映画 「許されざる者」 平成25年9月公開 ★★☆☆☆
ノベライズ「許されざる者」 司城志朗著、幻冬舎文庫 ★★★★☆
1880年、開拓が進む江戸幕府崩壊後の北海道。
人里離れた土地で子どもたちとひっそりと暮らす釜田十兵衛(渡辺謙)だが、
その正体は徳川幕府の命を受けて志士たちを惨殺して回った刺客であった。
幕末の京都で人斬(き)りとして名をとどろかせるも、幕府崩壊を機に各地を転々と流れ歩くようになり、
五稜郭を舞台にした箱館戦争終結を境に新政府の追手をかわして失踪。
それから10年あまり、十兵衛に刀を捨てさせる決意をさせた妻には先立たれ、経済的に困窮する日々を送っていた。
そこから抜け出そうと、再び刀を手にする彼だが……。 (シネマ・トゥデイ)
20年前のオリジナルを見てなかったので、2013年版鑑賞後にDVDで観ました。
あんまり「そのまんま」だったので驚きました。
ようするに、伝説の殺し屋が妻と出会って改心したものの、妻の死後にまた懸賞金めあての殺しをする・・って話ですよね?
明治の初めの北海道。
新政府による残党狩りとか、アイヌvs屯田兵とか、今までほとんどドラマで見たことない設定。
それはとても興味あるんですが、無理やりオリジナルの西部劇にあてはめてる感じ。
インディアンとアイヌって先住民族には違いないけれど、同一視してしまうのってちょっと無神経のような・・・
十兵衛を改心させたアイヌの妻も、彼のセリフにでてくるだけで全く登場しないから、
どういう家庭を気づいていたのか、妻との約束を反故にしてまで出かけたのはなぜなのか?
最初のところでつまづいて、重兵衛の心にどうも寄り添えなかったから、
単なるグロいバイオレス映画としてしか見られませんでした。
たしかにオリジナルのほうも妻は出てこなかったけれど、
ノベライズのほうにはなぜかちゃんと生前の妻も登場していて、これですっきり納得しました。
私のように何もわからずに観た人はともかく、オリジナルのファンの人には特におすすめはしないです。
ダークというよりは「陰湿な」日本風味をかけただけで、特別いい出来とも思えません。
あえて見どころをいうなら、オリジナルにはなかった冒頭シーン。
それに、オリジナルよりキャラが立っていた柳楽 優弥と小池栄子でしょうか。
とくに柳楽 優弥は、映画の世界にまた立派になって戻ってきた感じ。
お帰りなさ~い!といいたいです。今後が楽しみです。
あと、ノベライズもよくできています。映画よりノベライズがいいのって不思議なんですが、
日本人としての登場人物たちの心情が丁寧に描かれていました。
西部劇を日本版にリメイクしようなんて人、もう現れないでほしいですが、
アイヌを題材にしたちゃんとした映画は誰か撮ってくれないか、と思います。