映画 「8人の女たち」 平成14年11月23日公開 ★★★☆☆
原作 「8人の女たち」 ロベール・トマ原案 フランソワ・オゾン 脚本 角川書店
1950年代のフランス。
クリスマスを祝うため、雪に閉ざされた大邸宅に家族が集うこととなった。
ちょうどその日の朝、メイドのルイーズが、一家の主マルセルの部屋へ朝食を持っていくと、
彼はナイフで背中を刺され死んでいた。
外から何者かが侵入した形跡はない。
電話線は切られ、雪で外部との連絡を完全に絶たれた8人の女たち。
祝祭気分は一転、彼女たちは疑心暗鬼を募らせていく。やがて、互いの詮索が始まる。
そして、次々と彼女たち一人ひとりの思惑や秘密が暴露されていく…。 (シネマ・トゥデイ)
5月に閉館となった銀座テアトルシネマ。
そこで最高の集客をしたというのが本作ときいて、ずっと気になっていました。
マダムたちにお気に入りのフランソワ・オゾン監督の作品。
「さよなら興行」で見損なったのでDVDで・・・
雪に閉ざされ、電話線も切られた邸宅での殺人。
密室殺人ですね。
分類は「サスペンス」でしょうか?
いやいや、かなりユルイ設定で、むしろ「シットコム」って感じでした。
もともとは舞台劇のために書かれたもので、日本でもたびたび舞台化されていたようです。
まさに一場一幕の舞台劇で、なんで映画にしたのか、むしろ不思議・・・って感じです。
登場人物を(殺されたマルセルを基準に)紹介すると
① 妻のギャビー (カトリーヌ・ドヌーヴ)
② 妻の母のマミー (ダニエル・ダリュー)
③ 妻の妹のオーギュスティーヌ (イザベル・ユベール)
④ 長女のシュゾン (ヴィルジニール・ドワイヤン)
⑤ 二女のカトリーヌ (リュディヴィーヌ・サニエ)
⑥ 黒人のメイドのシャネル (フィルミーヌ・リシャール)
⑦ 若いメイドのルイーズ (エマニュエル・ベアール)
⑧ 妹のピエネット (ファニー・アルダン)
登場人物にはみんなそれぞれ秘密があり、多かれ少なかれマルセルを殺す動機もあることが
次第にわかってくるのですが、不倫とか近親相姦とか同性愛とか妊娠とか、どんどんドロドロしてきます。
メイドのルイーズが「犯人がわかった!」というところで射殺されそうになったり、まあいろいろあって、
意外な結末へと・・・・(意外でもないかな?)
どうも見どころは、フランスを代表する8人の人気女優が全員歌って踊るところのようですが、
「ミュージカル」と思うと腹がたつ「かくし芸レベル」なので、ほとんど飛ばしてしまいました。
なかには上手な人もいたのかもしれないけど、
密室ミステリーでこの中に犯人がいるとわかっているなかでの「歌と踊り」ってなに?
「お気に入りの女優さんが歌を披露する」・・・見どころはここだけですね、多分。
私が知ってるのは3人くらいだし、特別お気に入りでもないから、なんかもうどうでもよくなりました。
ところで殺されるマルセルは登場人物の中で唯一の男性なのに、なんのクレジットもありませんでした。
女性たちに翻弄されるこの役、キャスティングするなら、絶対にファブリス・ルキーニでしょうね。
彼はオゾン監督の新作「危険なプロット」で主演します。
10月19日公開。
これはぜひとも見に行きたいです。