映画「想いのこし」 平成26年11月22日公開 ★★☆☆☆
原作本「彼女との上手な別れ方」 岡本貴也 小学館 
★★☆☆☆

考えることは金と女のことばかりで、お気楽に毎日を過ごすことがモットーの青年・ガジロウ(岡田将生)。
そんなある日、交通事故が縁となって幽霊となったユウコ(広末涼子)ら、
3人のポールダンサーと年配の運転手に出会う。
小学生の息子を残して死んだのを悔やむユウコをはじめ、成仏できぬ事情を抱える彼らは
遺(のこ)した大金と引き換えに無念の代理解消をガジロウに依頼。
それを引き受けた彼は、花嫁姿で結婚式に出席したり、男子高校生に愛の告白をしたりと、
それぞれの最後の願いをかなえていく。       (シネマトゥデイ)

まだ観てもいないのに駄作臭ぷんぷんの「不思議な岬の物語」
東映の株主招待券で見られるのはこれだけと思っていたら、有効期限ぎりぎりに「想いのこし」が公開されて、
当然こっちを選んだものの、原作を読む限り、驚くほど強引な設定なんですよね。

期待値低めで観たんですが、ほぼ原作通りであんまり映像化した意味とか分からず。
面白さよりも強引に泣かせる方向に引っ張ってた印象。

交通事故で即死した4人が成仏できず、ただひとり会話のできる(事故のきっかけになった)
ガジロウというチャラ男にとりついて、気になっていた願いをひとつずつかなえていく・・・

公開中の「トワイライトささらさや」も家族が気になって成仏できない夫の幽霊でしたが、
こちらは一気に4人の団体さん、しかも岡田将生演じるガジロウひとりとだけ、見えて話せて触れる
という、かなり想像力の限界を超えた設定。
小説でも充分不自然でしたが、実写にするとさらに不自然極まりないです。

「誰にも見えないはずの幽霊」と「実在する人間のガジロウ」のやり取りは、
結婚式や野球場や火災現場など公衆の面前でも行われるわけですが、
こんなおかしな状況に周りの人は動揺してない、というか、
エキストラの人たちの視線が見えないはずの幽霊に注がれる時点で、あらら・・・と言う感じ。

亡くなった4人のうちの3人は、原作ではストリッパーだったのをポールダンサーにしたのは
ファミリー層への配慮かもしれませんが、
それなら、高校生が生活のためにこんな商売をしてる、というのも変えた方がよかったのでは?
火災現場に部外者が入り込んでお手伝いしちゃうというのも、おかしいでしょ!

お金に目がくらんで手伝っただけですが、ともかくガジロウのお蔭で4人はめでたく成仏します。
だけど、この世に何も未練なくて亡くなる人なんていないでしょうから、
そうするとこの世の中は浮遊霊だらけになりますね。
好きな人や最愛の息子のことなんて、そう簡単に未練が断ち切れるものでしょうかね。

もっと些細なこと、たとえば、死んだときに鞄にいれてある人に見られたくないモノ、
めちゃくちゃ汚いテーブルやベッドの上、
うっかり穿いてきた派手な模様のパンツとか、
「見られたら恥ずかしい系」だったら、ちょっとだけお力を借りたい気はしますけどね。

本作の最大の見どころは、岡田将生クンの七変化。
赤パン一丁やシャワーシーン、女装してウエディングドレス、羽つけてポールダンス・・・
 
 
若手のなかでは「演技派」と呼ばれているのに、ここまでサービスしなくても・・・
ファンの人たちはこういうの観て嬉しいんでしょうか、悲しいんでしょうか?

ところで、邦画のなかでポールダンスがでてくるのって初めて見ましたが、
広末たち3人が演じる最初のを観る限り、アピールしたいのは官能美か、アクロバチックな演技か?
柔軟性か身体のキレをみせたいのか、なんだかモヤモヤしましたが、
後半で本物っぽい人たちの練習風景がちらっと映りましたが、
明らかにシルク・ド・ソレイユみたいな鍛え上げられたパフォーマーによる舞台芸術ですね。
それをほぼ全裸にちかい衣装で演じるわけで、それはそれはセクシーでカッコいい!
4人とも頑張って演じていましたが、露出少な目衣装に素人丸出しの完成度では
ポールダンス業界(?)としてはむしろ迷惑なんじゃないの?
まったく俳優の皆さん、頑張って損しましたね。

つっこみどころ満載のストーリーながら、母を失って施設にはいる小学生の息子に
保護者としてガジロウがつきそうラストは、さわやかさ全開でした。
可愛い女の子をみつけて
「どうやったら仲良くなれるのかな?」
「それは・・・これからゆっくり教えてやるよ」

衣食住の世話をしてあれこれ心配するより、本音で向かい合える話の分かる年上も
子どもには必要な保護者ということ。
ラストがクールにきまったので、そのほかのへんてこなところな良しとしましょう。

ただ、この映画「泣ける」のを売りにしてるようですが、
一瞬も泣けなかった私はやっぱり鬼なのか!?