映画 「パシフィック・リム」 平成25年8月9日公開 ★★★★★

ノベライズ 「パシフィックリム」 アレックス・アーバイン 富永和子訳 角川文庫 

★★★★☆



読んで♪観て♪


2013年、突然未知の巨大生命体が太平洋の深海から現われる。

それは世界各国の都市を次々と破壊して回り、瞬く間に人類は破滅寸前へと追い込まれてしまう。

人類は一致団結して科学や軍事のテクノロジーを結集し、生命体に対抗可能な人型巨大兵器イェーガーの開発に成功する。

パイロットとして選ばれた精鋭たちはイェーガーに乗り込んで生命体に立ち向かっていくが

その底知れぬパワーに苦戦を強いられていく。                (シネマ・トゥデイ)




ロボットの出てくる映画、ごく最近2本観ましたが、

「オーガストウォーズ」は見当はずれのセールスプロモーションで「ロボット映画」に仕立てあげられただけだし、

「素敵な相棒」は結局のところ、アクターが中に入った等身大着ぐるみだし・・・でしたが、

さすがに「パシフィック・リム」は誰が見ても大満足のtheロボット映画でした。

看板に偽りなし!!


前作とか原作もないから、みんな同じスタートラインで見られるのもいいですね。

・・・とはいえ、「ガンダム」も「エバンゲリオン」も知らない私は圧倒的に不利だと思い、

角川書店のノベライズを先に読んでみたんですが、これ、情報量多すぎで、逆に絵が浮かんできませんでした。

戦闘兵器のスペックはやたら詳しいのに、絵も図も一つもなく、まさに「小説版」です。


読んで♪観て♪


この本、アメリカで出版された公式ノベライゼーションの翻訳で、

その時点では映画は完成していないから映画をみることなしに書いたんですって!翻訳者も大変ですね~

これ、観た後に読むのがオススメです。


主人公たちが戦う相手は巨大生命体「カイジュー」

彼らは2013年夏以降、太平洋の地殻プレートにあるといわれる時空の裂け目から登場して

地球上の都市を次々に壊滅させていきます。

最初はアメリカの3都市、そしてマニラ、メキシコ・・・と。

世界は力をあわせて「イエーガー計画」を実行。

これは人型巨大兵器とパイロットの神経系統をシンクロさせる操縦システムで、

強い適合性を持った二人のパイロットの右脳と左脳をつなぎ「ドリフト」させることで、さらに高性能に。


ローリー・ベケットは、勉強もスポーツもパッとしない少年でしたが、兄ヤンシーとの適合性が評価されて

イエーガーのエリートパイロットとなりますが、10人の釣り船を見捨てられなかった彼らは戦闘に敗れ、

ドリフトの最中に兄が死亡という忘れられない悲しい過去が・・・


そのうちイエーガー作戦も打ち切られ、カイジューから都市を防御する防壁工事が世界中ではじまります。

その作業員として地味に働くローリーのもとに環太平洋防衛軍のペントコスト司令官が訪れ、

再び日本人女性パイロット、森マコとともにイエーガーに搭乗して戦う道を選ぶ・・・・という話で、

まあずいぶんと単純なストーリーなんですが、

個性豊かなサブキャラに囲まれ、テロップも多いから、かなり分かり易いです。

でもなんといってもカイジューのビジュアルが一番の魅力ですね。


かつて、日本のゴジラがハリウッドでティラノザウルスみたいになっちゃったときはホントに残念でしたが、

今回のカイジューはまさに円谷プロの特撮映画にでてくる巨大リアルな着ぐるみ怪獣です。

もちろん中に人は入っていませんが、ホントに昭和の香りがするような懐かしさです。


すっかり忘れていたのですが、私の弟はウルトラマン世代で、彼が3歳くらいの時に

近所の映画館に「つきそい」としてついて行かされて怪獣映画をよく見ました。

私自身も小学校低学年でしたから、ずいぶん心もとない「つきそい」でしたが、

ガメラとかキングギドラとか、そのときの興奮を思い出しました。


カイジューはすべて同じDNAをもつクローンだというんですが、

でも妊娠した母(?)カイジューが出産することで繁殖するようで、「へその緒」なんかもあったから

彼らは「哺乳類」なんでしょうかね?

出産シーンなんかをみせられると、彼らなりの親子の情とかもありそうで、ちょっとせつなくなりました。


今回、ヒロイン役マコに菊池凜子、少女時代を芦田真菜ちゃんが演じることで話題になっていますが、

親日家の監督からの起用ですから、とっても扱いはよかった感じがします。

中国人でも日本人でもいいような「アジアンビューティー」枠ではなく、生粋の日本人枠。

日本語も(少々ものたりないですが)セリフにけっこう使われていました。


マコの養父である司令官も日本語はできる設定なので、ほかの人に知られたくないときは日本語で・・・

初対面のローリーに

「思っていたのと違う」といったら

「違うって?」とローリーに返され、あわてるシーン。

なんでローリーまで日本語わかるの?

そのわりに日本語のセリフなかったですが・・・・


「まだ方法はある」とか「私の家族のために」なんていう大事なセリフが日本語だったのはちょっと嬉しかったです。

注意とか警告とか、サインプレートにも日本語漢字は多用されていました。


日本の特撮のコアなオタクといわれるギレルモ・デルトロ監督作品。

ホントにすべてのシーンが楽しくて、思わずニコニコ顔になっちゃいます。

3Dの必要はないけれど、一部だけでも「ウィンブルシート」だったりしたら、臨場感アップだと思います。


「スタートレック・イントゥ・ダークネス」のJJエイブラハムもですが、

親日家の日本文化大好き監督が撮った映画は、日本人必見ですね。

ただ二作とも、原子力の扱いが(日本で上映するには)少々無頓着では?とは思いましたが。


エンドロールには「モンスターマスターレイ・ハリーハウゼンと本多猪四郎にささぐ

の文字が。

本多さんは東宝でゴジラ映画をたくさん撮った特撮の神様みたいひとだったんですね~

勉強になりました。


エンドロール終了後には、カイジューの臓器を闇ルートでさばくロン・パールマンが再び登場してビックリ!

まさに「食えない男」!!!

彼が自分の靴をさがしていたり、芦田真菜ちゃんが胸に抱く赤い靴とか、「靴」は何かの意味をもっているのかな?


かなり騒がしい映画ですが、なにも頭を使わずに絶対に楽しめるので、この作品誰にもオススメ!!です。