映画「コーヒー&シガレッツ」 平成17年4月2日公開 ★★★☆☆



読んで♪観て♪

『ミステリー・トレイン』『デッドマン』のジム・ジャームッシュ監督が18年に渡って撮りためた

コーヒーとタバコをテーマにした短編映画集。

11本のショート・フィルムに登場するのは、ケイト・ブランシェット、ビル・マーレイ、スティーブ・ブシェミ、

ロベルト・ベニーニなど総勢24名。

第3話目の『カリフォルニアのどこかで』はカンヌ映画祭短編部門のパルム・ドールを受賞している。

監督ならではセンスのいい音楽とユーモアを最後まで楽しめる作品。(シネマ・トゥデイ)


1本の映画に18年かかってるって、それだけでものすごいでしょ?

11本のオムニバスの短編それぞれに関連性はなく、共通するのは、タバコを吸いながらコーヒーをのんでることだけ。

テーブルに座るカットのみのモノクロのシーンが延々続き、撮影にはほとんどお金かかってそうもないですが、

出演者は大物揃い!

3分の1が「よーく知ってる」人、あと3分の1が「名前は思い出せないけど多分有名」な人、

残りの3分の1が、「ごめんなさい、はじめまして」の人です。

 

①「変な出会い」  ロベルト・ベニーニとスティーヴン・ライト

②「双子」    スティーブ・ブシェミとリー姉弟

③「カリフォルニアのどこかで」   トム・ウェイツとイギー・ポップ

④「それは命とり」

⑤「ルネ」

⑥「問題なし」  イザック・ド・バンコレ

⑦「いとこ同士」     ケイト・ブランシェット

⑧「ジャック、メグにテスラコイルを見せる」 ジャック&メグ・ホワイト

⑨「いとこ同士?」  アルフレッド・モリーナとスティーヴ・クーガン

⑩「幻覚」      ビル・マーレイ

⑪「シャンパン」 


「コーヒーを一杯
タバコを一服
会話を楽しむ
人生を楽しむ」・・・


コピーはこんな感じなんですが、タバコを吸わない私にはとても癒されるような映像ではなかったような・・・

だいたいコーヒーがあるのにタバコ必要ですか?

灰皿からこぼれそうな吸い殻がコーヒーカップのすぐそばにある・・・

これだけで不愉快な人なんかにはオススメできませんが、

「癒しの映画」と思わなかったら、オチがあるようなないようなの各エピソードも、センスの良い選曲も楽しめ

喫煙席に紛れ込んじゃったカフェで、となりの席のちぐはぐな会話を偶然聞いちゃったって感じです。


エピソードのネタは、そんな「会話採集」なのかもしれませんが、

それぞれの話は無関係と思わせて、同じ単語がくりかえし登場したり、

実は計算しつくされた構成なんじゃないかとも思ったりして・・・・


絶対に学校とか行ってなさそうなミュージシャンが実は医者でビックリ!とか、

「コーヒーとタバコだけじゃ体に毒だ」というせりふもあちこちで登場します。

「地球はひとつの共鳴伝導体」というけっしてメジャーじゃないテスラの言葉もダブっているし・・・


個々のショートストーリーでは③「カリフォルニアのどこかで」が大きな賞をもらったりしているようですが、

まあこれはよくある「禁煙したばかりの人の都合のいい屁理屈」で、コントネタとしては平凡ですが、

実名で登場する二人の大物ミュージシャンのすごさがわかる人にはきっと楽しいのでしょう。

⑦はまったく違う二人の女性をケイト・ブランシェットがひとり二役で。

改めて彼女の芝居のうまさに感心します。

⑧のジャック・ホワイトは、前に映画「ゲット・ラウド 」を観たときに、彼の理科工作好きを聞いていたし、

彼に音楽のきっかけを与えた姉のメグの本物が登場したので、興味津々でした。

「それは共振コイルのスパークギャップが開きすぎたんじゃない?」

一言で弟をぎゃふんといわせちゃうメグのひとことが爽快!

お姉ちゃんはこうでなくちゃいけません・・・・


で、私が一番好きだったのが最後⑪「シャンパン」

ビル・ライスとテイラー・ミードというふたりのベテラン俳優が静かな暗い休憩室で。

(「武器庫」といってたけどホントかな?)

1920年代のパリや1970年代後半のNYとか、一番もどりたい設定を想像して

地球の奏でる重低音の音楽に耳を傾け、

紙コップのまずいコーヒーを絶品のシャンパンだと想像して、乾杯するふたり。

長いこと生きてきた老人たちには共通の原体験がたくさんあるから、

ことばひとつで同じ記憶にひたれるというのは素晴らしいな・・・・

テイラーが急に黙って目を閉じたときは焦りましたが、ここで暗転。

ほかのストーリー同様、余韻とちょっとの疑問をのこしつつエンドロールへ。

もし人生最後の日がわかっていたら、こんな幕切れも「あり」だと思いました。


は一日にコーヒーを5,6杯は飲みますが、ブランドや淹れ方やカップにはほとんどこだわりなし。

それでもここに出てくる11テーブルのコーヒー(⑨は紅茶でしたが)には、お国柄というか、

ずいぶん違和感を感じました。

砂糖をいれない私には「スプーンでかきまぜる」という手順がちょっとうっとうしく感じました。

しかもカレースプーンみたない大きなスプーンには、まじっ?!と思いました。


読んで♪観て♪

こういうシュガーディスペンサーからスプーンに砂糖を受けてカップにいれるから大きなスプーンなんでしょうね。

カフェのテーブルクロスには市松模様が多いのもわかりました。

お国柄もあるんですね・・・と思いつつ、マイカップで今日5杯目のコーヒーをまた・・・