映画 「俺はまだ本気出してないだけ」 平成25年6月15日公開 ★★☆☆☆
ノベライズ 「小説 俺はまだ本気出してないだけ」 青野春秋 原作 丹沢まなぶ 著 小学館 ★★☆☆☆
ある日、彼は「本当の自分を探す」と何も考えずに会社を辞めてしまう。
だが、ゲームばかりの毎日を送り、同居する父親の志郎(石橋蓮司)から怒鳴られてばかり。
そんな中、本屋で立ち読みをしていたシズオは漫画家になろうと決意し、志郎と娘の鈴子(橋本愛)に熱く夢を語る。
しかし、出版社に原稿も持ち込むも不採用。
さらに、生計を立てようとファストフード店でバイトするが、ミスを繰り返し、
さらにはバイト仲間から店長というあだ名を付けられてしまう。 (シネマ・トゥデイ)
原作はコミックで、吉田戦車のカワウソみたいなぼさっとしたオジサンが主人公。
公開前に小説が出てたのでこちらは読んだけど、ぜんぜん面白くなくて・・・
それなのに映画館に行っちゃったのは、
なんでまたこの役をあの堤真一が引き受けちゃった??・・・って疑問一点のみです。
全然似てないし・・・
三丁目の夕日の鈴木オートとか、「舞子Haaaan!!!」みたいなコメディにも出ますけど、
あくまで立ち位置はクールな二枚目、ですからね。
「クラーマーズハイ」の舞台あいさつで見た本物は、背が高くて足が長くて、
スターのオーラを放ちまくっていました。
それが、パンツ一丁でこんなザマに・・・
坊主じゃなくてもじゃもじゃの天パー、メガネもまるくなくてちょっとおしゃれなアンダーリム。
体重も多少は増やしたかもしれないけれど、基本スリムなままでした。
原作コミックとは似てないし似せようともしてない。
この本気出してない感、いいですねぇ~
高校生の娘と年老いた父との三人暮らし。
働き盛りの42歳の男・・・・にもかかわらず、会社を辞めてパンツ姿でゲーム三昧。
「自分の人生に公開したくない」
「自分探しをしている」と、いたってのんびり。
そしてある日
「そうだ!漫画家になろう!」
と思い立ち、
「今日が自分の発見記念日だっ」
「俺の40年の生きざまを漫画で描き切ってやる」
・・・・だってさ。
まあ、中年男が夢を持つなとはいいませんが、あまりの自分勝手に誰もが口をあんぐり。
おそらく自分も心の奥ではこれで良し、とは思っていないのか
「カミ」と呼ぶ自分の分身が
「どうすんの?」「ヤバくない?」「いいかげんヤバいっしょ?」
と突っ込みをいれたり、
同居の父シローからもゲキをいれられるんだけど、あまり効果なし。
「気分転換」とか「休憩中」とか「スランプ」とかの連続です。
ジャンルとしてはゆるい哀愁コメディとでもいいましょうか、ひたすらシズオのノー天気さばかり。
しょうがなくて、どんどんハードル低くなっていくんですが、
笑える部分2割、イライラする部分4割、可笑しくも腹立たしくもなくただ退屈な部分4割・・・といったところ。
いい年して漫画家志望の根拠のない自信に満ちたシズオに対して、
まじめに生きているのに人生に絶望している友人のミヤタとか
なかなかうまく生きられない若者イチノサワなんかを登場させているんですが、
このふたりが最大公約数的なフツーの一般人、というわけでも共感キャラでもないから、困ったもんです。
シズオは主役を張るにはあんまりにも単純で極楽とんぼなので、
むしろドラマとして成立させるには、イチノサワを主役にして、
シズオは賑やかしにたびたび登場する近所の変なおじさん、でいいんじゃないの?
いやはや、観てる最中に「本気だせよっ!」って叫びたくなるような映画です。
そうなると実名で登場するバイト先のファーストキッチンのイメージが心配になるのですが、
エンドロールでしっかり
「ファーストキッチンのシーンでは、実際の運営と異なる場面があります」
みたいなテロップで予防線貼っていました。
それよりなにより驚いたのは、これが
「日活創立100年記念作品」なんだってさ!
「おいおい日活さん、ヤバくない??」