

同じイギリスでも北アイルランドやスコットランドはずい分映画になっていますが、
今回登場したウエールズも(ロンドンからさほど離れていないのに)言葉もずいぶん違うのにも驚きました。