映画「西遊記~はじまりのはじまり」 平成26年11月21日公開 ★★★★☆

若き妖怪ハンター玄奘(ウェン・ジャン)は、“わらべ唄 三百首”を武器に
妖怪たちの善の心を呼び起こそうとするがいつもうまくいかない。
ある日、彼が半魚半獣の妖怪に襲われた川辺の村で、
村人たちと協力して陸に上げた魔物が人間の姿に変身する。
玄奘が歌うわらべ唄は全然効果がなく、
逆に攻撃された彼を女性妖怪ハンターの段(スー・チー)が救う。 (シネマ・トゥデイ)

西遊記、孫悟空、といったら、今は「ドラゴンボール」で知る人が多いのかな?
「孫悟空誕生」
西遊記のエピソード0と言ったら「悟空誕生の巻」
私は娘が小さい時に名古屋の人形劇団「むすび座」で何度も見ました。
孫悟空が三蔵法師が天竺を目指す有名な旅の前の話で、
花果山の乱暴な猿が釈迦如来に五百年の間五行山に閉じ込められます。
「はじまりのはじまり」とあったので、その辺の話かと思ったら、
メインは三蔵法師(元の名は玄奘)のほうで、彼はなんと妖怪ハンターだった!という設定。

リンカーンが実は吸血鬼ハンターだった、という映画もありましたから、それに比べればありえる感じですが
知ってる話と全然違っていて戸惑いましたが、とりあえず面白いので、それもアリかな~と。

冒頭は水上の村で、小さい娘をよろばせようと川に入った若い父親が川底に引き込まれ
あたりは血の海に!
道士が呼ばれてお祓いをして安全宣言されますが、妖魚はまだ生きていて、村人を次々に襲います。
玄奘は村人と力をあわせて戦うものの、最初の少女も喰われてしまい、なんのフォローもなし。
コメディテイストの演出ながら、グロい映像、情け容赦ない展開で、ほんとビックリです。

なんとか捕まえるものの、新米ハンターの玄奘に必殺技なし。
 いい子になっておうちにお帰り~
「わらべ歌300首」を歌って、妖怪の中の善の心を呼び覚ませる、
という回りくどいやり方なので、あっという間に危機一髪!
・・・というところで、凄腕の妖怪ハンター段が登場して、あざやかな技で壺に封じ込めてくれます。
美人でカッコいい女性があらわれれば、主人公は彼女にメロメロ・・・
というのが普通ですが、玄奘はまったく無関心で、むしろ段の方がなぜか玄奘にぞっこんで、
この後もずっと彼を追い回すことになります。

次に登場する人気の焼き豚店は、実は恐ろしい殺人レストランで、
客をつぎつぎに9本歯の巨大な鍬で突き刺して丸焼きにしてしまいます。
豪華な店内や美味しい焼き豚に見えたのも、実は幻覚だったのです。
店主はてかてか顏のイケメンの猪剛烈。
玄奘の力ではとても通用せず、ここでも段に無限変幻リングで助けてもらいます。
腕にはめているこのリングは数も大きさも変えられ自由に操れる・・・とすると、
これがのちの孫悟空の「あれ」だと想像はできますし、
猪剛烈が(姿は違いますけど)猪八戒とすると、最初の巨大魚が沙悟浄ということでしょうか?

結局猪剛烈には逃げられてしまうので、これを捕まえるために五行山の孫悟空の力を借りに行くんですが
囚われの身の孫悟空は、温水洋一みたいな冴えない(失礼)オッサン!
孫悟空にとってみれば、彼らを利用して外に出られればいいわけで、
敵か味方かわからない変な騙しあいがあったり、ライバルの妖怪ハンターが登場したり
この辺ぐだぐだの展開になります。
足じい、虚弱王子、虎筋蟷螂アニキ・・この三人の妖怪ハンターは、西遊記と関係ないので
さっさと撤収されてしまいますが、面白いキャラで、これだけでも1本映画が撮れそうです。

ともかく、ラストには誰もが知っている、「三蔵法師御一行」の姿にきれいに落ちつきます。
本国では大ヒットだったそうなので、間違いなく続編あるでしょうが、
ここでもはちゃめちゃなオリジナルの展開なんでしょうか。

この映画、けっして私の好きなジャンルではないのですが、
期待値と満足度のギャップ大きく、かなりおススメです。
子ども向けに見えますが、けっこうなエログロなので、むしろ大人向けかも?
登場人物が横一列にならんだラストシーンでは、なんと「Gメン75」の懐かしいテーマも流れますよ!